ブッちゃんへ
トムが死んでもみかちゃんは泣かなかった。
少なくとも
家族の前では泣くのを見たことがない。
対照的に私はトムの名前を口にするたびに
メソメソしていた。
何年か経った頃
涙を流さなかったわけを尋ねた。
泣く資格もない
と、みかちゃんは言った。
みかちゃんの悲しみは
まりちゃんとは異質のものだ。
その悲しみとよばれているものの
もっとずっと奥底にあるものを
理解していたのは
母であるふうちゃんと
おそらく・・・トムだけだ。
あの頃のみかちゃんの悲しみを
いまも手離すことのない悲しみを
ブッちゃんを喪った私は
たぶん、少しだけ、
解ったような気がするのだ。
トムが死んでもみかちゃんは泣かなかった。
少なくとも
家族の前では泣くのを見たことがない。
対照的に私はトムの名前を口にするたびに
メソメソしていた。
何年か経った頃
涙を流さなかったわけを尋ねた。
泣く資格もない
と、みかちゃんは言った。
みかちゃんの悲しみは
まりちゃんとは異質のものだ。
その悲しみとよばれているものの
もっとずっと奥底にあるものを
理解していたのは
母であるふうちゃんと
おそらく・・・トムだけだ。
あの頃のみかちゃんの悲しみを
いまも手離すことのない悲しみを
ブッちゃんを喪った私は
たぶん、少しだけ、
解ったような気がするのだ。