~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

■『塀の中のジュリアス・シーザー』■

2013-01-28 00:55:55 | 映画【イタリア】


  『塀の中のジュリアス・シーザー』:公式サイト




ローマ郊外の刑務所で実在の受刑者達がシェイクスピアの戯曲『ジュリアス・シーザー』を演じる中、
段々役の登場人物と同化していく過程を描く。
この映画に登場するキャストは実際の囚人達・元囚人(現在は俳優)を起用。

基本的にモノクロ(セピアがかっていたのでパートカラーかも?)。
クライマックスの上演以降はカラーになっていた。

演劇とは異なるけど、塀の中で役割を演じる設定は
ドイツ映画『es[エス] - goo 映画』のような戦慄が走る作風を予想していたんだけど、
刑期が10年以上の受刑者で終身刑の受刑者もいるわりには
暴力的な生々しさはなく、実に淡々としていました。
演技指導も少しジョークを交えながら穏やかだし。

役に入り込む事によって狂気がよみがえるのではなく、

演技に目覚めた事によって心の垣根がなくなり、浄化されていっているような。
演劇研修を機に出所してから俳優になり、数々の映画で活躍している者もいる。
終身刑ではない受刑者にとっては演劇研修は更生プログラムにもなり得るのだろう。

私自身『ジュリアス・シーザー』をあらかじめ読んでいたなら、
もっと深く世界観を味わえたような気もした作品でした。


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