![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/77/c643b67ff49e025e5cf43d5dd35c68ca.jpg)
『海炭市叙景』:公式サイト
路面電車
村上春樹、中上健次らと並び評されながら、文学賞に恵まれず、
90年に自らの命を絶った不遇の小説家・佐藤泰志の短編小説を
オブニバス的な構成で映画化。
佐藤泰志 - Wikipedia
映画は原作通りなのかどうかはわからないけれど、
もしも原作に忠実ならば文学賞に恵まれなかったのはわかる気もしてしまったな・・・。
物語は地味にストレートすぎてヒネリがないというか・・・。
唯一、動きがあったのは小林薫と南果歩がメインのエピソードだけでしたね。
でも、そのエピソードだけは昼ドラ並みに激しくてなんか浮いていたな。。。
出演者では短髪で荒々しい口調の加瀬亮がカッコ良かったけど、
初日の出を見に行く谷村美月演じる若い女性を見送る
兄役の俳優さんのせつない眼差しもとても印象深かったですよ。
予告編では漁港ぽい感じがしたんだけど、造船の町を舞台にした作品だったのですね。
労働闘争?の場面はキェシロフスキ映画を思い出したり、
流しの中に食器を直に置いたりするような
庶民のしみじみとした生活感はジャ・ジャンクー映画を思い出したり、
アート色が感じとれる作品ではあったけど、心に迫ってくるものはなかったです・・・。
ただ、路面電車は大阪にもまだ残っているので親近感を覚えましたよ。
東京ではもう荒川線しかなく、これは架線はないので、
函館の路面電車は風情があるなと思いました。
これが現実なんだなあって思うんですよね。
他の映画だと綺麗事になっている部分が、ここでは全く救われていないから。
それでも少しずつ進もうとしている、海炭市の人々の姿、なのかなあ。
東京にも路面電車が残っているのですね。
大阪では阪堺線(大阪市南部の天王寺からその南隣の市である堺市北部の路線)だけだと思います。
天王寺周辺は架線は残っているのですが、その先まではわからないです。
やはり、架線が残っているほうが情緒ありますよね。
この作品は救いがなく閉塞感漂う容赦ない現実が描かれていましたね。
それでも前に進んで行くしかない海炭市の人々の暮らしは
今の不況の世の中に暮らす庶民の意識に通じるものがあるかもしれないですね。