~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

□『蟹工船』■ ※ネタバレ有

2009-07-09 00:05:38 | 映画【日本】

代表者

国家事業?によって強制労働を強いられていた労働者が亡くなったり、
途中、蟹工船から逃げ出したりしている労働者もいるのに
ナンセンス?な空想場面・回想場面が取り入れられているからか
劣悪な労働環境で精神的に追いつめられている張りつめた緊迫感が乏しい・・・。
クライマックスの展開も唐突に感じたし、演出が緩いように感じてしまいました・・・。

浅川監督役の西島秀俊は肩幅広そうで白コート姿が似合っていましたね。
(若い頃のアラン・ドロンのノワール映画のようなノーブルな佇まいでした。)
冷徹な言動ながらも憂いのある目は深遠なる魅力がある。

漁夫・新庄役の松田龍平のさりげない目の動かし方も艶やかで印象深い。
10代でデビューし注目されると大人になってからはパッとしない人もいるけど、
松田龍平は近年では連続ドラマにも出演し、コンスタントに活躍し続けていますね。

西島秀俊と松田龍平はいつもと比べて声が力強く大きい場面が多かったのが良かった。

この作品は小林多喜二原作で1953年の『蟹工船(1953) - goo 映画』のリメイクらしいけど、

 
蟹工船 - Wikipedia

この作品は主に船内の物語でスケール感はないし、熱い台詞?なので
映画よりも舞台向きのような気もしました。


P.S.松田龍平単独インタビュー記事

 
『蟹工船』松田龍平 単独インタビュー  〔シネマトゥデイ〕

4 コメント

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男の物語。 (BC)
2009-07-24 22:44:20
ときおさん、はじめまして。
コメントありがとうございました。(*^-^*

今は日本映画が勢いありますが、
人気スター(アイドル)主演作やテレビ局主導のドラマの延長線上の柔な映画が主流で
“男の物語”が撮れる若手監督が育っていないし、
若手俳優は線が細く一昔前の日本男児的な逞しい俳優がいない現状で
昔の原作・旧作映画をリメイクする事自体が無理があったような気もします・・・。

この作品は日本でリメイクするよりも
哀愁のある“男の物語”が作れる
韓国か香港でリメイクしたほうがしっくりくるような気もしました。
返信する
まるで素人が作った映画 (ときお)
2009-07-23 21:59:35
この間、SABU監督新作映画蟹工船を観に行きました。
しかし、ここまで酷く描く作品は観たことありません。
私は若いときに原作を読んだ記憶ありますが昨年の蟹工船ブームになっていたので再読しました。1953年山村惣監督の蟹工船も観ました。
リアルでおっさん臭いほど演技が光る重圧感と虐げられた労働者たちが起ちあがるシーンは感動そのものです。
 新作ではどうかというと時代無視、どこか懐かしい昭和30年代の日本の面陰を散らす。船内の糞壷はまるで大きな蜂の巣みたい。天井剥がしたようにかなりある配管。作業場にはコンベアを動かす大きい歯車があります。まさにSABU監督らしい演出です。だがお話は原作と違い、飽きれるほど貧乏自慢話や集団自殺?これって誰に観せているのかわかりません。
さすがに途中で帰ると思いました。まあ。最後まで観るのが礼儀でしょう。
前編ではこんな感じで進み、後編にあたりかな?小林多喜二の原作が息吹き返してくるが、行く不明になった二人の漁夫がロシアで救助され、ロシア人たちが踊っている船内で怪しげな中国人が話かけてくる。この台詞は謎説きのようにへんな日本語で説得する場面であるが、笑いさせるところでしょうが私はイライラしてまったわい。戻ってきた二人の漁夫。そのうちのリーダーの漁夫は労働者たちを団結させ、ストライキ突入。要求書を持って浅川監督に渡すのだが、その翌日。駆逐艦の水兵たちに包囲させる?じゃない。
宇宙船のような将軍と一人の水兵でした。突然、浅川監督がリーダーの漁夫の背中にピストルで打ったれてしまう。リーダーの漁夫が叫ぶ。ロシア人や日本人なんて関係ない。みんな、同じ歯車じゃないかと云って死んでいくリーダーの漁夫の役松田龍平くんの演技は素晴らしいかったと思います。
そして、SABU監督も感動したという、彼等は起ち上がった、もう一度というストーリです。だから、前編の方で作業場シーンに労働者の表情のアップ、全体の繰り返しの演出すること。同じアングルではあまりよくない。
蜂の巣のような糞壷シーンも同じアングル。映画なのに舞台を観ている感じ
です。役者の台詞が聞き取りにくいところが多い。映画監督は最低劇作家シェークスピアを読むべし。
 蟹工船は優れたプロレタリアート文学であり
弱い立場の視点で描いたものです。
映画監督選び方が間違ったのでしょう。
文学的知識を持った職人の映画監督ならば
しっかりした蟹工船の映画になったかもしれません。
SABU監督のようなポップアート表現主義は悪く思わないがかえて自己意識が強くなりがち、これはオリジナル作品だったら良いでしょう。
 蟹工船は文学性の高いものであるから、
映画製作担当者は真剣に考える必要ではないでしょうか。
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原作と映画。 (BC)
2009-07-09 23:49:32
KLYさん、こんばんは。
トラックバック&コメントありがとうございました。(*^-^*

私は最近では原作と映画は別物だと割りきって観るようになったので
演出側の独自の解釈で原作をアレンジするのは別に構わない気もするんだけど、
この監督は肝心な場面を茶化しすぎていて重厚さが全くなかったですよね・・・。
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そもそも・・・ (KLY)
2009-07-09 00:20:54
現代風にアレンジは不要だったんだと思いまし
た。原作がもつ重さや暗さに今の若者が自分た
ちを投影してリバイバルブームになってるのに、そこを変えちゃったらなんのためのリメイ
クなんだか…。
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