~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

□『キセキ -あの日のソビト-』□ ※ネタバレ有

2017-02-05 19:56:02 | 映画【日本】


  『キセキ -あの日のソビト-』:公式サイト

身の丈

メディアに一切顔を出さない4人組男性歌手GReeeeNの成功への軌跡を実話に基づき映画化。
厳格な父の反対を押し切り家出したミュージシャンの兄:ジン〔松坂桃李〕。
歯医者を目指す弟:ヒデ〔菅田将暉〕は友達と共に歌うポップスに惹かれていく。
弟達のグループの才能を知ったジンは、自分のバンドが果たせなかった夢を弟達のグループに託す事を決意し、
売り出すために奮闘する過程を描く。

 GReeeeN - Wikipedia

病気の少女役の女優さん、健康的な体型だし、メイクもしているぽかったので
心臓病の患者には見えなかったな。。。

冒頭の兄のライブシーンからガッツリ心掴まれた。
反骨精神の強い兄とマイペースな弟。
本来のイメージだと菅田くんが斜に構えていて、松坂くんが穏やかなイメージなんだけど、
逆のイメージの配役なのが興味深かった。
そんな兄弟がさびれた商店街でぶつかりあう場面はお互い一歩も譲らない物凄い気迫だったな。
顔立ちが似ているわけでもないけど、ちゃんと兄弟に見えたのは
二人の演技力もあるだろうけど、同じ事務所の先輩後輩の信頼関係が息づいているからだと感じた。

兄のバンドメンバーはそれぞれ音楽観を持っている分、自我が強くて
つっかかってギスギスしてでも率直に意見を主張していくけど、
弟のメンバーは1人だけ意見が分かれても、「まぁそうだよね〜」という感じでおっとりしている。^^
メンバー抜けようとしても激しく責め立てたりはしないし、また戻ってきても穏和に受け入れる。
例えるなら、まるで昭和の熱さと平成の緩さの世代観の違いというか。
(まぁ、この兄弟はそんなに年齢離れていない気はするんだけど。。。)
どちらも才能はあったのかもしれないけど、“音楽”は“音”を“楽しむ”と書くように
常に伸び伸びしていた弟のグループのほうが可能性を高められたのでしょうね。
まぁ、音楽がダメだったとしても歯科医の受け皿がある分、
切羽詰まっていないというのもあったからフラットでいられたんだろうけど。

兄はメタルバンドに挫折し弟のグループのプロデューサーに。
弟は医学部受験に挫折し歯科大から歯科医へ。
“身の丈に合ったコト”というのは挫折から派生するモノなんだろうけど、挫折を受け入れてこそ前へ進める。
でも、ただそれだけではなく、弟の音楽の才能が開花したのは兄がプロデュース出来る環境にあったからで、
タイミングや縁があってこそなんだろうなと。

厳格な父が「GReeeeNみたいになれよ」という旨言う場面が一番ウルッときたな。
多分、患者が聴いていた曲の歌声を聴いて
父はGReeeeNのメンバーの一人は息子なんだとわかっているんだと思う。
でも、素直になれないから、父なりの精一杯の声援なのでしょうね。
親はなんだかんだ望みを押し付けても結果的には子供の生き方を受容して、子供の幸せを一番に願っているからね。

弟のグループの他の3人それぞれのキャラクターや、
弟のガールフレンドの心情を掘り下げればもっと味のある作品になった気もしますが、
主人公である兄弟の葛藤、レコード会社のディレクターのプロ意識、そして、両親の心情。
肝心な心理は描かれていたのは良かった。
単なるサクセスストーリーではなく、人間を見つめていたのが良かったと感じた作品でした。
 


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