芸術家
名案
1920年代に映画がサイレントからトーキーへと移行する時期のハリウッドを舞台に
サイレント映画の大スター俳優ジョージ・ヴァレンティンと
トーキー映画の新進女優ペピー・ミラーの恋物語を情感豊かに描くモノクロサイレント映画。
昨年のカンヌ国際映画祭男優賞受賞、
今年のアカデミー賞の作品賞・主演男優賞・監督賞など5部門を受賞作。
トーキーの時代の波に乗り成功していくペピーと
サイレントからトーキーへ移りゆく中で
頑固にサイレントにこだわったが為に凋落していくジョージ。
光と影な男女がどう折り合っていくかを描いている物語で普遍的なお話しなのですが、
なんと言っても特筆すべきなのはジョージの愛犬!
自暴自棄になりフィルムを燃やして意識朦朧としているジョージを助ける為に
必死に駆け抜けて助けを求めに行ったり、
自殺しようとするジョージを懸命に引きとめようとする
健気な忠犬は今までも映画やドラマで登場した気もするけど、
ジョージと同じ歩幅で歩いていたり、ジョージと同じ角度で背中を丸めていたり
その徹底ぶりは演出なのか?犬の素質なのか?わからないけど、
とにかく凄いなと思ったの~。
犬の素質ならばこの犬はまさしく天才役者ですよね☆
時代が流れてもサイレントにこだわるポリシーなのか?
トーキーへチャレンジするのが怖いのか?
わからないけど意固地なジョージと、
トーキーで成功し当初は浮かれ天狗?になりながらもジョージの事は気にかけていたペピー。
ジョージを完全に見捨ててはいなかった運転手。
そして、ジョージの傍らで忠誠を尽くしている愛犬。
ペピーの名案によってペピーとジョージが織りなすステージは幸福感に満ちていたよ。
結局は悪人が一人も登場しないところは映画への敬意が伝わってくる。
不器用ながらも映画に生きる人達、支える人達が愛おしく感じた作品でした。
あの奥さんにしたって、写真の顔にいたずら書きするぐらいのもんだし・・(笑)
落ちぶれたって、ずっと傍らにいる運転手さんやあのいじらしいワンコ(アギー)
温かさにあふれた映画でしたね。
ヒューゴもそうだったけど、“映画”を愛する人たちが作った作品なのかなって思った。
そうだよね、結局は悪者が一人もいないから後味は良いよね。
ジョージを完全に見放さなかった運転手さんも良い人だよね。
>“映画”を愛する人たちが作った作品なのかなって思った。
映画を心から愛する人達(スタッフ・出演者・ワンコ)が一丸となって作って、
その作品を映画を認める人達(審査員)が素直に絶賛したからこそ、
フランス映画は不利な向きがあった?オスカーも受賞する事が出来たのだろうね。