~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

*『アナザー・ハッピー・デイ ふぞろいな家族たち』* ※ネタバレ有

2012-12-02 21:47:42 | 映画【アメリカ】


  『アナザー・ハッピー・デイ ふぞろいな家族たち』:公式サイト

二人の母

別れた夫に引きとられた長男ディランの結婚式に出席する為に
今の家族を引き連れ元夫宅へやってきたリン〔エレン・バーキン〕とリンを取り巻く家族達を描く。
バリー・レヴィンソン監督の息子であるサム・レヴィンソンの監督デビュー作で
26歳でサンダンス映画祭脚本賞受賞。

シビアな『アダムス・ファミリー』みたいな感じなのかしら?
個性豊かな家族達を描く作品であっても一人ぐらいはマトモな人がいて
そのマトモな人の視点で物語が展開していくのが多いけど、
この作品は皆それぞれイタすぎてマトモな人は誰一人いない。。。
言っている事も弱音・愚痴、嫌味・皮肉・・・。
全部本音ではあるんだけど、罵り合って家族の醜さをあぶり出している感じ。
だけど、裏を返せば家族だからこそ尾を引かず言える事だから、実にリアルだった。
そして、まったりしたテンポで描いていたから陰険さはなくて観やすかったな。

私は息子の気持ちはよくわからないけど、
結婚する長男ディランが結婚式の介添人に長年育ててくれた継母:パティ〔デミ・ムーア〕ではなく、
幼い頃に離れた実母:リンを選んだのはなぜなんだろう?
そりゃ、本当の母親になろうとして一生懸命息子を育ててきたパティとしたらやってられないし、
キレるのもわかるなと同情してしまったよ。
そのモヤモヤをパティはリンにもぶつけるんだけど、
パティは結婚式のパーティでは自分がスピーチした後にリンにもスピーチさせていた。
パティはストリッパー上がり?で気が強くて一見、品がなさそうにも見えるんだけど、
率直に思った事をぶつけている。
トイレにこもったりウジウジしがちなリンよりかはパティのほうが潔くてカッコ良い女に見えたな。
パティが単に嫌な女に映らなかったのは
若い頃に『セント・エルモス・ファイアー - goo 映画』や『ゴースト ニューヨークの幻 - goo 映画』で
清らかな役を演じてきた彼女だからなのかもしれないね。

エリオット役のエズラ・ミラーは 『少年は残酷な弓を射る』の役ほどエキセントリックではないけど、
今回もクセのある役でしたね。
目力はそれほど駆使していなかったけど、 険のある言い回しは冴えていて存在感ありましたね。

父であるバリー・レヴィンソン監督は正統派の演出だけど、 サム・レヴィンソン監督はシュールな演出で別のタイプですね。
ただ、バリー・レヴィンソン監督は『レインマン - goo 映画』で
サム・レヴィンソン監督は『アナザー・ハッピー・デイ ふぞろいな家族たち』で
自閉症を題材にしているのは共通していますね。

終盤になってもいざこざがなかなか終息する気配もなかったけど、
なんとかまとまるのかと思いきや、ああいうオチとは。。。
家族達のキョトンとした無表情が何とも言えないシニカルな妙味を残す作品でした。
 


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