~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

*『バックコーラスの歌姫たち』* ※ネタバレ有

2013-12-28 15:17:06 | 映画【アメリカ】


  『バックコーラスの歌姫たち』:公式サイト

グループ
ソロ

音楽界のスーパースター達を陰で支えながらも、一般には注目される事はない
バックコーラスのシンガー達にスポットを当てたドキュメンタリー。
プロデューサーとの軋轢を経験した者、
ソロ・デビューを夢見ながらも成功を収められなかった者。
10人以上のバックコーラスのシンガーの人生模様をポップ・ミュージックの歴史と共に綴る。

バックコーラスの彼女達の歌声が声量・表現力共に素晴らしくて、聴き惚れてしまい、
内容を忘れてしまうほどだったな。^^

アメリカは映画ではさほど演技が上手くない人もいるけど、
歌謡界に関しては上手くて当たり前なのかしら?
バックコーラスグループに留まる者もいれば、
バックコーラスグループからソロになり成功を夢見る者もいる。
だけど、バックコーラスからソロで成功した人は少なくて、
さほど出世欲はないけどソロになってみた人が売れたりする。
だけど、その人も最初の曲は売れても、二曲目はタイミングを誤り売れなくなる・・・。
かと思えば、バックコーラスを経験せずにオーディションで合格して
いきなりデビューし、一気に大スターになる者もいる。

必ずしも実力=人気に繋がるとは限らない厳しい歌謡界。
バックコーラスの人達は声を他のメンバーと合わせられる協調性はあるが、
自己アピールは下手なのが要因だという旨が語られていた。
それに加え、時代の流れにノレるか否かもあるだろうけど、
自分の魅力を存分に引き出してもらえる
有能なブレーンに出逢えなかったのもあるかもしれない。

確かに、日本でもグループから離れて独立し、ソロ歌手に転じる場合、
女優や司会者で成功するのはあっても、ソロ歌手で成功するのは少ないような気もする・・・。
最初からソロ歌手の人は一人で頑張るしかないから嫌でも自己アピールしないといけないけど、
グループに在籍していた人は皆が皆、全てのパートを歌うわけではないし、
出来ないパートは他のメンバーが歌えばいいわけで。
必ずしも自己アピールする必要はなかっただろうし。
それにバックコーラスだと脇役なので、主役の大スターの声を引き立てるのが役目だから、
自己アピールしすぎるのも良くないだろうし。
そういった意味ではデメリットのほうが大きいかもしれないね。

例え売れなくとも、長年やっていれば実力を表彰?されたり、
実力が信頼されれば男性グループのツアーでの相手役ヴォーカルに抜擢されたりもする。
売れなくとも実力があれば認められる土壌もある事に救いも感じる。

音響機器も発達してきた時代、不況からか人件費を浮かせる為か
バックコーラスは仲間内で済ませる傾向になり、
バックコーラスの需要も減ってきていて、彼女達は益々厳しい状況におかれている・・・。
それでも、結婚・出産といった平凡な暮らしに追い求めるのではなくて、
歌に全てを捧げる事を選ぶ者もいる。
彼女達にとってはバックコーラスであれソロであれ、歌=人生なのかもしれないですね。

女性を描いたドキュメンタリーは恋愛模様に話題が集中しがちだし、
業界ドキュメンタリーは人間関係を誇張したものが多かったりするけど、
この作品は歌謡界の変遷の中での彼女達の歌声、
歌への情熱に寄り添うように描いていたので観やすかった作品でした。


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