~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

*『愛してる、愛してない』* ※ネタバレ有

2013-03-26 22:33:33 | 映画【韓国】


  『愛してる、愛してない』:公式サイト

ケンチャナ(大丈夫)

直木賞作家の井上荒野の短編小説『帰れない猫』を
“第二のキム・ギドク”と称される鬼才イ・ユンギ監督が映画化。
建築家である彼〔ヒョンビン〕と編集者である彼女〔イム・スジョン〕。
共働きの結婚5年目の夫婦が別れを迎える様子を静かなタッチで紡ぐラブストーリー。

『愛してる、愛してない』はしっとりとしたラブストーリーなので、
ハードな愛を描くキム・ギドクとは対照的だから
どうして、“第二のキム・ギドク”と言われているんだろう?と思っていたんだけど、
この作品は20日間13回の撮影だったので早撮りという意味でなのかしら?
作品のカラーは真逆だけど、作家性の強い監督ではあるし。

彼女役のイム・スジョンが「ケンチャナ(大丈夫)」と言うと、
イム・スジョンが主演した『サイボーグでも大丈夫』を思い出してしまった。。。

 『サイボーグでも大丈夫』。。。

『サイボーグ~』ではエキセントリックな女の子役だったけど、
『愛してる、愛してない』では物憂げな大人の女性役なので
年月の流れもあるだろうけど、彼女の役幅の広さを感じましたよ。

イム・スジョンとヒョンビンという人気スターを起用していてもアップを多用してはいない。
カメラは2人が会話している車内や部屋を少し距離を置いて空気のように見つめている。

妻が出ていく荷造りをしている家に迷い込んだ仔猫の飼い主である
仲睦ましい夫婦が現れる以外は主人公2人の会話劇。
別れ際の会話であっても泣きもせず、怒りもせず、感情を荒げる事はない2人。
「怒ったところで変わらない。」という彼の気持ちもわかるんだけど、
彼女が浮気をして、彼女から一方的に別れを切り出しているんだから
彼女としては彼に怒ってほしいよね。
ただ、彼に振り向いてほしかっただけなのに・・・。
彼は仕事が上手くいっていないみたいなので自分に自信がないのかしら?

設計って聞こえだけは良い職業だけど、集中力と発想を駆使しないといけないし、
緻密な作業の積み重ねでキツイわりにはお金にならない?ので、ロクなコトないかも?
だからと言って、そう簡単に辞められないし。
この職が好きとか嫌いとか言う以前に、コレしか出来なくなっているからね。
なので、彼は本気で設計辞めるならば、今後どうするんだろうと思ってしまったわ。

パスタを作る時も夫が先にキッチンに行くのを見ていると
妻は家庭的な人でもなかったのだろう・・・。
夫が切っているタマネギを心の涙に隠喩しているのはなんとなく感じとれたんだけど、
妻の元に再び訪れた仔猫はいったい何を意味しているんだろう?
奥深い余韻が残る作品でした。


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