~青いそよ風が吹く街角~

映画(主にミニシアター映画)の感想文を軸にマイペースで綴っていきます。

●『チョコレートドーナツ』● ※ネタバレ有

2014-06-16 00:06:46 | 映画【アメリカ】


  『チョコレートドーナツ』:公式サイト

僕の家

同性愛に対して差別と偏見が強く根付いていた1970年代のアメリカでの実話をもとに、
育児放棄されたダウン症の少年マルコと家族のように暮らすゲイカップルのポール&ルディの愛情を描き、
トライベッカやシアトル、サンダンスほか、全米各地の映画祭で観客賞を数多く受賞した作品。

“泣ける映画”という評判をよくきくけど、私は全くと言っていい程、泣けなかった。
(『神さまがくれた娘』や『7番房の奇跡』を観た時と同じような感覚。。。)

 『神さまがくれた娘』 ※ネタバレ有

 『7番房の奇跡』 ※ネタバレ有

一般人が観たら素直に感涙出来るんだろうけど、
そういった障害者に関わった事がある人が観たら、多少なりとも首をかしげる部分はありそうな感じで
なんか、しっくりこないのよね・・・。

それでも、実話をもとに描いているだけあって、とても考えさせられたよ。
国の法律、州法、同性愛のカミングアウト、
ロクでもない親でも実の親か?無償の愛を捧げてくれる他人か?、
ダウン症の子供を養子にすること等もそうだけど、施設の定義がね・・・。
国柄も違えば時代背景も異なるから一概には言えないんだけど、
この作品は“施設=末路”と位置付けているのが解せなかったの・・・。
ヤク中の実の母親に子育て能力なんてないだろうけど、
だからと言って、ゲイカップルのもとで育つのが当たり前だとマルコが思いこんでしまったら、
男女のカップルを異常だと錯覚し、パニックを起こす怖れもある・・・。
施設と言っても実に様々で、
入所者を人間扱いしないひどい施設もあれば、
献身的なスタッフを揃えている良心的な施設もある。
決して施設は“末路”ばかりではないはず。
良心的な施設ならば、ケアも行き届いているだろうし、
その人に施設の気風が合っていれば”至福”とも言えるような気もする。

まっ、健常者であれ障害者であれ、自分の居場所は自分で察知して悟るものなんですよね。
大人であれ子供であれ、自分のホームは自分で決めるしかない。
ただ、子供は生活力がない為、大人の意向に振り回されてしまうしかない場合が多い・・・。

親としてマルコと真っ直ぐに向き合おうとする為に
世間にゲイをカミングアウトしようとする理想的なルディ、
マルコとの生活を守る為にゲイを隠そうとする現実的なポール。
ルディは青臭いというか、ある意味、一番子供だわ。。。
ルディは素直な自分でいたかったんだろうけど、
ポールの言うようにマルコと長く暮らしていきたいならば、ゲイを隠し通すのが懸命だろうし。
でも、カップルとは言え、他人同士なんだから
大なり小なり価値観の相違があるのを避けようがないだろうし。

ポール=父性ならば、ルディ=母性。
ルディは必ずポールの一歩後ろで微笑んでいて、まるで妻のようだったな。

この作品の一番誉めるべき点はダウン症の方がドキュメンタリーではなく、
劇映画でキチンと演技をこなせている事。
(多分、この方は軽度だろうから演技が出来たのかもしれないけどね。)
日本では身体障害者が本人役や本人をモデルにした役を演じる事はあっても
自閉症・知的障害者、ダウン症の人が劇映画で役を演じたのは思い浮かばない私です。
それと比べると、自閉症・知的障害者、ダウン症の人の可能性を伸ばせる
教育システムが整っているアメリカは開けているなと感心。
ダウン症の人の可能性を示した画期的な作品ですね。


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