帰ってきた常時リソース不足

センセイ(べ・一文字)の日々是アキバ系ヲタ生活 あーかいぶ

小説 『機動警察パトレイバー TOKYO WAR』

2005-06-24 02:20:36 | うんちく・小ネタ
単行本 『TOKYO WAR MOBILE POLICE PATLABOR』
押井守監督が書き下ろした処女小説が、完全版として復刻!


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1992年公開の「劇場版 機動警察パトレイバー2」を当時監督自身がノベライズしたモノが復刊されるそうですが…

TOKYOWAR

何故か旧版を持っているセンセイです。
もともとパトレイバーの小説は、劇場版第一作を脚本の伊藤和典氏が月間ドラゴンマガジンで連載したモノをまとめた一冊、以降2~5巻をシリーズに脚本として関わった横手美智子氏が執筆、そして押井守監督によるこの二冊と、計七冊が富士見ファンタジア文庫から出版されてます。
現在のライトノベル大盛況の今からじゃ信じられませんが、当時のこう言ったノベル業界はライトファンタジーとアニメやゲームのノベライズが支えていたんですよ。角川とかあかほりとかポリリンとか

この「TOKYO WAR」富士見F文庫版の特徴は(以下ネタバレ含みますので注意)


・挿絵:末弥純(これまではキャラデザの高田明美)
・劇場版で大幅にカットされていた旧第二小隊の面々のエピソード追加(野明と遊馬のシーン・第二小隊同窓会)
・松井刑事と荒川が協力して捜査するシーンあり
・特車二課壊滅後再集結のシーンが榊班長自宅前でなく銭湯(どこのヤクザ映画だ)
・松井刑事監禁の場所があの飛行船内
・最終出撃前の太田が遺書をしたためるシーンあり

無論全体の構成などは変わっておりませんが、何より感じるのが

・食事飲食シーンの多さ

これに関しては序盤から列挙すると

・野明と遊馬、出向先の篠原重工食堂(バイキングスタイル・非常に豪華)での昼食
遊馬…ハンバーグ・大盛ライス・ポタージュ・杏仁豆腐・コーヒー
野明…ハンバーグ・カニチャーハン・オニオングラタンスープ・ポテトサラダ・パフェ

・デモ列警備の後藤隊長ミニパト内に松井刑事の缶コーヒーの差し入れ
「松井の好みなのか、甘さ控えめではなく純然たる甘口」

・野明と遊馬、帰宅中のワーゲン車内での夜食のコンビニおにぎり
オカカを野明に取られる遊馬。野明はシャケを向くが、「北海道生まれの野明はコンビニあたりに出回っている鮭は馬鹿にして食べない。二課時代にもホカ弁の鮭だけは頑として拒んだ女」
野明にそんな裏設定が…。

・特車二課に荒川訪問。(劇場版では)車内での話だったが二課でコーヒー
とにかく不味いコーヒーを有り難がって飲む荒川。後藤が「もしよかったら」と勧めると自分のカップに入れて飲み始める。恐るべき無神経さで神経質なしのぶさん眉をひそめる。

・旧第二小隊の面々、新宿の割烹で「同窓会」
安い店の宴会セットのスキヤキ、進士が第二小隊改変の深刻な話をするので誰も手を出さず「肉が佃煮のように縮み、豆腐も野菜も煮えすぎて正体を無くしている」。なお宴会は隣の席でかけたカラオケの『想ひ出のベイブリッジ』に激怒した太田が乱闘を始め追い出される。シゲさんに連れられた怪しい呑み屋で「正体不明の焼肉を貪り喰い、バクダンと称する酒を痛飲」し、溺死者の群れと化す。

・水族館で荒川の報告を聞く後藤
劇場版では船の上の回想シーンとしての荒川の長台詞(不正義の平和と正義の戦争)が、食堂で後藤がハンバーグ定食を食しながら聞く。なお荒川は不味い事で定評のあるコーヒーをすする。

・特車二課出動で練馬駐屯の自衛隊と対峙
劇中にも有った後藤がフライドチキンを食いながら機動隊中隊長に「故障です」ととぼける。「弁当は冷えてて不味く、後藤は出動時にはファーストフードを愛用していた」

ここまでが上巻で、これだけで正直おなか一杯です。でも下巻はさらに凄い。

・新橋の立ち食い蕎麦屋
荒川に呼ばれた後藤、三坪弱の店内で現状の報告と密談。

これだけなんですが、味覚オンチの荒川が大量の部下を引き連れて一緒に立ち食い蕎麦を食っている(しかも末弥純の丼を持つ荒川の挿絵付き)とか、後藤はカケを注文し"生玉子50円"のザルから卵を取り、手馴れた手つきで入れて黄身を潰して喰う。そこで話す内容が「首都圏に配備された自衛隊の維持費、その大勢は食費」と言うハナシ。


流石「立喰師列伝(Amazon)の押井監督。もう生きるために喰う、をパトレイバーの世界に投影させてしまっております。ま、TV版でもあの大傑作「特車二課壊滅す!」の脚本を書いた人だししょうがないか。
よって、センセイも含め旧来のパトレイバーファンはほぼ間違いなくこの小説を読んでいると思われますが、センセイの興味は「これら食事シーンがどのようになるか」に尽きます。

ちなみに、この小説を読んで以来、月見ソバの卵は潰してから食べるようになってしまったセンセイでした。

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