万能調味料 2005年12月19日 | 詩 英雄たちの香ばしい香り 悪役たちが隠し味 歴史は万能調味料 オトナタチノゴツゴウシュギ 社会主義に塩コショウを一つまみ 資本主義に醤油を回し入れ グツグツグツグツ 鍋の中の実験室 お皿の上に綺麗に盛り付ければ そこはもう 僕の世界です
落葉 2005年12月18日 | 詩 君は 温もりを抱き込んで さようならをする 涙と共に地に落ちて やがて 次の命を生む母となる その涙は 遠い春までの力 しばし独りになるけれど 次の春までの辛抱です まだまだ小さな種だけど 大事に抱えて温めて 寒空の下 耐えるのです
I Can fly 2005年12月16日 | 詩 イカロスの見た空 リリエンタールの見た空 ライト兄弟の見た空 それが同じ空だったら 僕らは未だに飛べない鳥 クラークの見た宙(そら) ガガーリンの見た宙 アームストロングの見た宙 それが同じ宙だったら 僕らは未だに泳げない魚 蛙からオタマジャクシに戻れないように 僕らもあの頃には戻れない Can I fly? 地平線を眺めた時の感動は? 星の煌きを数えた時の息遣いは? 半分の虹を夢中で追いかけた時の瞳は? 蛙の合唱の中 僕はこう叫んだ I Can fly その夜は星が綺麗だったらしい
永遠-never- 2005年12月15日 | 詩 凍り付いた時計の刻む時の彼方には いつもあなたの一瞬がある 時計がゆっくりと終わりを告げるとき 夢も静かに息吹をはずませるだろう たとえ時が許さなくとも この夢は終わらない
相対性理論 2005年12月14日 | 詩 僕らは廻る -そして太陽は何時も其処に在るのです. 僕らは立ち止まる -そして風は地球と共に廻るのです. 僕らは微笑む -そして冷たい世界は 少しだけ温かくなるのです.
観葉植物 2005年12月13日 | 詩 街中に生えてる草木はみな 灰色です 排気ガスで汚されて 灰色です 区切られた空間に押し固められて 栄養の争奪戦です 我こそはと葉を伸ばして 光の争奪戦です 世の中どこもかしこも 弱肉強食です 奪っても所詮 灰色ですよ 春になったら全部 総入れ替えですよ それでも 奪い合うしかないんですね それでも 葉を伸ばすしかないんですね それしか 生きる道はないんですね 空虚でも 人生です 灰色でも 葉っぱです 神様の見せ物 枯れるまで続くコロシアムです 灰色の葉っぱは 争って負った傷跡なのですね 灰色の花壇に敬礼したら 僕らも 区切られた戦場へ