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最近読んだ小説レビュー Vol.10

2005年11月28日 | 小説レビュー
最近、月に2冊ペースになってしまってるけども、一字一句ちゃんと噛み締めながら、味わいながら読んでます。


月に一度のこのコーナー!(今月は少し遅くなったけど……)いってみよう!


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『MOMENT』/本多孝好 

≪感想≫
ストーリーは、病院でバイトをする主人公が、末期患者の願いを叶えていくという連作短編なんですが、割といいです。

必殺仕事人なる、願いを叶える人物に成り代わって、願いを叶えていく物語なんですが、偽善者っぽく見えない。(まぁ多少見えますけど)
でも話のテンポもよく、ささやかなオチもある。

しかも、最終回は、本物の必殺仕事人との勝負。
ドラマとしての構成はちゃんとしてます。

これは全然ドラマ化できると思いますね。

一言で言うと、気軽に読める小説です。
僕は好きですね。

続編があれば、読むと思います。


『ナ・バ・テア』/森博嗣 

≪感想≫

一言で言えば、「大人のファンタジー小説」

『スカイ・クロラ』の続編ですけど、時系列で言えば、『スカイ・クロラ』より以前の話で、『スカイ・クロラ』に出てきたクサナギが主人公の物語です。と、言ってもこのシリーズは、物語はあってないようなもの。

このシリーズは本当に不思議なんですよね。
読み終わっても、何も残らないんです。でも悪い気分じゃない。
おもしろくないと読み進められない性質なんですけど、すらすら読み進められる。
でも、おもしろいわけでもないし、つまらないわけでもない。

だから、「おもしろかった?」と感想を求められると、困る小説ですね。

まるで、電車の車窓から見る流れる景色を見ているような感覚なんです。
だから、風景を見て「おもしろい?」って言われても答えられないけど、
「綺麗?」と言われると、まぁなんとか答えられる感じ。(わかりづらいと思いますが)

書き方も、このシリーズに関しては、読者に不親切で、必要最低限の文以外書かれていない。だから、ファンタジーなのに説明もない。知ってる前提という感じ。

でも、それはこの作品の特色と言っていいのかもしれない。
だって、この物語にそういう説明は必要ないから。

物語を楽しむというよりは、その世界観、雰囲気を楽しむという感じに近いです。
読み手を選ぶ小説ではありますね。

好きか嫌いか、と言われると、「好き」な類ではあります。


※ちなみに、掲載してる表紙写真は、ハードカバー版です。現在、ハードカバー版、新書サイズ版、文庫版が出てます。



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