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映画感想文 特別編 「12人の優しい日本人(舞台版)」

2007年01月13日 | 映画感想文
「12人の優しい日本人」(2006)
★★★★★★★★★★


STAFF 作・演出:三谷幸喜
CAST 浅野和之、石田ゆり子、伊藤正之、江口洋介、小日向文世、鈴木砂羽、筒井道隆、生瀬勝久、温水洋一、堀内敬子、堀部圭亮、山寺宏一 (50音順)

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WOWOWでお正月にやっていた「12人の優しい日本人」を録画していて、それを昨日観ました。


まず、一言で感想を言うと、「すんげー面白い!」


まず、12人の人間全てに命を通わせた三谷さんはすごい。
無駄なキャラがいなくて、全てに平等に役割を持たせている。

なんといってもその12人の動かし方が巧みで、12とおりの価値観をブレずに作れてる。

当たり前だと思われるかもしれないけど、12人も主要人物を投入してストーリーを成立させるのはすごい難しい事なんです。

二流以下の作品は、どこかカブっていたり、台詞一つのためだけに用意されていたり、人数あわせでいたり、とパワーバランスがガタガタなんだけど、これは、12人のパワーバランスが均等に取れている。


それも含めて、プロットが本当に素晴らしい。


観客に「あぁこの人の方が正しい」と思わせといて、その後、その人を論破し、「あ、やっぱこっちの方が正しいかも」と思わせると、また違った意見が出てきて「あ、そっちの意見も納得できる」と思わせる。この多角的な価値観をはめ込む技巧は素直に感心して見入っていた。

作品全体はコメディなんだけど、もし日本で陪審員制度が施行されたらきっとこうなるだろうな、こんな事態になるだろうな、日本人にこの制度はまだ早いんじゃないか、など危惧すべき部分のほとんどをシミュレーションして作られてるので、「たしかにこうなるやろなぁ」と思う。てか、思えてならない。

内容は、三谷作品だけに笑えるんだけど、実際施行されたら「笑える」現場で人が裁かれる、という怖い意味合いも含んでいる。

勿論、三谷さんはその意図が書いてると思うし、無知な民間人が人を裁いていいのだろうか、というのがすごく伝わる。勿論フィクションだけど、さほど大差ないと思う。今回は頭のきれる人間が何人かいたからまとまったけど、もしかしたら実際は、このフィクションよりもひどい状況になるんじゃないか、と思った。


たった一つの納得意見が出てくるだけで、有罪か無罪かがすぐに変わる紙一重の怖さも見所。いかに反対意見者を納得させられるか、が陪審員制度の肝になってしまい、要は論破できる賢い人間次第で有罪か無罪かをいとも簡単に決められる、という事。

舞台中にも出てくる台詞で、「結局人を裁くのは人しかいない」んだけど、その裁く人の質が問われると思う。

そのメッセージを押し付けがましく描くのが二流だけど、三谷さんはあくまでエンターテイメントで、コメディとして描いているからすごい。だから純粋に面白いと思える。

で、見終わった後、一言に尽きる。

「やっぱ、三谷さんはただもんじゃないな」と。


僕は個人的に小日向さんの役が好きでしたね。
温水さんの演技魂もすごかったけど。

補足ですけど、
今作はDVD化もされていて、でっかいCD/DVDショップの舞台作品のコーナーに置いてるんで、興味のある方はチェックしてみてください。


舞台は、映画とはまた違った魅力があって、これを生で観たらもっと感動してただろうなぁ、と舞台作品を映像で見るといつも思います。

だから、いつか舞台を観に行きたいですけどねぇ。


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