ミニカー草子・趣味散策

ミニカー蒐集と模型、趣味に関しての緩い話です。

300SL-1952 のミニカー達 (続き・・・)

2012-11-30 22:58:45 | メルセデス・ベンツ 300SL

300SL-1952 の開発経緯は少し変わっています。
1950年頃は戦後の混乱から脱しきってはいない時期です。
不安定な情勢の渦中での開発の大変さは想像に余りあります。

開発に際しては基本となる車種が存在しました。
1950年に発表された「300S」です。
「300S」は、セダンタイプの市街地走行用の車なのです。

駆動系は基より、走行系に至るまで多くの部品を流用して設計され行きます。
元来、一般的な車両ですから全て流用と言うわけには行きません。
とりわけフレームは深刻な問題となります。

強度は問題ありませんが、如何にせん重量面では適さなかったのです。
この為、レームは新に設計するこることになります。
軽量、且つ剛性と言う相反する性能を満たすべく嘗て無いシャーシを作りあげしました。
無数の三角形を組み合わせたフレームです。
スペースフレームと呼ばれるこのフレームは堅牢で軽量でした。
反面、その名のとおりスペースをとります。
このフレームの幅こそが運転席の空間を圧迫したのです。

ボディの左右への膨らみもこの空間処理の結果でもあると言えます。


BANG 1/43 の右側面です。
エンジン側のボリューム感が良く判ります。
ホイールベースは「300S」と一致します。
ホイールも流用です。
高級感漂う?レースマシンかも知れません。

1952年・・・表舞台へ登場です。


300SL-1952 のミニカー達

2012-11-29 22:48:51 | メルセデス・ベンツ 300SL

レーシングマシンとして開発された「300SL-1952」の生産台数は11台です。
11台は試作車も含みますので、実際にレースに参加した車は8台です。
ミニカーを8台揃えればコレクション完成!と思いますが・・・・
そうは簡単に問屋が卸してくれません。

たかが11台・・・されど11台なのです。



300SL-1952のスタイルです。
レースマシンに似つかわしくないズングリとしたスタイルです。

写真は、BANG製 1/43 です。
ドア開閉等のギミックは全くありません。
メタリック塗装はやはり独壇場。
パーティングラインの処理が少し荒いように見えます。
見づらいですが、運転席もしっかりと作りこまれています。

見れば見るほどこの車、レーシングマシンには見えません。
(続く・・)


300SLの系譜

2012-11-28 22:03:12 | メルセデス・ベンツ 300SL

300SLは1954年のニューヨークでのモーターショーで発表されるや予想外の人気を博します。
その流麗なスタイルも然ることながら、抜群の性能が受け入れられたようです。
反面、車内の狭さ等で不評をかいます。


(SCHUCO(1/43)の精巧な仕上がり故に車内の狭さが見て取れます。)

両極を成すような評価は、300SLの生い立ちに起因します。

遡る事、20年余り前になります。
グランプリレースで無敵を誇ったダイムラー・ベンツも戦禍に巻き込まれます。
レースの開催が中止されるとレース用のマシンを疎開させました。
安全を鑑み各地に分散して非難させます。
疎開先は「チェコ」「スロバキア」「ハンガリー」等々でした。
欧州大戦の混乱により東欧圏は旧共産圏に組み込まれてしまいます。

疎開したマシンは何とか破壊は免れたのですが、回収の望みは水泡に帰すことになります。
戦後数年を経て、ダイムラー・ベンツはグランプリレースへの復帰を決意します。

しかし、嘗て活躍したレースマシンは手元にはありません。
新たにレースマシン開発に着手することになります。
グランプリレースに復帰するため為に開発されたマシンこそ300SLなのです。

社内呼称「W194」・・・・300SL-1952の誕生です。


麗しきその名は・・・「Mercedes」

2012-11-23 17:39:00 | メルセデス・ベンツ 300SL

「メルセデス・ベンツ」・・・言わずと知れた高級車製造メーカーです。
ところが正式な社名ではありません。
「Mercedes」には少し面白い歴史がありました。

時は遡ること概ね120年前・・・
1890年にドイツに自動車製造会社が発足します。
「ダイムラー・モトーレン・ゲゼルシャフト」です。
1892年車の販売を始めます。
車の販売を企画した時に大きな問題がありました。
その問題とは、車の販売方法でした。
車の開発と製造に関しては優秀な技術者は揃ってはいたのです。
しかし、商売に関して未知数でした。

そこに登場したのが、エミール・イエネリック氏です。
イエネリック氏は商いで富をなした大富豪です。
財を投じて個人的に車を作らせ自ら乗りましていました。
氏は車に対して他の富豪とは少し異なった見方をしていたのです。
それは車の将来性に気付いており、その将来を見据えていたようです。

「35台」の車の発注を出したのは「ダイムラー」社が販売を始める前のことでした。
この時、一つの提案がなされました。
車の販売に関するための販売権の獲得です。
その後、商いで培ってきた手腕を生かし販売網を確立します。
その成功に報いるために「ダイムラー」は粋な計らいをします。

ダイムラー社から初めて販売される車にある名を命名したのです。
その名前が「Mercedes」でした。
この名前こそ、イエネリック氏の最愛の令嬢の名前でした。
以後、ダイムラー社で製造される乗用車は全て命名されて世界へ羽ばたいています。
(ダイムラー社のHPには更に詳しく記述されております。)


「Mercedes・Benz 300SL-1954」この名前で良かったと、今更ですがそう思います。
(写真は、SCHUCO製 1/43 ドアを下ろした状態です。)


2台目の「300SL」

2012-11-20 22:39:12 | メルセデス・ベンツ 300SL

初めての「300SL」は2台を見比べて選びました。
もう1台は「BANG」製です。

少し無骨な感じですがドイツ車らしい雰囲気が表現されています。
塗装は秀逸です。
特にメタリック塗装は他の追従を許さない程の仕上がりです。
ドア側のスクリーンは取り付けられていません。
実車はドアの形状からスクリーンを全開することが出来ません。
半開も無理ですから、ここはスクリーンを取り付けていてほしいところです。

ダッシュボード回りも素晴らしい仕上がりです。
ステアリングホイールが太いのは素材の影響と思われます。
ダッシュボード横の乗降用ハンドルは省略されています。
1/43でこの箇所は正確に作り込んでいるメーカーは「SCHUCO」だけです。

ストップライトは樹脂製の埋め込みです。
枠のメタリックは省略されていますが気になりません。
ラゲージカバーのスリーポイントスターは少々オーバーですが、ここはご愛嬌。
見せ場のドアはしっかり上方へ開きます。
ドアの内側の仕上げは省略されており無垢状態です。
大きな押しピン跡が少々残念です。
リヤビユーミラーも両サイドに取り付けた状態です。
これはオプションも取り付けた最上位車種をモデリングしているようです。

300SLの魅力満載のこの1台、楽しめます。