スクリャービンに初めて触れたのは、ホロヴィッツの練習曲の録音でした。十八番の8-12、2-1など。8-12は楽譜と全然違うのですが、というかもはや出鱈目というくらい違うわけですが、後半のクライマックスをそのままのテンポで弾くとちょっと滑稽に感じてしまうくらい、ホロヴィッツの演奏はしっくりくるのです。そして、あの演奏はニューヨーク・スタインウェイだからこそできるのかもしれません。ホロヴィッツの演奏にはムラがあると思うのですが、ニューヨーク・スタインウェイと良いタッグを組んでいる時の演奏はとても好きです。ショパンのマズルカ、幻想ポロネーズなど。反対にケンカして殴り合っているような演奏もあります。なんというか、言葉にし難い苦痛を感じる演奏。スクリャービンの8-12も、結構ぶっ叩いて弾いていますが、それが曲には合っているのかもしれません。
市立図書館にソフロニツキーのCDがあったので、借りたのを覚えています。9番の邪悪さは衝撃的でした。ただ、5番はぐちゃぐちゃで何が何だかよく分からない。という感想でした。
それからしばらくスクリャービンに関わることは無かったのですが、ウゴルスキのピアノソナタ集が発売されたのを買ってみました。たしか高校の頃でしたか、大変ロマンティックなスクリャービンに触れたわけです。2番のソナタなどは、本当に海が(夜の海でしょうか?)見える演奏です。5番は特に気に入りました。ウゴルスキの話題は知っていたので興味がありましたが、好きになりました。変な演奏が多いです。ベートーヴェンの32番の遅さがすごいです。しかし昔サントリーホールで聞いたポゴレリッチのようなイラつきは感じませんでした。大学に入ってからですが、メシアンの鳥のカタログ、ベートーヴェンのディアベッリ変奏曲も聞きました。どちらも気に入っています。特にディアベッリ変奏曲のいくつかの変奏曲はかなり面白いです。のちに別のレーベルからスクリャービンのソナタ全集を出していますが、9番のソナタはそちらが好きです。ソフロニツキーなどとは違ったアプローチで邪悪さを描いているように思います。邪悪に燃える太陽のような別の恒星。我々は太陽系で良かったです。ウゴルスキの恒星はニンゲンを邪悪な核融合の力で焼き尽くすのです。7番の光は、強烈な放射線でしょうか。
リヒテル、フェインベルクの演奏も聞きました。フェインベルクの5番は、録音状態も酷いものなので仕方ないですが、これもソフロニツキーと同じように何を弾いているかよく分からないくらいぐちゃぐちゃです。やはり和音の跳躍、両手のバランス、ペダリングなどが技量を要する作品です。ただ、5番のソナタとは本来、ああいう演奏で良いのかもしれません。ぐちゃぐちゃですが、フェインベルクにしろソフロニツキーにしろ、説得力があります。フェインベルクのバッハの平均律などを聞くと、大変優れた芸術家であることが分かります。フーガの構築のしかたなど、素晴らしいです。
最近は、交響曲などを聞きます。ゴロワノフの指揮したものがイチオシだそうですが、なかなか見つけられません。ディスクユニオンに何度も通うしかなさそうです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます