アメリカに居た時も、PCOS （多嚢胞性卵巣症候群）についての情報をインターネット上で探したり、掲示板などで情報を求めたりしたものだが、その中でも興味深いと思ったのがカルシウム・ビタミンDと多嚢胞性卵巣症候群の関連性についての研究であった。
13人の女性を対象とした小さな規模の研究なので信憑性に欠ける点もあるが、この研究の目的は、ビタミンDとカルシウムの異常調節が、多数の卵胞が排卵出来ずに卵巣に溜まってしまうという現象に関与しているかどうか調べる為であったという。
以下にその研究内容と結果を簡単に書いてみたい。
＜研究および研究対象者の特徴＞
・多嚢胞性卵巣症候群を持つ13人の女性を対象とした小さな規模の研究である。
・23歳～39歳までの、平均年齢が31歳の閉経前女性が対象。慢性の無排卵症、アンドロゲン過剰症状と診断された者である。そのうち4人の女性は無月経で、9人は希発月経の病歴があり、そのうちの2人は不正出血を経験している。
・対象者のうち9人においては、卵巣の中に通常より多い卵胞が見られた。また、対象者全員が多毛で悩まされており、うち2人は脱毛症で、5人は黒色表皮症であった。
・対象者全員においては、（血中の）ビタミンD活性代謝物を含むビタミンDの平均値が低く、正常値範囲だが低め、あるい異常に低いのいずれかであった。
・一方では、全員カルシウムの値は正常で、うち5人においては、副甲状腺ホルモンの量の上昇傾向が見られた。
＜研究結果＞
・ビタミンDとカルシウムによる治療により、約2ヶ月以内には、13人中7人の生理が正常になり、13人中2人が妊娠した。
以上が研究内容と結果であるが、私も慢性の無排卵症、アンドロゲン過剰症状、希発月経の病歴、そして多毛症に悩まされているので、似たような症状を持つ女性達が対象となったこの研究にとても興味を持ったのは言うまでもない。
先にも述べたように、この研究の対象となったのはほんの13人なので、信憑性があるというには程遠い結果であり、さらなるデータが必要であると言えるだろうが、適度のビタミンDとカルシウムの摂取で生理が正常になり、妊娠することが出来たという結果が出たことに関しては、無排卵、そして不妊に悩んでいる人達にとっては暗闇に光が差すような嬉しいニュースには違いないだろうと思う。
さらに、カルシウムは卵成熟、そして卵胞形成には極めて重要な要素であるという研究報告も既にあり、ビタミンDはカルシウムの摂取を手助けする役目を担っているということも良く知られている。
多嚢胞性卵巣症候群のようにホルモンの異常を伴う病気を持っている場合には、食事改善、体質改善を含むライフスタイルを見直すことも大切だとされているが、病院の治療のみに頼らず、まずは身近な所からそして改善出来る所から自分で改善していくのもいいかもしれないと、今回の研究を通じて考えさせられたものだ。
身の回りの食べ物には、カルシウムやビタミンDが多く含まれている食品が多いので、今一度食生活を振り返ってみるのもいいのではないかと思う。
注意：
副甲状腺機能亢進症や慢性腎疾患を持つ方、または腎結石がある方は、カルシウムの摂取に気をつけた方が良いそうです。（かかりつけの医師にきちんと相談しましょう。）
以下が参考HPです。
Thys-Jacobs S, Donovan D, Papadopoulos A, Sarrel P, Bilezikian JP.
Department of Medicine, St. Lukes-Roosevelt Hospital Center, Columbia University, College of Physicians & Surgeons, New York, NY 10019, USA.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=retrieve&db=pubmed&list_uids=10433180&dopt=Abstract
今日の英語
・hyperandrogenis・・・アンドロゲン過剰症状。高アンドロゲン血症。
・anovulation・・・無排卵。慢性の無排卵症。
・amenorrheic・・・無月経。
・dysfunctional bleeding・・・不正出血。
・egg maturation、またはoocyte maturation・・・卵成熟。
・follicle development・・・卵胞形成。
・hyperparathyroidism・・・副甲状腺機能亢進症。
・chronic kidney disease・・・慢性腎疾患。
13人の女性を対象とした小さな規模の研究なので信憑性に欠ける点もあるが、この研究の目的は、ビタミンDとカルシウムの異常調節が、多数の卵胞が排卵出来ずに卵巣に溜まってしまうという現象に関与しているかどうか調べる為であったという。
以下にその研究内容と結果を簡単に書いてみたい。
＜研究および研究対象者の特徴＞
・多嚢胞性卵巣症候群を持つ13人の女性を対象とした小さな規模の研究である。
・23歳～39歳までの、平均年齢が31歳の閉経前女性が対象。慢性の無排卵症、アンドロゲン過剰症状と診断された者である。そのうち4人の女性は無月経で、9人は希発月経の病歴があり、そのうちの2人は不正出血を経験している。
・対象者のうち9人においては、卵巣の中に通常より多い卵胞が見られた。また、対象者全員が多毛で悩まされており、うち2人は脱毛症で、5人は黒色表皮症であった。
・対象者全員においては、（血中の）ビタミンD活性代謝物を含むビタミンDの平均値が低く、正常値範囲だが低め、あるい異常に低いのいずれかであった。
・一方では、全員カルシウムの値は正常で、うち5人においては、副甲状腺ホルモンの量の上昇傾向が見られた。
＜研究結果＞
・ビタミンDとカルシウムによる治療により、約2ヶ月以内には、13人中7人の生理が正常になり、13人中2人が妊娠した。
以上が研究内容と結果であるが、私も慢性の無排卵症、アンドロゲン過剰症状、希発月経の病歴、そして多毛症に悩まされているので、似たような症状を持つ女性達が対象となったこの研究にとても興味を持ったのは言うまでもない。
先にも述べたように、この研究の対象となったのはほんの13人なので、信憑性があるというには程遠い結果であり、さらなるデータが必要であると言えるだろうが、適度のビタミンDとカルシウムの摂取で生理が正常になり、妊娠することが出来たという結果が出たことに関しては、無排卵、そして不妊に悩んでいる人達にとっては暗闇に光が差すような嬉しいニュースには違いないだろうと思う。
さらに、カルシウムは卵成熟、そして卵胞形成には極めて重要な要素であるという研究報告も既にあり、ビタミンDはカルシウムの摂取を手助けする役目を担っているということも良く知られている。
多嚢胞性卵巣症候群のようにホルモンの異常を伴う病気を持っている場合には、食事改善、体質改善を含むライフスタイルを見直すことも大切だとされているが、病院の治療のみに頼らず、まずは身近な所からそして改善出来る所から自分で改善していくのもいいかもしれないと、今回の研究を通じて考えさせられたものだ。
身の回りの食べ物には、カルシウムやビタミンDが多く含まれている食品が多いので、今一度食生活を振り返ってみるのもいいのではないかと思う。
注意：
副甲状腺機能亢進症や慢性腎疾患を持つ方、または腎結石がある方は、カルシウムの摂取に気をつけた方が良いそうです。（かかりつけの医師にきちんと相談しましょう。）
以下が参考HPです。Thys-Jacobs S, Donovan D, Papadopoulos A, Sarrel P, Bilezikian JP.
Department of Medicine, St. Lukes-Roosevelt Hospital Center, Columbia University, College of Physicians & Surgeons, New York, NY 10019, USA.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=retrieve&db=pubmed&list_uids=10433180&dopt=Abstract
今日の英語・hyperandrogenis・・・アンドロゲン過剰症状。高アンドロゲン血症。
・anovulation・・・無排卵。慢性の無排卵症。
・amenorrheic・・・無月経。
・dysfunctional bleeding・・・不正出血。
・egg maturation、またはoocyte maturation・・・卵成熟。
・follicle development・・・卵胞形成。
・hyperparathyroidism・・・副甲状腺機能亢進症。
・chronic kidney disease・・・慢性腎疾患。