小泉の靖国参拝をしごくまっとうに批判しているNYタイムズの10月18日付け社説を日本語にしてみました。
「靖国参拝は無意味な挑発」(原文)
ニューヨークタイムズ 10月18日 社説
みずからを当世風の改革者として大々的に売り出した選挙を終えたばかりの小泉首相は、このほどさっそく、日本の軍国主義がのこした最悪の伝統を公然と奉ずる挙に出た。昨日、全国ネットでテレビ中継されるなか、首相は東京の中心にある追悼施設、靖国神社に参拝した。しかし、靖国神社はただ単に、250万人におよぶ日本の戦没者を追悼するだけの神社ではない。靖国神社とその付属博物館は日本のひどい暴虐、つまり、20世紀はじめの数十年間の朝鮮全土と中国および東南アジアの広い地域に傷あとを残した野蛮で暴力的な侵略について、「日本は謝罪すべきできない」というひとつの見解を打ち出し、それを広める役割を果たしている。今週始まる毎年恒例の祭事において、追悼され奉られる靖国の神々のなかには、裁判で死刑判決が下され処刑された14人のA級戦犯が含まれている。
今回の靖国神社参拝は、日本の戦争犯罪で犠牲になった人々の子孫に対する恣意的で公然たる侮辱であると、中国や台湾、韓国、シンガポールの国家元首たちはあいついではっきりと抗議した。小泉首相も、自分がなにをやっているかはっきりと承知している。これでこの4年間、首相は毎年、靖国神社を参拝したことになる。アジア諸国の外交官たちの度重なる抗議を振り払い続け、今回は日本の裁判所の判断に逆らってまで、参拝を強行した。
日本が帝国主義的な侵略の道に再び乗り出すと、現実の問題として心配している者はいない。しかし、アジアでもっとも豊かで、もっとも経済力があり、技術力に優れた国家である日本は、過去60年間にわたって遵守してきた軍事と外交上の制限のいくつかを撤廃しようとしているところだ。
つまり、近隣諸国のあいだで悪夢の記憶がよみがえりつつある非常に悪い時期なのだ。また、中国が急激な経済発展をへて、日本にとって最も批判的な経済面のパートナーになり、同時に最大の地政学上の脅威にもなっている時代においてはとりわけ、日本のこういうった挑発は不必要で、有害なもののようだ。
小泉首相の靖国参拝は、自民党のかなりの部分をしめる右翼のナショナリストたちから賞賛された。しかし、小泉首相にとって必要なのは、自民党右派を喜ばせることではなく、こういう右派勢力に立ち向かって、彼らを打ち負かすことなのだ。ちょうど郵政民営化案に反対した勢力に立ち向かって、打ち負かすことに成功したように。
日本が名誉ある国として21世紀に進んでいくためには、まず、20世紀の歴史を直視して、認めなくない事実を認めることだ。日本はまさに今、そうしなければならない時期に来ている。
「靖国参拝は無意味な挑発」(原文)
ニューヨークタイムズ 10月18日 社説
みずからを当世風の改革者として大々的に売り出した選挙を終えたばかりの小泉首相は、このほどさっそく、日本の軍国主義がのこした最悪の伝統を公然と奉ずる挙に出た。昨日、全国ネットでテレビ中継されるなか、首相は東京の中心にある追悼施設、靖国神社に参拝した。しかし、靖国神社はただ単に、250万人におよぶ日本の戦没者を追悼するだけの神社ではない。靖国神社とその付属博物館は日本のひどい暴虐、つまり、20世紀はじめの数十年間の朝鮮全土と中国および東南アジアの広い地域に傷あとを残した野蛮で暴力的な侵略について、「日本は謝罪すべきできない」というひとつの見解を打ち出し、それを広める役割を果たしている。今週始まる毎年恒例の祭事において、追悼され奉られる靖国の神々のなかには、裁判で死刑判決が下され処刑された14人のA級戦犯が含まれている。
今回の靖国神社参拝は、日本の戦争犯罪で犠牲になった人々の子孫に対する恣意的で公然たる侮辱であると、中国や台湾、韓国、シンガポールの国家元首たちはあいついではっきりと抗議した。小泉首相も、自分がなにをやっているかはっきりと承知している。これでこの4年間、首相は毎年、靖国神社を参拝したことになる。アジア諸国の外交官たちの度重なる抗議を振り払い続け、今回は日本の裁判所の判断に逆らってまで、参拝を強行した。
日本が帝国主義的な侵略の道に再び乗り出すと、現実の問題として心配している者はいない。しかし、アジアでもっとも豊かで、もっとも経済力があり、技術力に優れた国家である日本は、過去60年間にわたって遵守してきた軍事と外交上の制限のいくつかを撤廃しようとしているところだ。
つまり、近隣諸国のあいだで悪夢の記憶がよみがえりつつある非常に悪い時期なのだ。また、中国が急激な経済発展をへて、日本にとって最も批判的な経済面のパートナーになり、同時に最大の地政学上の脅威にもなっている時代においてはとりわけ、日本のこういうった挑発は不必要で、有害なもののようだ。
小泉首相の靖国参拝は、自民党のかなりの部分をしめる右翼のナショナリストたちから賞賛された。しかし、小泉首相にとって必要なのは、自民党右派を喜ばせることではなく、こういう右派勢力に立ち向かって、彼らを打ち負かすことなのだ。ちょうど郵政民営化案に反対した勢力に立ち向かって、打ち負かすことに成功したように。
日本が名誉ある国として21世紀に進んでいくためには、まず、20世紀の歴史を直視して、認めなくない事実を認めることだ。日本はまさに今、そうしなければならない時期に来ている。