「初恋ではないけれど」

　人生がドレミファソラシドなら
あなたに出会って恋をしたのは
　ちょうどレを覚えたあたりで
あなたにとってはすでにミを
過ぎたあたりでしょうか

　初恋ではないけれど
わたしの人生のなかで
大切なことを学んだことが多いとき

　あなたはわたしがミを覚える前に
いなくなってしまったけれど
わたしのミはあなたのおかげで
特別な音になりました

　まだソは覚えていないけれど
あなたの分まで残りの音を
しっかり鳴らして生きます

　初恋ではないけれど
かけがえのない恋でした
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夢路

「一歩さがって」

　まわりが見えなくなっているときは
一歩さがってみると　見えてくるものがある

　すこし広がったところから
家族や友達がひょっこり出てきたりして

　もう一歩さがったら
今度は何が見えるだろうと思うけれど

　いまは一歩でじゅうぶん
見えてきたものを大切にして

　また　まわりが見えなくなったとき
もう一歩さがってみよう
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夢路

「言葉に感謝して」

　わたしには特別な力はない
だから、相手に何かを伝えるときは
みんなが育んできた言葉を借りて
思っていることを伝える

　そこには
ときに嘘もあるけれど
それは言葉が悪いわけではなく
わたし自身の心の問題

　言葉があるから
私が思っていることを
かたちにすることができて
記すことができるから
わたしが去ったあとでも
相手に伝えたいことを伝えることができる

　当たり前のことだけれど
今日も言葉に感謝して
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夢路

「当たりがあるなら」

　もう何年も会っていない人に
とても会いたくなるときがる

　時間がね
ずっとそこで止まっていて
凍っているのだけれど
残念なことに夏の暑い日でも溶けたりはしない

　もしもこれが
当たり付きのアイスで
食べたあとに、棒に”あたり”と書いてあると
君に会える。なんてことがあれば
　たとえ寒い日でも
毎日アイスを食べ続けるかもしれない

　この夏に
そんなアイスが出ればいいな
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夢路

「スタート地点へ」

　わたしはてっきり
今はゴールに向かって
進んでいるとばかり思っていた

　でも、そうではなく
まだスタート地点へ向かっている途中
なんだよね。きっと

　ゴールが近くなると
自然と気がゆるんでしまうから
スタート地点にまだ立ってさえいない
そう思えば

　残りの人生も
一生懸命走り抜けられそうな気がする
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夢路