「僕の折り紙」

　人生が折り紙だとしたら
僕の折り紙は
あれでもない　これでもないと
途中まで折っては　また戻してきたので
　傍からみたら
ただのくしゃくしゃになった紙に見えるかな

　一度も折りかたを間違えずに
完成させる人はまずいない

世界に二つとない僕の折り紙
見てくれは悪くても
今までに残してきた皺のひとつひとつに
ちゃんと意味がある

　折る手を止めてしまえば
皺は増えないだろうけど
僕の折り紙も完成することはない


人生が折り紙だとしたら
僕の折り紙はくしゃくしゃだけど
思い描いているもの
まだ僕のなかに残っているから
諦めずに折っていこう
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作者：夢路

「家族」

　ふたりの日々で
重ねていったパイ生地に
シナモンの利いたリンゴが
うえに乗る

　何も知らないリンゴが
外へ逃げ出さないように
卵黄を生地に塗り
さらに日々を重ねて

　オーブンで焼き上げた
アップルパイを取り出せば
ほかほかの香り
頬張れば
サクッと良い音がする
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作者：夢路

「だから君と」

　名前を書いてしまうと
誰だかすぐ　わかってしまうものだから
ぼくは大切なものを隠すように
そして、忘れないようにと目印に
「君」と書いた

　あれから何度も
とおりすぎた季節のあいだに
「君」を思い出しては
魔法を解くように
名前を書いてしまいそうになる

　一度解けてしまうと
すべてが世界に飛び出して
いろんな人に迷惑をかけてしまうから

　だから「君」と、いつまでも
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夢路

「雲の住人」

　ふわふわと浮いてる雲
それが時間の流れだとしたら

僕たちは皆、雲の住人で
知らず知らずのうちに
　人を傷つけたり
助けたりしてるように
雲にいつのまにか流されてる

　どこへ向かってるのか
僕はわからないが
　雲の上で、僕が目指している場所は
わりとはっきりしてる
　君のところだ、と言いたくはないが
おそらく、そんなところだ

　ただ、そこまでには
長い距離があって
　雲の住人である僕は
ゆっくり近づいてゆくほかはない
時間をかけて
雲のように流れていく
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作者：夢路

「すてきな場所をつくろう」

明るくて、気持ちのいい場所。
ほっと安心できる場所。
しぜんにふるまっても大丈夫な場所。

いったいどこにあるんだろう。
そんな気持ちで毎日をすごしていたけど。

そんな場所って、
さいしょから用意されてるわけじゃないんだね。

自分で・・つくっていくものなんだね。

ここにしよう。ってきめたら、
花を植えて、木を育てて
木陰をつくって、爽やかな風を呼んで。

そしてそこに、
ほかの誰かが休みに訪れたりして。
そしたら何だか素敵な気分だよね、きっと。
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作者：仁波　尚さん