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天上天下唯我独尊

夢に生き、夢のように生きる人の世を
憐れと思へば、罪幸もなし・・・

四行詩集 ~無花果の実り~ 13

2008-02-10 23:01:07 | 「無花果の実り」
1.内臓は弱い、外気に触れると雑菌にやられてしまう。
  官府は弱い、業者に触れると賄賂にやられてしまう。
  疾患に悩むならば、内臓を雑菌から守ればよいだろうが。
  官府の腐敗を憂うならば、民間との接触を絶て。
「四肢六道は身の体也。四正五官は国の体也。四肢通ぜず、六道達せざるを疾と曰ふ。四正正しからず、五官官せざるを、乱と曰ふ(管子/第31章)」

2.手が悪いものさえ口に入れなければ、内臓はめったに病むことはない。
  政府がおかしかことをやらせなければ、官府は堕落したりしない。
  内臓は自分で食物を選べない。官府は自分で業務を選べない。
  悪いものを官に与えたのは、口と手と目に責任がある。
「自分が行ってきたことについて、自分の舌と手と足とが証言する日、その日には、神はそれぞれの正当な報酬を彼らに十分に払い給う。そして彼らは、神こそ明らかな真理であることを知るであろう(コーラン24:24)」

3.痩せ過ぎよりも、太り過ぎの方が、体も食いっぷりも見苦しい。
  貧し過ぎる国よりも、富み過ぎている国の方が、意地汚く醜悪だ。
  美しいのは、人でも国でも、冷たい水と運動で引き締まったしなやかな肉体。
  何よりも、真っ直ぐな姿勢と、清潔な身だしなみ、愛想よい笑顔。
「貧しい人は幸いです。神の国はあなたがたのものですから。いま飢えている人は幸いです。あなたがたは、やがて飽くことができますから。いま泣いている人は幸いです。あなたがたは、いまに笑うようになりますから。人の子のために、人々があなたがたを憎むとき、またあなたがたを除名し、辱め、あなたがたの名を悪し様に貶す時、あなたがたは幸いです。その日には喜びなさい。躍り上がって喜びなさい。天ではあなたがたの報いは大きいからです。彼らの先祖も、預言者たちをそのように扱ったのです(ルカ伝6:20)」

4.巨漢は喧嘩で役に立たない。脂肪が重たくて、体が動かなくなる。
  富国は戦争で役に立たない。戦争中でも贅沢を止められないから経費が増す。
  贅肉などいくらあったも自慢にならない。
  贅沢などいくらしても恥にしかならない。
「この地は神の前に堕落し、不法に満ちていた。神は地をご覧になった。見よ、それは堕落し、総て肉なる者はこの地で堕落の道を歩んでいた(創世記6:11)」

5.太り過ぎても痩せ過ぎても、体は言う事を聞かなくなる。
  富み過ぎても貧し過ぎても、民は言う事を聞かなくなる。
  体を従わせたければ余計な脂肪を蓄えず、日々鍛錬することだ。
  民を治めたければ、無用な贅沢はさせずに、こまめに使役することだ。
「神はノアに言われた。『すべて肉なるものを終わらせる時がわたしの前に来ている。彼らのゆえに不法が地に満ちている。見よ、私は地諸共彼らを滅ぼす』(創世記6:13)」

6.肉体に脳髄が従うなんて一体獣とどこが違うのだろうか。
  人民に政府が従うなんて、一体無法状態とどこが違うのか。
  四肢も内臓も大切だけれども、脳髄の優位は決して揺るがされてはならない。
  民も官も大切だけれども、政府の支配権威が揺るがされると国は野蛮化する。
「此の道、大分の兵法、一身の兵法に至る迄、皆以て同じ理なるべし。譬へれば心を大将とし。手足を臣下郎と思ひ、胴体を歩卒土民と做し、国を治め身を修むる事、大小共に、兵法の道に同じ。兵法の仕立て様、総体一致にして、余る所無く不足なる所無く、強からず弱からず、頭より足の裏迄、均しく心を配り、片つり無き様に仕立てる事也(宮本武蔵/兵法35カ条乃2)」

7.体力を増すためには、贅沢を減らして、筋肉を増やさねばならない。
  国力を増大させるなら、娯楽を削って、生産力を増やさねばならない。
  苦労によって贅肉は減り筋肉は増え、怠惰によって筋肉は減り贅肉が増える。
  無駄な贅肉を誇っているならば、筋肉は年々やせ細っていくばかりだ。
「天下の主たる者は第一慈悲を以てよしとす。然りながら慈悲の過ぎたるは刻薄に劣る事あり。たとへば家臣の内に弓馬の嗜みなく、朝夕酒色に耽る類の者を見逃し置かば、自ずからその風余人にも推し移り、兵鋒も次第に弱みもてゆく也。故に心得有る者は、かかるものを厳しく刑戮し、衆人に目を醒まさしめ、初めて本心を得さしむる也(徳川実記/東照宮御実記付録3巻)」

8.あまりにも贅肉がつき過ぎた体は、喧嘩は勿論、道を歩くことさえ厭う。
  あまりにも贅沢をし過ぎた国民は、戦争は勿論、一人で生きることにも耐えられない。
  太るのは簡単だが、痩せるのは難しい。
  人でも国でも、富ませることよりも節約することの方が難しい。
「兵を止むの説勝てば、すなわち険阻守られず。兼愛の説勝てば、すなわち士卒戦はず。全生の説勝てば、すなわち廉恥立たず。私議して自ら貴ぶの説勝てば、すなわち上の令行はれず。群徒比周の説勝てば、すなわち賢不肖分かたれず。金玉貨財の説勝てば、すなわち爵服下流す。歓楽玩好の説勝てば、すなわち姦民、上位に在り。請謁任挙の説勝てば、すなわち墨縄正しからず。阿諛飾過の説勝てば、すなわち巧邪の者用ひらる(管子/第4章)」

9.重たくて無駄な脂肪が自分から離れてくれるなら、苦しい闘病生活にもよいこともある。
  有害無用な人間が周囲から去ってくれるなら、苦難こそ神の助けと言うべきではないか。
  幸せなときにいい顔をしていた者共は、苦難の時には逃げていく。
  肉も人も、苦労させてみれば、有用か無用か判別できる。
「地上及びお前達自身に起こるどのような災難も、我らがそれを引き起こす以前に、天の書に全部記されている。それは、神には容易い御業である。これは、お前達が手元から去ったものを悲しんだり、与えられたものを喜んだりすることのないようにとのお計らいからである。神は、自惚れる者、誇示する者を好まれない。このような者は貪欲で、他人にも貪欲を勧める。たとえ誰が背き去ろうと、神は本当に富裕なお方、讃えるべきお方である(コーラン57:22)」

10.選手が憎いのではなく、寧ろ愛情によって、指導者は選手に苦難を与える。
  国民が憎いのではなく、寧ろ愛するが故に、指導者は民に苦しみを与える。
  優れた運動選手は、安逸や快楽を遠ざけ、厳しい環境に心身を置く。 
  国を偉大な成功に導こうとするなら、安逸や快楽を徹底的に排除すべきではないか。
「公父文伯の母、文伯に謂ひて曰く、昔は聖王の民を処するに、瘠土を択びて之を置き、其の民を労して之を用ふ、故に天下に王たり。夫れ民は労すればすなわち思ひ、思へばすなわち善心生ず。逸すればすなわち淫し、淫すればすなわち善を忘れ、善を忘るればすなわち悪心を生ず。沃土の民の不材なるは、淫すれば也。瘠土の民の義に向かはざる者無きは、労すれば也。君子は心を労し、小人は力を労するは、先王の訓也。上より以下、誰か敢へて心を淫し力を捨てんや(国語/第6巻魯語下)」

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