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気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

オール55  by  トム・ウェイツ

2023年03月10日 | 音楽全般

オール55  by  トム・ウェイツ

 

私がこの名曲を初めて知ったのは、イーグルスのカバーによって・・だった。

イーグルスの3枚目のアルバム「オンザボーダー」に、この曲のイーグルスのカバーバージョンが入っていた。

聴いた時、なんていい曲だろうと思った。

最初はイーグルスのオリジナルかと思ったが、作詞作曲のクレジットを見たら、トム・ウェイツだった。

 

それを見て、良い曲を作る人だなあと思ってトムに興味を持ち、トムのアルバムも買って聴いてみた。

そうしたらさすがオリジナル、トムのバージョンも素晴らしかった。

イーグルスのバージョンの方は洗練されて聴きやすい感じだったが、トムのバージョンは渋くて味わい深かった。

 

この曲は数多くのシンガーによってカバーされてる名曲で、実際そのメロディラインは素晴らしい。

歌詞に関しては色んな解釈はできるかもしれないが、深いものがある。

メロディにこの歌詞が乗り、なおかつトムの歌声によって歌われることで、この曲全体に説得力が生まれてきて、なんとも魅力的に仕上がっている。

 

タイトルの「オール55」というのは省略した言い方で、フルに書くと「オールド1955」という意味だそうで、55年製の古い車のことを指すようだ。

主人公は55年製の古い車に乗り、古いせいかスピードが出ないでフリーウェイを走っており、道を走っていると色んな車に追い抜かれていくが、それでも自分はこの車に乗っていたい、このまま走っていきたい・・そんな内容。

周りに左右されず、自分は自分の道を自身の速度で行く・・・そんな風にも受け取れる。

車というのは、ひとつの例えだったり、象徴だったりするのかもしれない。

 

老成した内容の歌詞にも思えるのだが、トムがこの曲を発表したのは彼が23歳の頃だったという。

 

 

そういえば、私が昔バンド仲間とアメリカ本土に旅行した時、レンタカーでフリーウェイを走った。ロサンゼルスからラスベガスまで向かうために。

フリーウェイでは色んな車が走っていた。

決して渋滞はしておらず、ドライブは快適だった。

都会を過ぎると、あたりは広大な大地が広がっており、中には西部劇のような風景もふんだんにあった。

道はひたすらまっすぐ。

遠くのほうには山が見え、時には雨雲が大地の上にかかり、その雲は大地に雨を降らしていた。だが、雲がかかっていない大地は、太陽光線で乾いていた。

そんな風景も見えた。

かとおもえば、塩湖みたいなものが広がっていたり、ガラガラヘビが出てきそうな荒涼とした場所もあった。

フリーウェイの途中には、デスバレー方面への分岐もあったりした。

ラジオからはベルリンやヒューイ・ルイスなどの曲がかかっていた。

それらの曲に耳を傾けながらも、私の心のどこかにこの「オール55」も鳴っていたと思う。

 

私たちが乗ってたレンタカーは55年製ほどの古い車ではなかったかもしれないが、5人乗ってたし、メンバー人数分のスーツケースも積んであったせいか、あまり速度は出なくて、けっこう他の車には抜かれたと思う。

でもそんな時間が楽しかったし、気分もハイになっていた。

そんな時に、「オール55」の歌詞は個人的に合ってたのかもしれない。

 

 

トム自身のシングルカットではさほどヒットはしなかったらしい。

世に広く知られるようになったのは、やはりイーグルスがカバーしたのが大きかったようだ。

イーグルスがこの曲のカバーバージョンを収録したのは、前述の通りサードアルバムの「オンザボーダー」。

イーグルスのグレン・フライがある時スタッフからこの曲のデモを聴かされ、この曲をいたく気に入ったグレンはドン・ヘンリーに持ちかけ、晴れてイーグルスのアルバムにイーグルスのカバーバージョンが収録されることになったらしい。

そのアルバムには全米1位になったヒット曲「我が愛の至上」が収録されていたこともあり、アルバム自体多くの人に聴かれたはず。

なんてったって、あのイーグルスのアルバムなのだし。

で、そのアルバムを買った人は、当然トムの「オール55」も聴くことになった。

で、この曲の知名度はアップし、さらにそれは多数のシンガーによってカバーされることにも繋がったのであろう。

 

ただ、トム自身はイーグルスのカバーバージョンは、さほど気に入ってはいなかったらしい。

イーグルスのバージョンは洗練された出来になっていたからかもしれない。

 

とはいえ、私はイーグルスのバージョンは大好きだし、「オンザボーダー」の中でも特にお気に入りの曲のひとつだ。アルバムの出来への貢献度では重要な存在だったと思う。

 

一方で、オリジナルであるトムの渋いバージョンも味わい深い。

 

やはり名曲なんだよね。

 

トムによってこの歌が生で歌われるのを私が聴くとしたら、どこかあまり大きくない店で、トムを等身大で観れる距離で、酒でも飲みながら聴かせていただきたい。

そう、例えばライブハウスなどで。

トムの歌声を聴きながら1人で飲むのもいいし、女性と飲むのも素敵。友達と飲むのも楽しいだろうね。

 

ちなみに、私はトムのアルバムは数枚持っているが、初期のこういう声質のほうが聴きやすくて好きだ。

 

 

 

 

 


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
酔いどれ詩人 (りりん)
2023-03-11 13:41:57
こんにちは。
トム・ウェイツとイーグルスVer
まったく別の曲のように聴こえますね。
ジャズ的なエッセンスが漂ってて、お酒を飲みながら
そんな雰囲気が合いますね。
私はこの曲も好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=0P5jV4lHHR0
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Unknown (だんぞう)
2023-03-11 14:47:49
ホールドオン。この曲は知りませんでした。
個人的な感じ方ですが、ブルース・スプリングスティーンが歌ってもおかしくない曲みたいに聴こえました。
この動画に寄せられたコメントを見ると、リスナーのそれぞれの人生のしんどい過去などが書かれていますね。この曲は、そういう人たちに寄り添う曲なのでしょう。

オール55は、イーグルスとトムのバージョンではちょっと雰囲気が違い、イーグルスのバージョンは洗練されて、より聴きやすい雰囲気になってる気がします。
私はどちらのバージョンも好きです。
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