時間の外  ~since 2006~

気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

あの子は直角に泳いでいた

2010年08月25日 | 懐かしい系、あれこれ
昼間、道を歩いていると、ビニール袋をもった小学生とすれ違う。

どうやらビニール袋の中には、水着やバスタオルなどが入っているようだ。

おそらく、学校の水泳教室やプール開放などに出かけていくのだろう。

夏休みでは、おなじみの光景だ。

私も小学校時代の夏休みには、よく学校のプールの水泳教室に通ったものだった。

私の小学校のプールは横25メートル、縦7メートルの長方形プールだった。


縦を泳ぎきることで最下級、横を泳ぎきることで更に上の級として認定された・・ように思う。

ある日。

縦7メートルをバタ足で泳ぎきる試験が行われた。

何人も参加者がいた。

7メートル・・というのは、たいした距離ではない。

一人一人試験を受けるのだが、皆クリアしていった。

もうすぐ私の番だった。

順当にいけばもうすぐ私の番になるはずだった。

ところが・・・


私の前に試験を受けた子が、妙な泳ぎをし始めた。

途中まではまっすぐ対岸に向かってバタ足で泳いで進んでいったのだが、途中でなぜかその子は進路が90度くらい曲がり、横に泳ぎ始めたのだ。

どうもそれは受け狙いでもなんでもなく、真剣に泳いでいるのに、なぜか途中で90度位曲がって進みはじめたようだ。

心に余裕がなかったのかもしれないし、何かの拍子に体の向きが横に曲がってしまったのだろう。

なにせ、縦は7メートルしかないが、横は25メートルあるので、水泳の初心者としては泳ぐ距離として長い。


その子は横になってもしばらく泳いでいたのだが、7メートルならばとっくに対岸についているはずなのに、いくら泳いでも対岸にたどりつかない。

そりゃそうだ。

長さが違うもの。


おそらくその子は「おかしいな」とか「いったいどうなっているんだ」「7メートルって、こんなに長かったっけ?」とか思ったはず。
焦りもでたかもしれない。

だが、溺れるような深さではない。

見てるほうとしては、その子はとっくに7メートル分以上泳いでいるのがわかる。

その子もおかしいと思ったはずなのだが、バタ足で動きがまだぎこちなく、顔を上げる余裕もない。

かといって、途中で泳ぎをやめると、7メートルの「級」に失格したことになる。


なので、なかなかやめられなかった。

だが・・さすがに、自分の状況に奇妙さを感じたらしく、ついに足を底につき、泳ぎをやめ、立ってしまった。

そうしたら・・・


7メートル以上ゆうに泳いでいることはいるのだが、自分の立った位置がスタート地点から相当横にずれている。

「???」と、きょとんとしてる。

やがて、審査員(先生)から状況を告げられる。


泳いでいる途中でコースが90度曲がってしまって、その地点にいる・・ということを説明された。

結局・・その子は7メートル以上ゆうに泳ぎきっているにもかかわらず、7メートルの級はその時は落ちてしまった。
自分がどの向きに泳いでいるか分からない・・というのは、場合によっては危険だものね。
この場合、海で波に流されるのとは条件が違うし。


でも、さすがに先生もさるもの、その場でもう一度受けなおすことを提案。


だが、その順番は、その子の後の順番だった私たちの試験が終わってから・・ということになった。
体力的なことや、心を少し落ちつかせるという意味合いをも考慮したのだろう。

私はその子の失敗を肝に銘じ、ともかく進路が曲がってしまわないようにまっすぐに泳ぐように心がけた。


本来なら楽に泳ぎ切れる距離であっても、心にゆとりがなくなるとこういう状況もありうるわけだね。

その子、いくら泳いでもたった7メートルの対岸にたどりつけないので、相当焦ったに違いないのだ。

それにしても、なぜ途中で90度に進路が曲がってしまったのだろう。
いまだに謎ではある。


プールといえば・・

自分の学校のプールだけでなく、近くにあったよその学校のプール開放にも、浮き袋を持ってでかけたっけ。

「2001年宇宙の旅」という映画の絵がついた水着バックに水着や浮き袋を入れて通ったことを思い出す。

そのプールは、私の小学校のプールより深く、背が届かなかったから、浮き袋を持っていったわけだ。

当時から私は漫画を描くのが好きで、自分の浮き袋が無地であることをいいことに、浮き袋全体にマジックなどで漫画キャラを描いたのだった。
オバQ、009、アトム、鉄人・・などを描いたのではないだろうか。

当時も、アニメや漫画のキャラが描かれたキャラクターグッズの中の1品として浮き袋もあったが、色んな漫画の主人公が共演して描かれてる浮き袋は、当時なかった。
私は自分で色んな漫画キャラの主人公を描くことで、夢の漫画スター共演・・・という感じの浮き袋をオリジナルで作ろうとしたのだと思う。


だが・・・描いている時はいいのだが、その絵はしょせん小学生の描いた絵なので、はたから見たらどう見ても「落書き」でしかない。

その浮き袋、最初はよかったのだが、だんだん自分の落書きが恥ずかしくなった。

かといって、自分で落書きしたものだから、自業自得であることは幼心に分かっていた。

親に、新しい浮き袋を買って・・とは言えない。
どう考えても自分がいけないんだものね。

本来自分の作品であるはずの浮き袋ではあるが、我ながら自分の落書きが恥ずかしくて、だんだんその浮き袋は使わなくなってしまった。

今思えば、それが私の「浮き袋・卒業」のきっかけになったから、いいのだか悪いのだか(笑)。


ともあれ、もうすぐ夏休みも終わり。
水泳の思い出を新たに作った子どもたちは多いことだろう。

暑い日差しの中、水着やバスタオルなどを入れたビニール袋を持って歩いている子どもたちを見ると、私にもそんな時代があったなあ・・・なんて思ってしまう。

今も昔も、空には入道雲が浮かび、子どもたちを見下ろしている。

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