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社長様、かく語り記

東北のとある社長の名言・行動から、人としてあるべき姿を探していきたいと思います。

買付営業 中編(全三話②)

2013-07-05 17:24:33 | 日記
下らない話ですが続きます。

さて、社長様ご自慢の
「買付営業」
の成果報告でございます。

前回チョイと触れましたが、社長様の狙い通り自動化装置を20万円程でお譲り頂く事が決まりました。
(輸送費用は当然ながら社長様負担です)

狙いがズバリと決まった社長様、得意満面ドヤ顔でわたくしに語り聞かせてくれました。

「なぁ判っただろ、仕事ってのはなぁこうやって取ってくるもんなんだよ!」

お前も少しは見習いやがれ!的な感じですけど、まだ判りません…と、言うかまともな取り引きに発展するハズはありません。

そもそも社長様が求めるのはパートさん6名を満たす程度のボリューム、一方お客様が求めているのはユニットの組み立てが出来てフルタイムで働ける人間でしたから、この時点ですらお互いが求める作業には大きな乖離が生じていたのです。

社長様の工場を視察すれば、どのような作業が可能か?
期待されている作業が可能なのか、簡単にバレるレベルです。

ドライバーとペンチで何を作んの?って事です。

会社に存在する特殊な工具は全てわたくしの私物でございました。
(この際の工場視察に合わせて焦って貼り出したのが、本ブログ中「品質管理体制」にて紹介したポスターでございます。そもそもA3コピー用紙にエクセルで文字を並べただけの文書をポスターと呼んで良いのか?甚だ疑問ですが…)


さて、装置を移送する当日は前途を祝するが如く強い雨降りとなりました。

お客様の工場建屋の二階より幅1.5m長サ6mもある装置をドデカいクレーン車を使って降ろし、他には直径60㎝長サ5mはある塩ビパイプ(装置の煙排出用で内側は汚れが凄い…)など、予想外に大量の設備をトレーラーへと積み込んでいきます。

あのぉ…それいらない…

と、わたくしは思いましたし、想定外の付加設備の多さに社長様も少々苦い顔をしておりましたが、ここまでくるとねぇ…

お客様にすれば、動きもせず場所を取る邪魔な装置、本来ならば処分料が掛かる所を買い取りたいと言う奇特な人間が現れたのですから、ここぞとばかりに不用品を積み込んでいるようにも見受けられます。

想像以上に膨らんだ設備一式を積んだトレーラーは、社長様の小さな会社に到着~♬

雨で緩んだ地盤にトレーラーが横転せぬよう補強を入れたり、工場内に雨の滴が垂れたりと余計な苦労をかなりしましたが、無事に搬入が済みました。


さて、それから数日後には社長様の言う通りお客様から仕事が入りました。

総額で20万円位の簡単な仕事でしたね。
(客先の現場担当者達が「後やらせるの無いっすヨ」とボヤいている声が聞こえて参ります…)
天晴れ社長様!お見事でございました!

が、その後はスッカリ梨のつぶてでございました。

苛ついた社長様は、世話を焼いてくれた部長様に度々連絡を入れるのですが、そのうちに部署が変わったとかで連絡がつかなくなり、パタリと進展がなくなりました。
(ナハハ、あっさり逃げられた~)

装置一式約20万円
輸送費用約25万円
総額で約45万円掛けて、
回収金額約20万円

確かに購入費用のみは回収出来ましたね~。

しかし輸送費が…

これでは社長様も面白かろうハズも無く、散々「トモダチ」の会社を毒づいておりました。

しかし、輸送費の事なんざ「トモダチ」の知ったこっちゃありません。

書き忘れておりましたが、わたくし…この「トモダチ」の会社は以前から取引先に対してどのような要求をしてくるのか存じ上げておりました。

田舎にありながらQCDに求められる水準がなかなか高く、下請けにも当然同様のレベルを要求致します。

なので、わたくしは取引開始前から社長様を散々お諫めしていたのです。

しかしハッキリと、

「アンタ如きが取り引き出来るような品質レベルじゃないんですけどね~」

とでも言わない限りは、耳なし阿呆市の社長様のお心には届く訳はありません。

ですからこの結果に特段驚きは無く、さもありなん…と云う感想でした。


さて…それから何事もなく5年程が経過し、社長様の会社が危機的状況に追い込まれて再び社長様が動きました。

例の「トモダチ」である会長様へ、直接この様なメールを送り付けました。

社長様
「数年前にお宅から装置を50万円位掛けて仕入れたけど、その後サッパリ仕事がこないんだけどさぁどおなってんの?」
(文面は勝手な想像ですが、大体こんな物言いの人間です。)

下らない話ですが、もう少しかかりそうなので、再び続く…

買付営業 前編(全三話①)

2013-06-28 18:33:12 | 日記
社長様のネタも尽きたなぁ~と少々寂しい…などと勘違いを始めておりましたが、ふと思い出しました。

社長様が営業のプロフェッショナルであり、その卓越した技の一つが以前紹介しました
「トップダウン営業」
でありましたが、最近もう一つ社長様ご自慢の卓越した営業手法を思い出しましたので、ご紹介させて頂きます。


その営業手法、ひじょうにネーミングに悩みましたが強引に名付けてみました…

その名を
「買い付け営業」
と呼ばせて頂きます。

昨今流行っている、押し買いにも似てるような気もするのですがね…まぁさておいて…


社長様には「トモダチ」が沢山いらっしゃいます。

特に、社会的地位のある方と何かの会合で2~3分も話を交わせばもう「トモダチ」と呼ばせて頂き、己の人脈に加えて差し上げます。

「あ~◯◯社長ね、俺トモダチだから連絡とってやろうか?」みたいな案配ですね。

そんな「トモダチ」が会長をなさっております、従業員300名程で関東にも営業所を持つ会社が、好景気に沸き人手が足りないようだと聞きつけた社長様、「俺はあそこの会長とトモダチだからよぉ、今度行って来るわ。」と、溢れている仕事にありつこうと画策なさりました。
(とは言っても、本当はそこに下請けに入っている社長さんの紹介ですけどね。)

数日して「トモダチ」のおかげでその会社の役員様との面会が叶う運びとなり、わたくしもお供をさせられる羽目となりました。


面会当日は社長様にとっては「トモダチ」の会長様ですが、先方からすると会長様と知り合いかもしれない社長様に対して、部長様課長様係長様等々4~5名様にてお出迎え、そしてご丁寧な対応を頂き至極ご満悦の社長様でございました。
(相変わらず身の程知らずだなぁ~…お相手の部長様は部下が百人位居ますよ。一方の社長様の部下は社員2名パート従業員6名でございます。)

あっそうそう、社長様の「トモダチ」である会長様はご多忙のせいかお姿を拝む事はかないませんでした。
友達っぷり見たかったなぁ~。

さて、工場内を部長様直々にグルリと案内して頂き、正直「社長様の会社じゃ無理っしょ」と、云うレベルの高さは理解出来ました。
(わたくし含めですね。)

扱う装置が医療用の検査機器ですから、品質面において相当に厳しい事は想像に難くありません。

正直、すぐに手抜き指示をするクセがあるようないい加減な人間(社長様)には、到底お付き合い願える作業内容じゃありません。

まぁ社長様は目利きですから、己に実力が無い事も認識出来ず、何でも簡単に出来そうに話しております。

隙あらば
「あっこんなヤツ、以前やった事あったよなぁ!」
と、わたくしを巻き添えにしようとなさり…

わたくし…内心では…
「アンタの言ってる安い作業とは、品質レベルが天地程違うよ…」
と、思いつつも
「そうですねぇ。」
と、返す他無く…本当に見る目が無いんだなぁと辟易とさせられておりました。

しかし…さすがに自信を持って会話出来る作業が無いとは判っているようで取っ掛かりを見つけられずにいたのですが、工場内の通路沿いに置かれていた古臭い装置を見つけ、目をキラキラさせながらこう仰いました…

「この装置を売って下さい!」

お客様そしてわたくしも含め、その場に居た人間達は皆一様に両目をまぁるくしてしまいました…

現場担当の係長が少々焦りながら、

「この装置、ここが壊れていてまともに動きませんから!」

と、言いながら社長様の荒ぶる心を鎮めようと致しますが聞く耳持たず…

「かまいません、大丈夫です!治せますから、ぜひ売って下さい!」

と、意気揚々自信満々でおっしゃります…

さすがに部長様も即答は出来ずに、苦笑いしながら
「じゃあ上の者と相談してみますから。」
と、その場から離れるように促しております。


わたくしも、一目見て壊れているのは判りましたし、何より…ウチの会社にこんな装置(大量生産用)を使わなきゃならん仕事は入りませんよねぇ…しかも治すのは誰の仕事?と、思ったのですがね…。


脱線。

この打ち合わせから数ヶ月後、社長様の小さな会社にこの装置及び付属品が搬入されました。

工場内面積の20%程を占拠し堂々と鎮座なされました。

案の定、壊れた装置を直すのはわたくしの役目…

ホームセンターから適当に部品を見繕い、辛うじて動く程度には復活させましたが到底本来の作業に使えるレベルではありません、ただのパフォーマーとして来社したお客様にガタガタガタ…と動かしてお見せするだけの存在となり、そのまま何年か経過したのでした。

そんな彼に転機が訪れましたのは大震災でした。

大震災当日、彼は大きな揺れに合わせて右往左往…第3波の大きな揺れで壁にアタック!

その衝撃により、面した窓の鍵が全て引き千切られ窓が開き、柱の上下部分の壁及び床面にはひび割れが生じ…会社の建屋は崩壊寸前となりました…

社長様の怒りに触れた彼は、それから程なくしてスクラップ業者に手荒にぶっ壊されつつ工場を去っていったのでありました。

ドナドナド~ナ~ド~ナ~♪…


本題に戻ります。

社長様、何とか足掛かりを見つけて会社に戻る道すがら…潰れた鼻を高くしながらご自慢なさります…

「あの装置を買えば、仕事が来るようになってんだよ。ハハハ、仕事を取るってのはそういうもんなんだよ。」

と、自らの営業活動が成功し大層ご満悦になり会社へと戻るのでした。

さて、まだまだ話は続くのですが、本日はこれまで…

あしからず…

企業内起業 後編(全二話②)

2013-06-21 16:32:46 | 日記
前回の続きでございます。


さて、
「社内起業制度」
とは何でございましょうや?

ご存知ない方にとっては、甘美なる言葉に聞こえるのかもしれません。


確かに…
「社内起業制度」を採用し、自社従業員に対して起業独立を支援するような奇特な会社があるとの記事を目になされて、はるかかなたの西方より海を越えて家族連れで入社なされた方もいたほどでございました。


わたくしの場合、幸運にもこの
「社内起業制度」
を実見する事が出来ましたので、一つの例として紹介させて頂きます。

あくまでも一つの例です、全てが同様であるとは思ってもおりませんので、ご承知おき下さいませ。


わたくしが入社してから一週間ほどで 、その「社内起業制度」の実態を感じ取る事が簡単に出来ました。
(すでに末期的症状が現れていたようにも思います。)

この会社の中で当時 社内起業されていた方は2名おりました。

1名が前述致しました、遠方より家族連れでいらして背水の陣で望む「HR氏」。

もう1名が社長殿の ご実弟「ST氏」でございました。

このST氏は、前編にて紹介致しました社長殿ご一族の第5序列のお方にございます。

1.社長殿
2.社長殿の奥方
3.社長殿の実妹(義弟の奥方)
4.義弟
この方→5.社長殿の実弟
6.草取り番長のご尊母(名誉職)


ぶっちゃけ結論を書いてしまいますと、縁故がなけりゃ「社内起業」なんてのは地獄を見ますね。

社内で独立なされた社長殿の実弟には、同種の加工機を扱うベテランに作業を教わりながら働けるような機会を与え、且つ独立しても作業上の負担は極力掛からぬような調整を行ないつつ売り上げが目標額に達するように仕事を与えておりました。

かたや、家族を連れて背水の陣で挑むHR氏にはこの方のみが担当する加工機を預け、短納期の作業を優先的に回して、常に足元を伺いながら作業単価も社長殿がほとんどお決めになります。
(仕事を受ける際に、大甘な納期&価格でもへっちゃらですね~)

まともな会社の社長であれば、なんの事はないこれが当たり前の話になります。

しかし…独裁者を気取り始めた社長殿は、

伝家の宝刀

「納期守れ~」
「コスト下げろ~」

を、ブンブンと振り回しながら

「気に入らなきゃ、おまえに仕事出さねぇよ!ナハハハ!」

と、見下した笑いを繰り出します。

わたくしが入社して数日後には既にHR氏の姿は見かけなくなり、加工すべき部品の入ったケースが山積みとなっておりました。

業を煮やした社長殿が、白い紙に赤ペンで、
「納期を守るように」
と書いて加工機に貼り付けてましたが、そんな貼り紙も本人が会社に来なけりゃなんの意味もありませんねぇ。

この時既にHR氏は社長殿を見限っていたのでしょう。

山積みとなったケースを眺め、ただ呆然とする社長殿なのでしたぁ~的な…。

まぁ県の行政が注目するような制度を思いついたモノの、己の心根の小ささ故に共に起業した仲間達からも愛想を尽かされてしまい、滅亡への道をひた走る事と相成りました社長殿でございました。

わたくしが退職した後も、辞める方が後を絶たず最後は共に起業した主要メンバー二人が去り、これが決定打となり廃業へと至ったとの噂でございました。
(廃業に至る事実関係は一切存じておりません、あしからず…)

後日談、遠方より来て社長殿を足掛かりに独立を果たしたHR氏は、その後パトロンを見つけて違う場所で新たに開業して成功を収めました。

そして早々に滅びた社長殿になり変わり、県の行政からの熱い注目を浴びる存在へと変貌を遂げるのですが、それから数年後には刑事事件を起こして逮捕されてしまい、こちらの会社もそのまま廃業となりました…
チャンチャン………

この辺の逮捕に至る下りは、以前に登場しましたわたくしの同僚であった「相棒」がこのHR氏の会社で以前働いていて、HR氏が逮捕された事により会社が廃業となって失業してしまったとの事でした。

この会社の話を詳しく聞いていくウチに、その社長HR氏をわたくしも存じ上げている事が判明したのでした。
(インターネットと云うのは、古い情報も炙り出しますねえ~恐い恐い…)


逮捕容疑は聞いて呆れましたが、傲慢になった結果&男が勝った結果なんだろうなぁと、少しも同情の念は湧かないような粗末な内容でございました。

全くのド素人から、東北と西方の二カ所に工場を持つに至った英雄の哀れなる末路とでもいったところでしょうかねぇ…。

さて、脱線続きでしたが
「企業内起業」
の結論はと言いますと、経営者として大事なのは
「外注先」
をどのように捉えて扱うか?にあるように考えます。

ただのコスト削減の為だけの関係性ならば、「外注先」はただの消耗品となってしまいます。

やはり共存共栄と捉えて末長く付き合う事が肝要であると感じます。

まぁ経営云々よりも人間性の評価に繋がりますかねぇ~。

さて、遅くなりましたが、社長殿からわたくし自身が受けたご恩はと言いますと、

その1.夜中12時まで残業して帰宅。
翌朝4時(睡眠2時間位かな?)に出社して、自分の車で関東までお客様の工場へ直納に赴く…。
(客先の強い要望で翌朝9時頃の納品だった気がします。わたくしが手当てとして支給されたのはガソリン代のみでした…社用車…ありません…。一度の移動距離は1,000km以上となり、これが常態化される前に退職しました。)

その2.金属を磨き上げる作業を受けた際に、社長殿に作業指示を頂き(磨き粉の番手)約4時間セコセコと磨き上げて判断を頂くと、

「ナハハハ、ダメだなコリャ。もう一回番手を上げてやり直して~ナハハハ」

と、やり直しにおおよそ5時間掛けてようやく終了。

社長殿はその磨き作業に習熟しておられましたので、仕上がり具合は充分にご存知でございます。

単純に嫌がらせの為に初めの作業指示でワザとウソを言い、やり直させると云う姑息な手段であります。

まぁ権力を手にした下郎が良くやりたがる姑息な手段でございますね。

この時にわたくしが確認したのは、受注金額との兼ね合いから、どれだけ時間を掛けて磨くのか?でした。

このような判断は受注金額を知っている社長殿に判断を仰がねばならぬのです。
金額を考慮しなくて良いならば、24時間だって磨きます。
(社長殿は、よほどやましいところがあったのか、現場には金銭に関する情報は一切流しませんでしたねぇ。)

結局、わたくしは半年で退社し、それから1年ほどで社長殿の会社は倒産とあいなりました。

後日、地元テレビ局より、社長殿の会社倒産に関するインタビューを求める電話がわたくしのところにまで入り色々とコメントしました。

結局、わたくしのコメントが地方テレビ局の報道番組内で流されていたそうです。

放送の数日後、いきなり遠く離れた友人より電話が入り…

「◯◯よぉ、おめ~こないだテレビでしゃべってたべ~、話し方ですぐわかったぞ~ウヒャヒャヒャヒャヒャ」

なぁ~んて電話を貰いました。

そんなに変な喋り方かしらん………

結論として、「男の約束は守ろう!」

企業内起業 前編(全二話①)

2013-06-14 21:56:39 | 日記
今回は社長様とは違う方のお話となります。

20世紀が終焉を迎えようとしていた頃、わたくしが半年ほど在籍しておりました会社の社長殿のご紹介です。

その社長殿、わたくしが愛してやまない社長様とは大いに異なり、カミソリの如き脳みそと目つきを備えている方でございました。
(まぁ何を切るかによりますね。他人の事ばかりスパスパやってると人望を失ってしまいます。)

この会社は、90年代の始めにわたくしが在籍していた会社から7名+αの方が一斉に退社して起業なされた「株式会社」でしたので、皆 顔見知りでございました。
(何故わたくしが誘われなかったか…については、お考えになりませぬよう…)

起業されてから約2年後に、わたくしもお世話になる事と致しました。
(高飛車な奴め…)


さて入社した初日に まず驚いた事がありました。

以前の職場で ご一緒させて頂いた顔見知りの皆々様のところへ入社の挨拶に回っていてようやく…わたくしと同い年の

「彼が居るからあの会社は大丈夫だろう。」

と信頼しておりました お方が既に退社していた事実が判明…
ガ~ン………


ん~彼は営業職でしたので、面接で会社を訪ねた際に、居らずともおかしいな?とは思いも付かず…
(不覚ナリ………どおりで面接した時 皆に挨拶してたら社長殿がついて回るなぁ~と思ったんですよね…)

次に驚きましたのは、社長殿が社内で妙に威張っている点でした。
(確か、皆が株を持ち合っているから対等の立場なハズなんだけど…)

その後しばらくして判明したのは、起業時に7人で約束していた、

「増資は行わない事」
「増資する場合はきちんと話す事」

と云う取り決めを社長殿があっさりと破り、社長殿の実母より1,000万円を出資させ増資を行なっていた事実でした。

(確か…当初の資本金は1,200万円~1,400万円でしたから、一躍 筆頭株主でございますね。)

立ち上げメンバーには社長殿の義弟も居ましたから、共謀になってしまうのでしょうねぇ。

さてここまできて、ようやく会社敷地内の草取りをしていた偉そうな態度の婆さんの正体が判明したのでした…

その婆さんが会社の大口オーナーであった訳でした…


社長殿グループは、事務に社長殿の奥方と実妹を据えていたので、

1.社長殿
2.社長殿の奥方
3.社長殿の実妹(義弟の奥方)
4.義弟
5.社長殿の実弟
6.草取り番長のご尊母

と、社長殿含め6名も社内に食い込んでおりました。

社員12名中の6人を社長殿の親族で占めてしまい会社を独占した訳です。


経営陣の人間関係がマズい場合、当然会社経営や仕事の運営自体もマズくなるでしょう。


さて、そんな状態の会社ではありましたが、県の行政からは大変注目を浴びておりました。
(当時たまたま写したテレビ番組に社長殿が出演していたりしてましたねぇ~)


それは、

「社内起業制度」

を積極的に推進していたからでございます。


「社内起業制度」

お役所の方々が喜びそうなフレーズでございます…。

雇用した人間に対して、社内の設備を貸与するから、

「会社の中に居ながらにして個人事業主になろう!」

との掛け声勇ましく独立を助けて援助しますよ!と云う触れ込みでございました。

本日はこれにて…

間が空きますが、つづきます…

出張 後篇(全二話②)

2013-05-10 12:44:34 | 日記
前回の続きでございます。

一概にビジネスホテルといいましても、装備が一律ではありませんし、結構個性がありまして度々楽しい思いをさせて頂きました。
(かたやコンビニは、どこに行っても品揃えがほとんど一緒なのでツマラナイ…)

わたくしの中で「やられたなぁ~」感が一番強く残っているのは、愛知県の県庁所在都市の近郊にありましたビジネスホテルでございました。
(若かりし信長さんのお城がありました町と記憶しております。)

そこのホテルは駅から15分程歩けば到着する場所にありましたので、申し訳なくてタクシーに乗るのが憚られる距離でした。
(わたくし小心者なのでタクシーの運ちゃんのガッカリ顔がとても苦痛でございます…)

朝イチで客先への出社となっておりましたので、現地に前日入りしてホテルに向かったのですが、道が入り組んでいてホテルの場所が判りにくかった為にタクシーを利用しました。

タクシーで走ってみると、地図で見たよりも距離があるなぁと思いましたら、何の事はありません路地をグルグル回られて料金を釣り上げられておりました。
(確か…乗って行き先を告げた際に、「歩いて行けるよ!」と、言われたかもしれません。遠まわしに「歩いて行け」と、言われていたのかな…)

そこのホテルは、駅との中程にコンビニが一件あるのみの立地条件で、食事には難儀する事を予感させる物件でございました。


作業初日、早く帰りたがる客先担当者(T系列自動車部品メーカー)&商社営業マン(某ガス関連企業)には耳を貸さず目もくれずに夜の10時過ぎまで黙々と残業しました。
(途中明らかなる設計ミスを発見し、会社に電話するも皆帰宅していてイライラ…)

ようやくお客様達を解放して差し上げ、電車を降りて駅を出たのは夜の11時過ぎでございました。

想像以上に暗い町並み…

この時間ですでに開いている食堂もなかったので、途中のコンビニで夕飯を仕入れてホテルへと戻りました。
(夜になって判りましたが、コンビニの向かい側にはネオンがコウコウと煌めくウサギさんがお勤めのお店がございました…)

部屋に入り…疲れた身体で一番最初にやりましたのは、先程買ってまいりました豚キムチスーパーカップに、備え付けのポットの湯を注ぐ事でした。

こうしておけば服を着替えている間に出来上がる算段でございます。

さて着替えが終わり身体を締め付けから解放して、ようやく晩ごはん…

と思いきや!

フタを開けたカップラーメンから湯気が立ち上がりません…

中のお湯に指を入れて確認します

「エェッ…冷たい…」

先程お湯を注いだポットを振ってみますと…

「カランカラ~ンと音がする…」

氷水が入っておいでにございます…


言い訳…

それまでに宿泊したホテルでは、小さなテーブルにはたいてい、

「茶碗&ティーバッグ」

その隣には、

「お茶用の小さな湯沸かし器 or お湯の入った小さなポット」

が置いてありました。


くだんのホテルの場合も「ティーバッグ&茶碗」の脇に小さなポットが置いてありました…

どう見てもお湯だろコリャ?と自己弁護…水出しのお茶かい?

ふぅ………疲れきった身体では、お湯と氷水の見分けすらつかなかったか…

溶けずに粉末のまま残っているスープを流さぬように…なんとか氷水を捨てて、浴室のシャワーから出てくるMAX熱いお湯(それでも40℃ぐらいでした…)を注ぎ入れました。

空腹のまま…10分以上待ちました…

しかし…それでも麺は柔らかくならず、スープの味も薄くなってしまいましたが、夕食なしで残業して ようやくありついた晩ごはんでしたので、バリバリと言わせながらおにぎりと共に食べました…
(胃袋に入りゃ一緒です。)

お腹も落ち着いたので、ホテルの冊子でお湯の件を探します。

ありました…

「お湯がご入り用の方はフロントまでお申し出下さい。」

だそうです。

後にも先にもそのようなホテルは、そこ一件だけでした。

いゃあ~ポットに「氷水」って書いておいてもらえますかぁ~。


下らなくて長い脱線より復旧致します。


結局、一度も座る事が無いまま東京駅に到着し、足早に乗り換えの東北新幹線のホームへと向かいます。

既に長くなっている自由席待ちの行列に並んで ようやくしゃがむ事が出来ました。

新幹線がホームに入り、ギリギリで座席に座れる事を期待しましたがやはり全然無理でした。

再び、混んでいるデッキの床にデカくて邪魔なカバンを置き壁に寄りかかるのが精一杯の混み具合いでした。

ようやく座席に座れましたのは、仙台駅に着き大半の乗客が降りられた後でしたが、とにかく脚の痛みが気になってそれまでの途中の記憶が無い位でございました。


さて、下半身がクタクタになりながらようやく会社に到着し、会社のメンバーから頂いたお言葉なのですが…

これはわたくしの社会人経験の中で頂いた言葉の中でも、かなり秀逸で明言であるなぁと思っています。


発言されたお方は、以前の話(社員登用制度)に登場しましたベテランパートのONさんとなりますが、

「○○さん、何やってたの!みんな大変だったんだよ!」

と、工場内に入ったわたくしを見つけるなり両目を吊り上げながら、かなり切れている正義の味方のONさんに怒鳴りつけられたのでした。

は?ナンジャそりゃ?ちんぷんかんぷん…

身体が疲れきっておりましたので、意味不明な言動の理由を考える気力も時間もありません。

「ハハハ…」
(何言ってるか訳わからん…)

と、愛想笑いだけしまして、すぐにお客様の待つ事務所へと向かいました。

後から気付きましたが、ONさんは わたくしが愛知県へ観光で遊びに行っていたとお考えのご様子でした。
(従業員の皆さんに、キチンと説明しておいて下さいね社長様…)


それから数日経ってONさんより…

「○○さんすみません、出張だって知らなかったので…」

と言われましたが、それまで続いていた不快感そして理不尽感が消える訳もなく、更には従業員の中で唯一大変な思いをしていないONさんから難癖をつけられた気持ちが晴れる訳はありません。
(思いますに、KYな方と云うのは自分が何も知らぬ事に気付きもせずに正義感を斧のように振り回してくるので困りものです。)


さて、作業で疲れきった下半身に更に半日以上立ちっぱなしの苦痛を受ける拷問を味わいつつ…ようやくたどり着いてお会いしましたお客様との打ち合わせの首尾はと言いますと、あっという間の10分もかからずに終わりました。

あの~
あの~
わたくしが居る必要ありました?


お客様
「じゃあ詳細は、今度ウチの方に見えられた時に!」

初対面の挨拶をした後の、この言葉で本日の打ち合わせは完了です。


判ってはいましたが、社長様お得意の難しい事には一切関わりたくないが為に、奈良から呼び付けられた訳でありました。
(いやぁ~判っちゃいたけど心に漂う疲労感…)


さて、出張かぁ~いいなぁ~と思う方もいらっしゃるでしょうが、会社には良くともわたくしは赤字で散々です。

出張手当ては1日当たり¥3,000位頂戴したのですが、朝昼晩の食費は自分持ちになるのです。

3食が外食となりますから、¥3,000なんてほとんど残りませんね。
(客先の社員食堂を使わせて貰えれば、少し残るかな?)

更には、自分の会社にまで お土産を買って帰る必要がありますので、完全に赤字となります。

きっと怒りん坊で威張りん坊のONさんの口にも入った事でしょう。



「○○さん(奈良まで行って)何やってたの?」(怒怒怒)

「はい、ワタクシッずっと立ち仕事で下半身クタクタなところに、朝早くから移動させて頂きましたので 新幹線は愛知県から仙台市までの間はずっと立ったまま帰って来ました。時給¥4,000のお仕事でしたので会社は儲かってますが、わたくしが頂いている手当ては食費で消えてしまい更には会社にまでお土産買って来たので赤字なんでありますっ」

と、言いたいところではありましたが、まぁ会社が儲かっていればそれで良いのです。

しかし、出張から戻り あんな言葉を喰らうなんて想像しておりませんでしたので、とてもガッカリ感が強かったなぁ~…と、いまだに思い出すと怒りよりも無念な気持ちで一杯になる出来事でございました。

今回は 社長様がカワイク思えてしまうほど、パートのONさんが主役となってしまいました。
(工場内でお局様になり損ねたので、わたくしを恨んでいたと云う事実もありますけれどね…)

仕事が出来る人間に指摘されるならばまだしも、判らなくなるとすぐに他人を呼び付けて仕事を押し付けるようなONさんから、自分頑張ったなぁ~と思っていたわたくしが罵倒に等しいお言葉を浴びせられる無念さよ…。

世の中、こんな理不尽な仕打ちもあるんだなぁ…と、大変良い勉強となったのは確かでありました。

さて、ゴールデンウイークが終わり、皆様が五月病になど罹患なさらぬようにお役に立てば幸いにございます。

特に、新社会人の皆様には 頑張り過ぎぬように、世の中の理不尽さの一つの参考として、うまく息抜きに繋がれば良いなぁと思っております。