
主人の寝ている部屋へ行って隣にころんと転がった、「どうしたんや」って、まだまだ頑張っていた主人が聞いた。
「寂しいねん」と言ってしまって、慌てて「何時でもあんたは先に寝て、私はひとりでテレビ見てるのになぁ・・」と言うと、「おかしな奴やな」って主人は言ったけれど、二人とも実はもうわかっていた。
そういえば、「寂しい」と訴えたのは主人だけだと今気付いた。
ほとんど口座番号まで覚えていた預金通帳。使い慣れた暗唱番号、すり減ったようなキャッシュカード。主人名義ではあるけれど、私が作って私が使い続けてきたもの。
それらは、私たちが築いた「家」のものだと意識していた。二人の家庭のために使って、子供を育て生活を賄い生きて来た。
諸々の手続きを進める中で、積み重ねてきた日々が消えて行く・・。勿論、中にあるお金は私の物として戻ってくるけれど、そういうことではなくて二人で造ってきた「家」が消えて行くような・・、そんなリアルがボデーブローのように効いてくる。
でも、残ったのが私で良かった。あんたにはとても耐えられないだろう。きっと呆けていたと思う・・。私でも呆けたことしている時があるのだから・・。なんて、写真に向かってぼやいている。
こんな事を書いている時、息子から「大丈夫か・・」って電話が掛かってきた。こう言うタイミングは、台風の時の嫁さんからの電話と言い、ご近所さんの一言といい絶妙なのだ。だからイエス様は優しいなぁってつくづく思う。
私たちの国籍は天にあり、私の永遠の家庭も天にある。