息子1の小学校の同級生のかおりちゃんの苗字は田雑さんだ。こう書いて「たぞう」と読む。
田雑さん一家は同じ団地の住人だった。むこうが1号棟うちが2号棟だった。
団地内には月当番というものがあり、各棟の各階段から一名ずつ出て会計だの書記だの連絡係りだのの仕事をする。
かおりちゃんもかわいい女の子だったが、おかあさんがまた美人で、その美人さんとはよく月当番がいっしょになってあれこれいっしょに動いたものだった。
温和な性格で物事を荒立てず、丸くおさめたいタイプだけれど、仕事はきちんとこなすひとだった。銀行にお勤めもしていた。
ちなみにおとうさんはヤクルトの古田に似たやさしいひとだった。
あるとき、田雑さんの上の階の部屋が火事になった。
団地内に消防車がはいっていきて、野次馬も集まってきて大騒ぎになった。
そんななか、田雑さんの奥さんが青い顔をしてスーツケースを抱えて階段を下りてくるのを見た。きれいな顔が引きつっていた。
幸い同じ階段の男性陣が消火器でなんとか消しとめ、放水にはいたらなかったがもしも放水していたら、田雑さんの部屋も水びたしになったことだろう。
原因は、その家の息子さんがベランダにおいていたバイク用のガソリンに煙草の火が引火したとのことだった。
その息子さんは耳が聞こえなかったので、いつもそのバイク音に悩まされてもいたらしいが、それからほどなく田雑さん一家は家を買って団地を出た。
団地内の付き合いはよほどでないかぎり、そこで終わってしまう。
田雑さん一家は同じ団地の住人だった。むこうが1号棟うちが2号棟だった。
団地内には月当番というものがあり、各棟の各階段から一名ずつ出て会計だの書記だの連絡係りだのの仕事をする。
かおりちゃんもかわいい女の子だったが、おかあさんがまた美人で、その美人さんとはよく月当番がいっしょになってあれこれいっしょに動いたものだった。
温和な性格で物事を荒立てず、丸くおさめたいタイプだけれど、仕事はきちんとこなすひとだった。銀行にお勤めもしていた。
ちなみにおとうさんはヤクルトの古田に似たやさしいひとだった。
あるとき、田雑さんの上の階の部屋が火事になった。
団地内に消防車がはいっていきて、野次馬も集まってきて大騒ぎになった。
そんななか、田雑さんの奥さんが青い顔をしてスーツケースを抱えて階段を下りてくるのを見た。きれいな顔が引きつっていた。
幸い同じ階段の男性陣が消火器でなんとか消しとめ、放水にはいたらなかったがもしも放水していたら、田雑さんの部屋も水びたしになったことだろう。
原因は、その家の息子さんがベランダにおいていたバイク用のガソリンに煙草の火が引火したとのことだった。
その息子さんは耳が聞こえなかったので、いつもそのバイク音に悩まされてもいたらしいが、それからほどなく田雑さん一家は家を買って団地を出た。
団地内の付き合いはよほどでないかぎり、そこで終わってしまう。