高校三年のクラスはまあちょっとした梁山泊のようなものだったけれど、そのなかのいちばんのおチビさんがたかださんだった。
たかださんは豆腐屋のむすめさんだった。
どんぐりのような目、いつもすこし赤らんだふっくらした頬。たぶんおかあさんそっくりなんだろうなと思える面立ちだった。
そのおチビさんはバスケット部に所属していた。それは願いでもあったのかもしれないが、むなしい願いのようにも傍からは見えた。
彼女の仲良しはみな飛びぬけて長身だったけれど、一様にたかださんを認めていた。
このおチビさんはがんばりやさんだったし、商家の長女らしく目端が利くひとで、混沌としたクラスにあって、その発言に説得力があった。
バスケットコートでは、いつも大きな目を見ひらき、赤い頬を膨らませて、まわりの全てのひとを見上げながら、手にあまるボールをゴールへと運んだ。
大きな人のあいだをすいすいとおチビさんが抜いていく。そのスピード。小気味よさ。
なにが何でもボールは離さない、そんな気の強さ。根性。
その影には人一倍の精進があったに違いないが、たかださんはあたりまえの顔をしてこなしたにちがいない。
豆腐屋の長女はなんとも負けずきらいだった。
卒業して保育科に進んだと聞いたことがあった。さぞかし元気のいい保母さんになったことだろう。
そしてきっと今も少し頬の赤い元気のいいおかあさんでいることだろう。
たかださんは豆腐屋のむすめさんだった。
どんぐりのような目、いつもすこし赤らんだふっくらした頬。たぶんおかあさんそっくりなんだろうなと思える面立ちだった。
そのおチビさんはバスケット部に所属していた。それは願いでもあったのかもしれないが、むなしい願いのようにも傍からは見えた。
彼女の仲良しはみな飛びぬけて長身だったけれど、一様にたかださんを認めていた。
このおチビさんはがんばりやさんだったし、商家の長女らしく目端が利くひとで、混沌としたクラスにあって、その発言に説得力があった。
バスケットコートでは、いつも大きな目を見ひらき、赤い頬を膨らませて、まわりの全てのひとを見上げながら、手にあまるボールをゴールへと運んだ。
大きな人のあいだをすいすいとおチビさんが抜いていく。そのスピード。小気味よさ。
なにが何でもボールは離さない、そんな気の強さ。根性。
その影には人一倍の精進があったに違いないが、たかださんはあたりまえの顔をしてこなしたにちがいない。
豆腐屋の長女はなんとも負けずきらいだった。
卒業して保育科に進んだと聞いたことがあった。さぞかし元気のいい保母さんになったことだろう。
そしてきっと今も少し頬の赤い元気のいいおかあさんでいることだろう。