いつからだって演劇三昧

50歳で早期退職して演劇生活を始めてしまいました。

映画「ゆれる」

2006-07-30 14:57:23 | Weblog
渋谷で映画「ゆれる」を観ました。
観ている間緊張が続き、何かが深いところでざわざわと波を立てているようで、観終わって映画館を出てからもしばらく動悸がおさまりませんでした。
オダギリジョー、香川照之演じる兄弟の確執が、事件が起きなければあばかれることのなかった内面が、時間の経過とともに露わになります。
この二人の俳優のまさに「競演」、迫力ある演技の連続でドキドキしました。それが大上段に振りかぶるのではなく、ちょっとした表情の変化、目線の移動、背中、手、で伝わります。全体的に暗いトーンですが、それが悲壮にならず、大げさにならず、むしろ淡々とシーンが積み重なっていく、ような。観終わってもすっきりとした気分にはなれず、ラストも観客に委ねるている、ようです。
脚本・監督は西川美和。「蛇イチゴ」に次ぐ4年ぶりの第2作とのことです。第1作も観てみたくなりました。なんと「ゆれる」は監督の夢の中に出てきた話がもとだそうです。「ゆれる」のは事件現場となった吊り橋が象徴しているのでしょうが、「兄」も「弟」も周囲の人々も「ゆれ」、観客も「ゆさぶられ」ます。自分の内面にヒヤリと何かを突き付けられたようで、じわりと背中が寒くなります。


オダギリジョーはもともとかなり好きでして、心優しい青年から、ちょっとあぶない人、へんてこりんな人、狂暴な男、同性愛者、どの役柄もそれぞれによかったのですが、今回もまたよかったなあ。役に添っていて。
香川照之はテレビでよくお見かけしていたのですが、今回は「怖かった」。人間ってこういう面があるよね、普段は見えないけど、というところがリアルに見えて怖かったです。特に一見温厚で真面目で人当たりの良い兄の心の奥底に潜んでいたものがじわじわと、やがては烈しく表出する面会シーンが迫力でした。オダギリジョーがインタビューで「・・・香川さんが、どういう顔をして、どんな台詞を返してくるんだろうって。脚本を読んで知っているにもかかわらず、撮影中、すごくワクワクしたんですよね。」と話しているのですが、相手役をワクワクさせる俳優ってすごいなあと思いました。
この映画を観て、ストーリーがどうの、カメラワークがどうの、ではなく、「演技するって、俳優ってすごい」と思いました。あれ、でもこれって「映画」に入り込めてない? 
映画ですっきりしない気分になるのは、ちょっと・・・という人にはおすすめできませんが、私はこういうのも嫌いじゃありません。


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