汗と涙の着物生活 

突如着物に目覚め、ついに着物作成に挑戦。着付けに涙し、とどまらぬ物欲に冷や汗の毎日。

着物の商標

2011-02-08 | 考えたこと
着物には洋服のように商標や、素材についてのタグがないことが不思議。
まあ、よく考えてみると、オーダーを原則とする着物は、そもそもどの呉服屋さんのどの反物かをわかったうえで作るのだから、表示する必要がないからであることはわかる。
一方、今では洋服では既製品を買うのが一般的なので、きちんと素材や出所の表示をして消費者に選んでもらう必要がある。

ただ、私のようにリサイクルやいただきものがワードローブの中心だと、表示がないと、その来歴がわからなくて戸惑うことが多いのだ。「着物は長く受け継ぐことが出来ますから」というのであれば、受け継がれてもわかるような表示をつけてくれないかな・・・。

なぜそんなことを急に考え始めたのかというと、ネットで着物を探しているうちに、同じメーカーの反物でも、表示がまちまちであることに気がついたからなのだ。

毎年のことだが、初釜以来、フォーマル着物熱が高まっている私。ネットショップで買う当てもなくふらふらウインドウショッピングをしていた。
フォーマルといえば柔らかもの、柔らかモノといえば京友禅、京友禅といえば「千總」・・・そんなセオリーがあるわけではないだろうが、フォーマル着物のカテゴリーの中で「千總」は特別な位置を占めているらしく、ここの着物が陳列されているお店では、誇らしく「『千總』ですよ~」とアピールしている。


で、そのアピールしているよりどころである「千總」の表示が、まちまちなんである。

あるお店ではこんなの。
 

別のお店ではこんなふう。


千總のホームページに表示されているのはこちら。


これでは、本当の京都の老舗の「千總」なのかどうか、買う側は判断できない。もしかしたら違う「ちそう」なのかと疑ってしまう(笑)。
こういう表示が巷に溢れていることに対し、当の千總さんは、どう考えているのかしらん?

ちなみに、私の付け下げにもこんなタグが。


これは、、「千總」が何たるかを知らぬきもの超初心者時代に買ったもの。あとからすんごい老舗だと聞いて驚いた。しかし、これだって本物かどうか・・・。
まあ、信ずるものは救われる精神で、お買い得だったと喜んできているが。

欧米のブランドが商標管理には非常に気を使っているのと同様に、日本の着物業界でも商標管理を徹底させていただいたほうがよいのでは・・・と思う。(素人意見ながら)
ついでに、素材表示も徹底していただけると、受け継ぐ上ではありがたいんだけどなあ。

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16 コメント

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Unknown (萬代屋宗晏)
2011-02-13 09:00:31
着物は変な『伝統工芸品的体質』だけは未だにもっいてて、萩焼は買ったままでは水が漏るとか、塗り物は洗剤で洗ってはいけないとかいうのは当たり前で、知らないのは消費者が悪い、そんなことをわざわざ言って、売りにくくする必要はない、と考えているきらいがあります。品質的にも、価格的にも消費者の立場に立っていないということですね。本来なら、リサイクル業者さんは、おかしな業界体質をひっぱらないで、きちんとしたあるべき体制をひかれるべきだと想うのですが、悪いところだけはそのままです。着物の扱いは専門的知識が必要なのですが、あつかう業者の方は反対にレベルが落ちていますから、消費者の方々が不安に思うのは当たり前です。小生も知らないことは山ほどあります。だから、専門化にいろいろ聴いて勉強せねばならないのですが、売れたらほったらかしというのがあまりに多いのです。本を読めば解るような商品知識よりも、呉服屋にとって大切なのは手作りの物を、それにふさわしい姿勢で扱うということです。このあたりを、消費者の方が業者を選ぶポイントの一つに加えられたらよいと想います。
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天然染料 (はつき)
2011-02-11 16:29:34
萬代屋さん

ブログ、拝読しました。詳細な説明、勉強になりました。

天然染料は、堅牢度に難があって長いうちには色が飛ぶというのは知識では知っていても、今回の道中着のように、他のものに色が移ることで、色が落ちるのだというのは、体験してみてわかりました。私にとっては「おお、そういうことだったのか!」と、まさに目から鱗。
萬代屋さんのように、実際的な観点でアドバイスいただける業者さんがいて、洋服のようにタブに注意事項が書いてあれば、やっぱりありがたいですなあ。
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書いときました (萬代屋宗晏)
2011-02-10 20:11:35
『天然染料の堅牢度』

http://mozuya.aleaders.jp/

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萬代屋宗晏へ (はつき)
2011-02-10 02:01:46
病床の中から、熱いメッセージをありがとうございます(^^)。
ブログを拝読して、改めて感じたのですが、来歴を明示するのが製造側の責任であるなら、売る人に期待したいのは、単純に売っているものの来歴を語れることではなく、その素材のメリット/デメリットについても説明できることになりますね。
私の道中着の例であれば、草木染といわれれば単純に魅力的に受け取れますが、色落ちのリスクも大きいわけですね。そのデメリットと草木染の魅力とをどう折り合いつけるかをアドバイスしてほしいです。
ブランドについても同様で、どんな場所でもエルメスを持っていればよいというものではないですから、どういう場でどういうブランドを着るのがふさわしいのか、アドバイスしてもらえると初心者にとってはありがたいですね。
まあ、私ぐらいのおばさんになると、お店の言うことも参考にしつつ、必ずしも言うとおりにはしないで自分で試行錯誤するのが楽しかったりするのですが(^^)。
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やっぴーさんへ (はつき)
2011-02-10 01:51:34
「難しい」のは、「タグをつけたほうがよいのか否か」ではなく、「つけられない事情」を、どう乗り越えていくかなのだと思います。
つけないほうが良い理由は、たぶんほとんどなくて、つけたほうがよいに決まっている。
もちろん、個人個人に必要か不必要かの違いはあるのでしょうけれど。
そのまま着るだけならそれほど必要とは思わないんですが・・・色落ちなどの実害が生じると、ちゃんと表示しといてくれ!と思う次第です。
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Tomokoさんへ (はつき)
2011-02-10 01:44:41
前に書いた、色落ちしてしまった仕立て直しの道中着は、もともとの紬の色が落ちたことがわかりました。草木染だからではないかということなのですが、その表示があったら、仕立て直すときにもちょっと配慮ができたかもしれないのに・・・。
Tomokoさんが足袋を江戸紫色に染めてしまったというコートも同じ原因かも?

「あきらめて」しまうのは、ちょっと残念かもしれません。業界の方にも問題意識を持つ方がいるはずですから。(そう信じたい)
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愚痴みたいになってしもたけど (萬代屋宗晏)
2011-02-09 23:17:07
私のブログに書いときました。

参考になれば・・・

http://mozuya.aleaders.jp/
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このままじゃだめですね。 (萬代屋宗晏)
2011-02-09 19:18:21
なるほどね。
この業界はおかしな、不思議なことばかりです。
業界人の私もそう思います。
でも、おかしいのは業界で、消費者のみなさんの感覚が正しいのです。洋服と同じようには行かないと想いますが、消費者のみなさんが納得して買って、安心して永く着用していただけるような体制を整えていかねばなりませんね。
ちょっと、この件に関しては私のブログで提言を書かせてもらいます(^o^)
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黒猫さんへ (はつき)
2011-02-09 15:00:01
うん、私も結局のところ、自分の判断軸で買うか否かを決めていて、その結果については(不正以外は)文句を言うつもりはないです。一度、着物好きになってしまえば、覚悟ができるのかも(^^)。
ただ、これだけ食品はじめ洋服でさえも表示がうるさく言われる世の中にあるのだから、着物には表示がついていないことが、業界への不信感につながって、敷居を高くしていることもあるのでは?と懸念。 
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絵美さんへ (はつき)
2011-02-09 13:21:19
千總さんぐらいになると、複数ブランドがあって、ライン別にきちんと管理されているんですね。今回例示した表示も、私が知らないだけで、ラインが別の表示なのかもしれないですね。で、「千總」関連ブランドであれば、業界の人は「京友禅」「絹100%」というのは当たり前なので、素材表示はいらないのでしょうか。

業界を糾弾するつもりはさらさらないのですが、洋服と比べて不思議なんですよ。販売側の知識にあまりに頼る構図が、着物販売に対する不信感にもつながっている気がして…。制作時に素材や製造元を明示してあれば、販売する人に多少知識がなくても(勘違いでも)、消費者は安心できる気がするんですけど。
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もずやさんへ (はつき)
2011-02-09 13:15:06
私、洋服をリサイクルに出そうとして、メーカーのタグと連絡先電話番号がないと扱えないとショップに言われた経験があります。消費者保護の法律でそう規制されたとのこと。出所を明確にすることで品質保証する趣旨なのだと思います。
洋服と一慨に同じ規制をかけるのが良いとは思わないのですが、着物のリサイクルとあまりに状況が違うんですね~。販売する人がきちんと商品知識を身につけるのは当然ではありますが、店員の知識だけに頼らず、制度として品質を維持する仕組みがあってもよいのになあというのが正直な気持ちです。
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Unknown (やっぴー)
2011-02-09 01:38:39
う~ん、難しい~
ワタシは母や義母からのお下がりが多いけど
素性のハッキリしたのはホンの数枚しか無いし…。
ましてや自分でお手軽にポチった物など尚更
工房や作家さんをよく知らないから
これからも知らないまま過ごしそうです
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Unknown (Tomoko)
2011-02-08 16:42:28
商標・・・難しい問題ですねえ。
私自身は、正規呉服扱いのお店以外での買い物においては、もうハナからあきらめてます。
そのぶん、自分の目で、手触りで、本物をひとつでも数多く見て勉強することにしています。そして、自分の判断力を信じることにしています。もちろん、イヤ!というほど失敗をしながら、ですけども~(苦笑)。
リサイクル店なんかでも、売る側の勉強不足もかなり深刻ですよね。でも、それもまた、着物世界の裾野の広がりの一端に存在していて、消滅することはないと思っています。

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なるほど~ (黒猫)
2011-02-08 15:42:33
私も高価なものを誂える時は信用できるところでお願いしますし、リサイクルに関しては気に入ればそれで良いと考えているのであまり気にしていませんでしたが、そうですね、商標が管理されていた方が消費者には優しいしすよね。

中古品に関しては、骨董でも古本でも中古レコードでも、自分の知識と審美眼を頼りにあさる楽しみってのもあるかも、と思ったりしますが、ただ、やはり「偽物」業者が儲かってしまうのはイカンすよね。

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商標 (神奈川絵美)
2011-02-08 11:42:36
こんにちは! 参考になるかどうかわからないのですが、私が持っている「千總」の着物は確かStudioなんとかといった横文字がついたカジュアルブランドで、商標?もちょっと変わっていたような記憶があります(今、しまいこんでいて正確にはわからないのですが)。
メーカーがライン別にマークを変えている例や、問屋/デパートの「留め柄」(そこにしか卸していない柄)ではマークを変えるとか、さまざまみたいですね。

でも、問題なのは販売店(特にリサイクル店)の中には、出所をちゃんとわかっていないところも多いということかな、とも思います。以前、本物の久米島紬なのに信州紬として売られていた、なんて話を人から聞いたことも。表示をつける以前の問題ですよね。
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Unknown (萬代屋宗晏)
2011-02-08 08:16:59
はずかしながら、そのあたりの意識は希薄どころか無いと言っても過言ではないですね。私の先輩のところでもデザインをまねられるだけでなく、商標までコピーされてしまっています。作る側も留め型を使って染めたモノを他所に流したりするし、沖縄ものでも偽物、紛らわしい表示があとをたちません。素材表示に関しては、みんな痛いところを探られたくなくて、どうも前向きに進まないし、正直者が馬鹿を見る、そんな業界です。
 では消費者はどうやったら被害に遭わないですむかと言えば、新品なら筋の通った専門店・デパートで買えば問題ないですが、リサイクルならどうしようもありません。店主に『これはあの千総さんのですね』と念を押し、あとで千総に確認する。もし偽物なら、返品する。これしかありません。リサイクル業者は一品一品吟味して仕入れしている訳ではないと想うので、モノの区別がほとんどつかないはずです。従事者をみればわかります。
 一番は、その作品と価格がバランスがとれているかどうか、ということ。バランスがとれていれば、たとえ偽物であっても、実質的な被害は軽微で済むでしょう。
 着物業界の商道徳粛清にはまだまだ時間がかかりそうです。
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