投資家の目線

投資家の目線777(日米貿易交渉第二段階開始へ)

 USTRのライトハイザー代表が、対日貿易交渉の第二段階が数カ月のうちに開始されるだろうと米国議会で証言した。(『米通商代表、対日交渉の第2段階開始「数カ月以内に」』 2020/6/18 日本経済新聞WEB版)。5月の貿易統計(速報)による対米貿易の黒字額は102億円と1979年の統計開始以来で最少となり(『対米貿易黒字が「消滅」 エネルギー覇権の影も』 2020/6/17 日本経済新聞WEB版)、日米貿易収支の不均衡は解消される方向にあるのでそれほど急ぐ必要もないと思ったが、そうもいかないようだ。

 日産自動車が米国ミシシッピ州の工場の製造ラインを1つ削減する方向で調整中と報じられた(「日産、3000億円追加コスト削減 設備廃棄や販管費抑制」 2020/5/27 日本経済新聞朝刊)。これが実現すれば、米国内の雇用にとってマイナス要因になりそうだ。2017年2月に安倍首相は、10年間に1,500億ドルの対米インフラ投資で、65万人の雇用を生み出すという米国内の雇用を増やす提案を行った(『安倍首相、米に巨額インフラ投資の狙い 「戦略的蜜月関係」の一環、50兆円市場で70万人雇用創出』 2017/2/6 ZAKZAK by 夕刊フジ)。それにもかかわらず、日系企業が米国で雇用を縮小するのでは話が違う。一方で、自動車部品を自動車の販売国で作る取り組み(『車部品供給「消費地での生産に」 部工会の尾堂新会長』 2020/6/18 日本経済新聞WEB版)は、日本の雇用は減らすが米国の雇用を増やす方向に働くだろう。

 昨年8月、安倍首相はトランプ米大統領に米国産トウモロコシを民間企業に購入させる提案を行った。『トランプ氏によると、日本は、余剰になっている米国産トウモロコシを購入することに同意したという。安倍首相はトウモロコシ購入の「可能性」に言及し、民間セクターが対応すると述べた。(中略)トランプ氏は「日本の民間セクターは公的セクターに良く耳を傾ける。米国とは少し違うようだ」と述べた』(「日米首脳、通商交渉で原則合意 9月下旬に署名へ」 2019年8月25日 ロイター)。日産自動車は民間企業だから日本政府は無関係という言い訳は通用しない。

 安倍政権は、とりあえず約1000台の人工呼吸器を米国から輸入する計画を立てている(「人工呼吸器、米から1000台購入へ トランプ氏が打診」 2020/5/28 日本経済新聞電子版)。安倍首相の国際的信用を守るためには、米国製人工呼吸器輸入は必須である。
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