わざわざ安保法制を改定しながら、有志連合に参加しないで、米国から「頼りになる同盟国」とみなされるだろうか?そもそも少子化で若年労働力が減少するのに、軍事組織に若者をとられては軍を含む政府を支える経済力は維持できず、米国にとって「頼りになる同盟国」とはならないだろう。しかし、日本の上層部はそれに耐えられるだろうか?
アフガニスタンやイラクの治安維持活動に投入されたのは、最先端兵器で武装しているとは言えない兵士である。少子高齢化の結果、平均年齢が高くなった歩兵部隊など歓迎されないだろう(「オバマの戦争」(ボブ・ウッドワード著、伏見威蕃訳、日本経済新聞出版社)には、米軍の将官たちがステルス戦闘機や最新鋭艦艇、無人機の予算を守るために、イラクで簡易爆破装置から兵士を守る攻撃防護車両の購入に消極的だったことが書かれている。米軍も兵士の生命優先とはいいがたい状況にあるようだ)。米国から高額の兵器を購入すれば、それで「頼りになる同盟国」というわけでもない。
日本政府の上層部は、組織(もしくはその構成員である自分自身)のメンツを保つために、「頼りになる同盟国」という体裁を維持するためのつじつま合わせをしてくるだろう。「不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか」(鴻上尚史著 講談社現代新書)には、生き残った部下が否定しているのに、特攻を「志願させた」側の中島飛行長(後、航空自衛隊の空将補)らは当人たちの意思だった主張し続けたことが書かれている。また豊田副武元軍令部総長は著書で、海軍首脳が対米開戦を反対できなかった理由として、長年大きな予算をもらって、海の護りは鉄壁だと言ってきた手前、今となって自信がないとは言えないという意見が部内にあったことを指摘している(「アジア・太平洋戦争 シリーズ日本近現代史⑥」吉田裕著 岩波新書)。組織(とその構成員である自分自身)防衛のためのつじつま合わせは、日本の組織の伝統撃ナある。しかし、日本の国力に対してその体制を維持することに無理があるのだから、早晩強い同盟関係は行き詰まるだろう。
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