白の糸田6段の黒陣への打ち込み!
とはいってもこの手は「かかり」といって、左上の黒の星の石からケイマの位置に打つ手で
打ち込みというより碁では普通の手である。で、黒はスミに入らせて辺を黒地にするか、
それともスミを守って辺に白を打たせるかの判断を迫られた。
スミに入られると絶対にもうその白は取れない。そしてそこは白地になってしまう。
スミは眼形(がんけい)を作りやすくそれを奪うことは不可能なのだ。
また黒は辺から中央への黒地だけでは自信がなかった。白は盤全体にかなり地があったのだ。
ということで黒はスミは黒が取り、白に辺を打たせる作戦を取った。
この方が白をぜんぶ取れる可能性がわずかではあるが、残される。
白はどんどん広げて2眼(にがん)できるスペースを作りに出た。囲碁は2眼できれば
その石は活きとなる。黒は取るのは無理だと思いながらも、広げられないように白に迫っていく。
一段落して、ほとんど白活きの形となった。
白石に眼が確実に2つできたら即黒負けである。白の眼形への肉薄!
粘れるうちは粘るべし。なのでアガキでもなんでも最後まで粘るべく黒は打っていった。
ここで黒が打った手は、外からの打ち欠きだ。白にそこに打たれると1眼できるので先に打って
それをつぶしたのだ。
もう1つはここで白が打ち欠かれてアタリになった石を逃げるか別の手を打つか様子を聞いたのだ。
白の選択肢は2つ。黒に打ち欠かれてアタリにされた白石を逃げる手。もう一つはそれには
かまわずに本体の白石のスペースを広げる手。
ちょっと見にはどちらでも白はよさそうだった。どちらに打っても取られは考えられない
ように思えた。本体の石のスペースを広げる手を打てば100パーセント活きが確定するの
だが、ちょっとへこたれすぎる気がして、プライドある碁打ちだとちょっと気が引けるのだ。
それにとにかく今は相手の手番である。私はじっと糸田6段の次の一手を待った。
糸田6段の次の一手はやはり私の予想通り打ち欠かれた石の逃げであった。この石が外部の
白石とつながると、その瞬間黒の負けが確定する。自分にもこちらの方が勝負が早い最善手のように思えた。
で、私はすかさず本体の白石のスペースを狭くする手を打った。次は白の手番だがここでよーく見ると、
なんと白から打っても本体の中だけでは2眼できないではないか!スペースが足りないのだ。
そして逃げた白石が外部につながればよいのだが、これも盤面をよーく見ると、黒から
うまい手があって、白から打っても外部につながらないのだ。ちょうど黒石が盤面にうまく配置されていたのだ。
というわけでこの瞬間打ち込みからの白の大石(たいせき)は頓死(とんし)となった。
その後白はかなり打たれたが大差だったこともあり、白の持ち時間が先になくなって、
黒の時間切れ勝ちとなった。
試合後少し検討したが、二択の場面で安全な方に打っていれば白勝ちだった。
でも今だから思えるが、安全な方の手はもう一方の手を打つと頓死するということをはっきり
読めていないと到底打てない手だ。繰り返すがあまりにもへこたれすぎていて
そんな手を打たなきゃ勝てないのか、みたいになり、選手としてはみじめすぎるのだ。
だから理解できる。自分が白だったとしても、読めていなければおそらく糸田6段と同じ手を打っただろう。
ということで私は勝つことができ、決勝に進出した。決勝には反対のヤマからある選手が
上がってきていた。山岡3段だった。準決勝の山岡3段の試合を私は隣で少し見たのだが、
3子局ということもあり、相手の6段の選手がかなり苦戦していた。
手合割は3子(さんし)。3子の対局は黒が黒石を3つ盤上のスミの星の位置に置いて、そこから
白の私が1手目を打つ形で始まる。私は普段、置き碁はほとんど打たないので、自信はなかったが、ルールなので当然これで打つしかない。
決勝が始まった。
以下続く
とはいってもこの手は「かかり」といって、左上の黒の星の石からケイマの位置に打つ手で
打ち込みというより碁では普通の手である。で、黒はスミに入らせて辺を黒地にするか、
それともスミを守って辺に白を打たせるかの判断を迫られた。
スミに入られると絶対にもうその白は取れない。そしてそこは白地になってしまう。
スミは眼形(がんけい)を作りやすくそれを奪うことは不可能なのだ。
また黒は辺から中央への黒地だけでは自信がなかった。白は盤全体にかなり地があったのだ。
ということで黒はスミは黒が取り、白に辺を打たせる作戦を取った。
この方が白をぜんぶ取れる可能性がわずかではあるが、残される。
白はどんどん広げて2眼(にがん)できるスペースを作りに出た。囲碁は2眼できれば
その石は活きとなる。黒は取るのは無理だと思いながらも、広げられないように白に迫っていく。
一段落して、ほとんど白活きの形となった。
白石に眼が確実に2つできたら即黒負けである。白の眼形への肉薄!
粘れるうちは粘るべし。なのでアガキでもなんでも最後まで粘るべく黒は打っていった。
ここで黒が打った手は、外からの打ち欠きだ。白にそこに打たれると1眼できるので先に打って
それをつぶしたのだ。
もう1つはここで白が打ち欠かれてアタリになった石を逃げるか別の手を打つか様子を聞いたのだ。
白の選択肢は2つ。黒に打ち欠かれてアタリにされた白石を逃げる手。もう一つはそれには
かまわずに本体の白石のスペースを広げる手。
ちょっと見にはどちらでも白はよさそうだった。どちらに打っても取られは考えられない
ように思えた。本体の石のスペースを広げる手を打てば100パーセント活きが確定するの
だが、ちょっとへこたれすぎる気がして、プライドある碁打ちだとちょっと気が引けるのだ。
それにとにかく今は相手の手番である。私はじっと糸田6段の次の一手を待った。
糸田6段の次の一手はやはり私の予想通り打ち欠かれた石の逃げであった。この石が外部の
白石とつながると、その瞬間黒の負けが確定する。自分にもこちらの方が勝負が早い最善手のように思えた。
で、私はすかさず本体の白石のスペースを狭くする手を打った。次は白の手番だがここでよーく見ると、
なんと白から打っても本体の中だけでは2眼できないではないか!スペースが足りないのだ。
そして逃げた白石が外部につながればよいのだが、これも盤面をよーく見ると、黒から
うまい手があって、白から打っても外部につながらないのだ。ちょうど黒石が盤面にうまく配置されていたのだ。
というわけでこの瞬間打ち込みからの白の大石(たいせき)は頓死(とんし)となった。
その後白はかなり打たれたが大差だったこともあり、白の持ち時間が先になくなって、
黒の時間切れ勝ちとなった。
試合後少し検討したが、二択の場面で安全な方に打っていれば白勝ちだった。
でも今だから思えるが、安全な方の手はもう一方の手を打つと頓死するということをはっきり
読めていないと到底打てない手だ。繰り返すがあまりにもへこたれすぎていて
そんな手を打たなきゃ勝てないのか、みたいになり、選手としてはみじめすぎるのだ。
だから理解できる。自分が白だったとしても、読めていなければおそらく糸田6段と同じ手を打っただろう。
ということで私は勝つことができ、決勝に進出した。決勝には反対のヤマからある選手が
上がってきていた。山岡3段だった。準決勝の山岡3段の試合を私は隣で少し見たのだが、
3子局ということもあり、相手の6段の選手がかなり苦戦していた。
手合割は3子(さんし)。3子の対局は黒が黒石を3つ盤上のスミの星の位置に置いて、そこから
白の私が1手目を打つ形で始まる。私は普段、置き碁はほとんど打たないので、自信はなかったが、ルールなので当然これで打つしかない。
決勝が始まった。
以下続く