みつきのりえのアートな日々

アートコーディネーターの三ツ木紀英の現代アートよもやま話。

APS企画#17 安藤栄作 展 ラスト1週!

2010年01月26日 15時42分05秒 | APS
安藤栄作(あんどう・えいさく)は、彫刻用に材料を購入するのではなく、間伐材や家を取り壊す際にでる廃材など、自然と手元にやってきた木材に、手斧をひたすらに振り降ろし、叩くことで作品をつくりだしていきます。東京生まれの安藤は、自然とともに暮らす生活に憧れ、1990年福島県のいわき市に移り住みました。森の中や海辺に住まいその時に感じるままに生み出される作品は、いわきの森や海の上を吹き抜ける風、土地からの蒸気をたっぷりふくんだ雲、うさぎやいたちなどの動物の姿をかりた、いきとし生ける万物の精神です。あらかじめ決めた形をきっちりと作り出すというより、一打一打、木と語り合いながら生み出されるその荒々しいテクスチャーと有機的なフォルムは、抽象や具象の境なく、存在の根源を思わせます。安藤にとって叩くこと(作ること)は、食べることや寝る事と並ぶ日々の生活の行為であり、アーティストであることが生活に根ざした必然だからこそ、その作品は逞しくわたしたちの命を讃えます。
近年、その作品はより一層形作ることにとらわれず、勢いを増し、存在そのものへと立ち返っているように感じられます。APSの展示では、会場で描かれた全面を覆うような壁画ドローイングと、最新彫刻作品を展示しています。ぜひ、ご高覧ください。

三ツ木紀英

最新の画像もっと見る