Der König Hat Eselsohren

Samerberg(ザマーベルク) その1

朝のうちは曇りだったのに、10時過ぎから雨が降り出した。
最初は、ライブに持って行くポーターのショルダーと、小さめのレスポに宿に置いておく荷物を入れる予定だったけれど、傘をさすことを考えたら、大きめのレスポにいったん全部入れた方が楽っぽい。
持ってくるものが少なかった分、バッグはいろいろ持ってきたので、こういうときに便利だ(笑)
特に、普段は使わないけれど、旅行の時の予備にレスポは便利。

11時31分の電車に乗りたいので、もしスーツケースをホテルで預かってもらえない場合に備えて、少し早めにチェックアウトすると、すんなり預かってもらえた。
つーか、2泊いないとわかっていて預かってくれてるのか、ちょっと心配だf(^_^;

ローゼンハイム行きって、近距離のBOBかと思いきや、ベネツィアまで行く国際列車だった。
甘く見て指定席をとらなかったら、まぁ、空いてる席がないこと。
びっしりと指定の札が入ってる。
それでもなんとかコンパートメント席の窓側で、ローゼンハイムからしか指定の入ってない席を見つけた。
いくら何でも、ここに後から、ミュンヘン-ローゼンハイム間だけ指定を入れる人はいなかろう。

向かいの席の女の子が、足下に犬のケージを置いてるけど、まぁ何とか座れる。
ローゼンハイムまでは40分ほどだし。

外の景色もたいしたことがないので、基本的に本を読む。
今日よりも、むしろ明日と明後日、電車の乗車時間が長いので、荷物が少々重くなるけれど、本を2冊用意してきた。
特に明日なんて、乗り継ぎがあるとはいえ、SamerbergからEschwegeまで、トータルで8時間ほどかかる。
文庫本2冊で足りるのか?ってくらいだ(笑)

途中で、向かいの子の犬がきゅんきゅん鳴くので、ケージからかわいいプードルが出された。
コンパートメントの中の全員、悪い顔をせず、むしろいい雰囲気。
それに、抱っこされている分には、本当におとなしいし。

が。

ローゼンハイムが近づいてきて、彼女が犬をケージに入れようとしても、犬が足を突っ張って、入るのを拒否(笑)
どんなになだめすかしても踏ん張っているのを、みんなで笑ってみていたのだが、ローゼンハイムについてしまったので、仕方なく電車を降りる。
その後、どうなったのかなぁ?(笑)


さて、ローゼンハイムについたのは12時10分。
しかし、バスは12時15分発。
これを逃すと1時間後までバスは来ない。

で、バス乗り場はどこだ?!

2つある出口のうち、バスマークのある方に出て行っても、どこにどこ行きのバス停、という案内がない!
とりあえず、左手の方にバス停が2つ。
でも、番号も行き先も違う。

さらに向こうの方、バス停のマークが点在している方へ。

少し広くなった、大型の駐車場といった趣のところで、今にも発車しそうなバスを見つけ、「Samerbergに行きますか?」と訊くと、「Samerberg行きなら、あっちだよ」と少し離れたところの、一見観光バス風の車だと言われた。
確かに車体にはSamerbergerなんちゃら、って書いてある!
でも見た目はまるっきり観光バス!!(笑)

とにかくもう、12時15分にはなっているので、一目散に走る。
言われたバスのフロントには、確かに最終の行き先であるRoßholzen(ロスホルツェン)の文字。
しかし、バスはもう走り出してる…(T皿T)
慌てて手を振って、止まってもらった。

「Samerbergに行きますか?」
「行くよ」
「Grainbach(グレインバッハ)まで行きたいんですけど」
料金は4.70。
でも、慌てていて聞き取れないf(^_^;
いや、マジ、焦るって!!

先に乗っていた、唯一の乗客であるおばさんと、運転手とで、ここは乗り場がわかりにくいからねぇ、なんてことをしゃべってる。
つーか、その後もずっとしゃべり続けて、うるさい(笑)
何をそんなに口角泡飛ばして議論してんだ?!て感じf(^_^;

でも、そんなバスも、ローゼンハイムの町中のあちこちに止まるうち、どんどん乗客が増える。
車を運転できないお年寄りたちの、重要な足になってるようだ。
特に足の不自由なお年寄りが乗ってきたので、後ろの席に移動する。

ローゼンハイムには一度来たことがあるので、途中で渡る川に見覚えがある。
バスは川の向こうの山の中へ。
Samerbergまでは、道の途中に集落が点在する感じ。
その点在っぷりが、先へ行くほど間隔が広くなり、山間感が増す。

途中、いくつかの停留所で停まるのだが、一切アナウンスがないので、いったいここがどこなのか、よくわからない。
ちゃんとGrainbachで降りられるんだろうか…?

と、びくびくしながら乗っているうち、時間としてはそろそろだな、というところで、結構たくさんの人が降りた。
運転手に「ここはGrainbach?」と訊いてみると、そうだという。
先に言ってくれ~!

さて、降りたところで、手元に地図はない。
だって、日本にいる間は、会場の近くに泊まることが最初の前提。
それどころか、そもそもSamerbergの地図を印刷する余裕がなかった。
印刷したとしても、会場のあるRoßholzen周辺しか印刷しなかっただろう。

頭の中には、昨日、ネットで見た地図があるのだが、走ってきた道路がどれなのかがわからないので、方向は何となくわかっても、どこに行くべきかがわからない。

「どうしました?」と、たまたま、最初に乗っていたおばさんが訪ねてくれた。
「Estermanhofに行きたいんですけど。Oberdorfの。」
「Estermanhofだったら、うちの向かいよ!一緒に来て!」
うぉ~!超ラッキー!!

「どこから来たの?」
「日本です」
「日本から?インターネットでEstermanhofを見つけてきたの?」
「はい」
「すごいわ~!」
う~ん、確かに。
地球の歩き方にすら載ってないんだから、ここに日本人が来るなんてことは、滅多にないのかも(笑)

しばらく歩くと、
「Estermanhofはあっち。入り口は右の方をぐるっと回ったところね。うちはここ」
と、おばさんは親切に教えて、去って行った。
ありがたや、ありがたや。

つーか、マジで、おばさんが教えてくれなかったら、なかなか入り口がわからないところだ。
呼び鈴を押すと、すぐに奥さんが出てきてくれて、部屋とシャワールームを案内してくれた。
部屋もシャワールームも、思った以上。
というより、予想を遙かに超えて、すっごくきれい。
これなら全然大丈夫ですよ。
つーか、日本の民宿なんかとは、桁違いにきれいと言っていい。

ちなみに部屋はこんな感じ。



シャワールームの方も、タオルの数からして、今日泊まるのは私だけなのかも…?
だったら、帰ってきてから、さっとシャワーを浴びれば問題なさそう。
ドライヤーも備えられてるし。

「朝食は7時半から。飲み物は、コーヒーと紅茶、どっちがいい?」
「コーヒーがいいです」

う~ん、だとすると、7時40分のバスに乗ることはできないな。
9時30分のバス、一発勝負だf(^_^;
でも、ここで朝食って、絶対においしそうだよ♪

ふらっと外に出てみると、本当に昔ながらのバイエルンの農家なのだ。





家からでっかい納屋が続いていて、裏の野原には、野ウサギがいた。
きっと天気がよかったら、ものすごい景色が見られるんだろうなぁ。
夜なんて、晴れてたらほんとに、満天の星空なんだろうなぁ。
夜中までに晴れるなんてことがあったら、めちゃくちゃラッキーなんだが。

野ウサギを撮ろうと、カメラを取りに戻ったが、雨脚が強くなってきたので、原っぱに出るのは中止。
もう2時近いので、近くの店で昼食をとることにする。
今日のおすすめ、Welsfilet 6.90EURO(約900円)って、めちゃめちゃ安いな。
普段でも7.90EUROだ。
ミュンヘンだったら、こんな値段で食べられるところって、あんまりないかも。

魚料理のところに載ってたんで、魚なんだろうな、と思って注文。
白身魚のフライに、ジャガイモがついていて、揚げたてでとってもおいしい♪
そういえばWelsって何?と思って辞書を引いてみたら、ナマズだった。
なるほど、このふわふわとした白身、ナマズなら納得(笑)
以前、パリのレストランでも、注文したらナマズだったことがあるけれど、見た目はアレでも本当に美味しいよねぇ♪
ミュンヘンだったら、ここまで安くて、こんなに美味しいものって、さすがにないかも。


食後、傘を片手に、Grainbach集落をしばし散策。
もう一つ、空き部屋ありますよ、と連絡があったところは、もとからが宿屋っぽい。
それはそれで楽しそうなんだけど、農家に泊まりたかったし、鍵には、部屋の鍵だけじゃなく、ちゃんと玄関の鍵もついてたから、どれだけ遅くなっても入れるし。

それにしても、布のスニーカーで歩き回るには、ちょっと雨が強いので、いったん部屋に引き返し、机の上のあれやこれやを読む。
ここに泊まって、どんなことができるのか、とか。
冬にスキーやスノボなんかもいいよね♪
むしろ、ここに1泊しかしないって、普通あり得ない…f(^_^;

…と、3時ちょっと前に雨がやんだ。
降り続けていれば、4時前か、5時前のバスで行くしかないんだが、降ってないのなら、Törwang(テアヴァンク)集落まで歩いて行って、そこからバスで行くって方が楽しそう。
なにせ、こんなところまで来たからには、なるべくあちこち見ていきたい。

そんなわけで、Törwangに向かって、出発!
ここでいいのか?と思うような、人が歩くことは想定されていなさそうな道を、てくてくと歩いて行く。



道の両側には延々と牧草地が広がり、遠くの方に山裾の景色が見える。
ほんっっっっっっっとうに、晴れてたらすごい景色が広がりそうなところ。

よくもまぁ、こんなところへ来たもんだ。
というよりも、こんなところに、自力で来れるもんなんだねぇ。
昔は思ってもみなかったよ。
こんな、電車も通っていないようなバイエルンの山間、自力でやってきて、てくてく歩いているとは…。
それもこれも、電車もバスもネットで調べられる、今の時代だから。
だいたいにおいて、ライブの情報だって、ネットがあるからこそ。
つーか、こんなところまでライブを見に来るなんて、文字通り追っかけだ♪


途中、通りすがりの車が、「Törwangに行くの?だったら乗って行きなよ」と言ってくれたが、「歩いて行きたいんで。ありがとう!」と断る。
だって、Törwangに行くのが目的じゃないし。

が、一瞬後悔したことが一つ。

もうちょっとでTörwangというあたりで、トラクターが走り出したなぁ、と思ったら、それが実は肥料を散布する車で…(--;
撒き終わるまで、かなり離れた場所で待ってはいたものの、すごい臭いだΣ( ̄□ ̄;
体に染みつきそう…orz

Törwangにたどり着いて、そこそこすてきな建物を発見。



と思ったら、メールを出したけど振られたホテルだった(笑)
どうやらこの辺がTörwangの中心かつ見所らしい(笑)

ほかに見るところもなく、あと10分くらいでバスが来るはず、とバス停を見つけて待っていると、またもや土砂降りに…
しかも、そこはバス会社の操車場(といっても駐車場レベルだが…)らしく、ほかのバスのメンテナンスをしていた人が、「そこでバス待ってても来ないよ!」と。
「え?!Σ( ̄□ ̄;」
「それ(時刻表)、Schulltag(学校のある時期)しか来ないから。次に来るのは17時だから。」

えぇ~っ?!(´Д` )
あと1時間も来ないの?!

つーか、雨がかなり強くなってきたので、ひとまず退散!
近くの銀行の軒下へ。

向かいの居酒屋の前のテーブルに、おっさん二人が座ってるんだが、ちょっと微妙な感じなので近寄らず…。
つーか、そうこうしているうちに、バイカー軍団と思しきおっさんたちがそこに合流。
ますます近づけない雰囲気にf(^_^;

確かさっきのホテルの下がレストランになっていたので、中にいた人に「コーヒー飲める?」と訊いて見るも、あと30分しないと…という返事。

もう!!
お茶するところもないんか!!orz

意を決して、さっき怪しげなおじさんたちがいた居酒屋に戻って見るも、すでにおじさんたちの姿もない…。
う~ん、時間潰しをする場所すらないんだね。


かくなる上は。


行きましょう!!
すでに16時過ぎ。
入場は19時からになっているけれど、その前に17時からビアガーデンがオープンする、って書いてあったくらいだから、メンバーやスタッフはもうとっくに来ている。

幸い、雨も小降りになってきた。
あと3キロくらい、歩けるよ、昼間だし。

もちろん歩道なんてないところ、横を車がすごいスピードで通り過ぎていくけれど、対向車もほとんどないので、特に問題なし。
ただ、雨がほとんどやんだと言っても、ドライバーから気づきやすいように、傘はそのままさしておこう。
ピンク色なんで、いやでも目立つから。

この道を歩いた日本人なんて、もしかしたら史上初かもしれないし(笑)


ただ気がかりなのは、いったん雨がやんで空がやや明るくなったとはいえ、次の雲が近づいてきているのが見えること。
あれが来るまでに、Roßholzenまでたどり着けるだろうか…?

そして、改めて思うのは、マジで夜帰るとき、きちんとシャトルサービスが来てもらえるのか?、きちんと送り届けてもらえるのか?ということだ。
もしRoßholzenに置き去り状態になってしまったら、絶対に帰れない。
間違っても、歩いて帰ろうなんて訳にいかない。

なんでまた、こんなところでライブをやるんだか…?f(^_^;



そんなことをつらつら考えながら、まさにてくてく歩いていると、1台の車が停まり、「どこに行くんだ?」と訊いてくれた。
「Roßholzen」
というと、乗れ、と助手席をさしてくれた。
ありがたい!!

「Roßholzenってどこだ?」
「ここから1~2キロ先」

途中Eßbaum(エスバウム)という集落を通り過ぎ、Roßholzenまではあっという間だった。
Roßholzenという表示が見えたと思ったら、すぐ手前にある大きな建物に「MOARHOF」と書いてある。
あそこだ!!

集落の入り口で下ろしてもらう。
乗っていたのは1キロ半くらいだったと思うのだが、いや~、ほんとに助かった。
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