戸田盛和:「新物理学シリーズ3 振動論」
出版:培風館
発行年月:1968.2
建築の地震応答解析をやるにあたっては振動論の基本的な知識が不可欠。
でも一通りの基礎が分かるようになったら、ちょっと違う分野の本を読んでみるのもとても勉強になります。
海外論文の引用を含む図版の数々は非常にきれいで楽しくなります。
当時の論文から引用されたものについては、いくつかは本書のために改めて再計算されたと思われます。
内容は非常に多岐に亘っていて、振動論という一つの原理を介して様々な分野への横断が体験できます。
建築で構造を学び始めたばかりの学生にはちょっと難易度が高いかもしれない。多自由度・連続体、そして非線形への道筋を示すという姿勢が一貫してとられています。
レイリーの定理などの基本も詳しく学べるし、一方、当時の旬と思われる学界の研究成果ものせられていて、特に非線形振動の摂動論は、むずかしいけれどもおもしろい内容です。
その後、建築、機械の分野でも多くの研究がされています。
高調波共振も扱われていて、これはランダウの力学でも扱われています。昨年度の新谷研の修士論文にも大いに参考にされました。
巻頭では弾性連続体の振動について足りないと著者が書いていますが、それはむしろ我々が補填すべき内容であって、どうしてこういった内容のトピックが選らばれたか、ということが重要。
こうして様々な分野の人が、時を越えて参照できるというのが最も価値のあることで、本の寿命を長いものとしているように思います。
既に絶版で残念。
梅雨の雨音を背に、じっくりと読みたい1冊。
永井
出版:培風館
発行年月:1968.2
建築の地震応答解析をやるにあたっては振動論の基本的な知識が不可欠。
でも一通りの基礎が分かるようになったら、ちょっと違う分野の本を読んでみるのもとても勉強になります。
海外論文の引用を含む図版の数々は非常にきれいで楽しくなります。
当時の論文から引用されたものについては、いくつかは本書のために改めて再計算されたと思われます。
内容は非常に多岐に亘っていて、振動論という一つの原理を介して様々な分野への横断が体験できます。
建築で構造を学び始めたばかりの学生にはちょっと難易度が高いかもしれない。多自由度・連続体、そして非線形への道筋を示すという姿勢が一貫してとられています。
レイリーの定理などの基本も詳しく学べるし、一方、当時の旬と思われる学界の研究成果ものせられていて、特に非線形振動の摂動論は、むずかしいけれどもおもしろい内容です。
その後、建築、機械の分野でも多くの研究がされています。
高調波共振も扱われていて、これはランダウの力学でも扱われています。昨年度の新谷研の修士論文にも大いに参考にされました。
巻頭では弾性連続体の振動について足りないと著者が書いていますが、それはむしろ我々が補填すべき内容であって、どうしてこういった内容のトピックが選らばれたか、ということが重要。
こうして様々な分野の人が、時を越えて参照できるというのが最も価値のあることで、本の寿命を長いものとしているように思います。
既に絶版で残念。
梅雨の雨音を背に、じっくりと読みたい1冊。
永井