注)オリキャラ登場します!
--------------------------------------------------------
「それじゃ、千秋とのだめの凱旋帰国を祝って、乾杯だ!!」
「「「「かんぱーいっ!!!!」」」」
峰の乾杯の音頭を合図に、いつもの大騒ぎが始まった。
「親友、お帰り!のだめも!今日は俺のおごりだ、どんどん飲め!!」
「むきゃぁ、ほんとデスか!?のだめ、張り切って食べさせていただきマスッ!!」
「…ほどほどにしとけよ。」
千秋とのだめは、バカンスを利用して一時帰国をしていた。
それを峰に報告したところ、お祭り大好きなこの男は、早速この酒宴を企画し、今日に至った。
峰と再会を喜び合っているのだめの横で、貸しきった会場を見渡してみる。
(なんだ、この人の多さは…。)
千秋が知っているR・Sのメンバーにしては、些か多すぎる気がした。
「…なんでこんなに人多いんだ?」
「あぁ、最初は元祖R・Sのメンバーだけに収集かけたんだよ。でも、お前が帰ってくるって噂を聞いた新入り達も参加したいって言い出してさ~。多いほうが楽しいし、まぁいいかな?って。」
「ムホー、真一くんモテモテデスね!?妻は鼻が高いデスよw」
「誰が妻だ!!」
「お~!久々の夫婦漫才!!相変わらず、楽しそうじゃねぇか☆」
「楽しいデスよ~w」
「だから、夫婦じゃねぇ!!」
「まぁまぁ、あなた。落ち着いてくだサイw」
「いい加減にしろーっ!!!」
「ギャボーーッ!!」
人の多いところは苦手だけれど、こうしていると大学時代に戻ったような気がして、なんだか懐かしかった。
時間が経つにつれて、皆のテンションは更に高くなってきた。
千秋は、今日のメインゲストである千秋とのだめのために、部屋の真ん中に用意された席で飲んでいる。
のだめを他のテーブルで仲間と騒ぎあっているのを、時たま呆れたように眺めつつ、懐かしい面々や今日初めて顔をあわせた人々との談笑に興じていた。
「千秋君、初めまして。ヴィオラの小菅京子よ。今年から入ったの。」
「ああ、こちらこそ。」
「千秋君の噂は聞いてるわ。初の指揮コンでみごと優勝したんですって?」
「まぁ、どうにか。」
誰かと立ち代りに、小菅と名乗る女が千秋の隣に座った。
勝気そうな目に、緩めのウェーブが掛かった黒い髪。
小菅は所謂、”良い女”的な雰囲気をかもし出していた。
彼女の登場に、千秋と喋っていた男性陣は嬉しそうな顔をし、女性陣は少し気まずそうな顔をした。
「私、○○音高を出て、××音大を出たの。今は、ここで活動しながら新都フィルの空き待ちよ。」
「へぇ…。」
正直、彼女の話には大して興味をそそられなかった。
しかし、最低限の礼儀として軽く返事は返しておく。
そんな千秋の雰囲気を気にしていないのか、気づいていないのか、彼女はひたすら喋り続けた。
千秋にとって、恐ろしくどうでもいい話を。
*****
「ねぇ、のだめちゃん。」
「ハイ、何でしょ??」
一緒に話し込んでいた女性の集団の一人が、ふと、気配を重くして声をかけてきた。
「あれ、大丈夫…?」
「アレ??」
メンバーの女の子の一人が指差したほうに顔を向けると、千秋と、その隣で楽しそうに話している美人系な女性の姿が見えた。
「あの人、小菅さんっていうんだけど、気に入った獲物は逃さないって有名なの。」
「ふおぉ、しゅごいデスね。」
「まぁ、千秋様なら心配要らないと思うけど、気をつけたほうがいいよ。」
今の雰囲気から察するに、彼女は同性からあまり好かれていないらしい。
「美人さんデスね~。」
「まぁね。でも、気に入った男性がいたら、相手に彼女がいたって奥さんがいたって関係なし。で、どんな手を使っても自分の物にするんだって。」
「そうそう。そして、厭きたらすぐポイッ。」
「ふおぅ…。」
「千秋様はカッコいいし、才能も有るから目をつけたのかも。気をつけてね…?」
「が、頑張りマス。」
千秋がほかの女性と楽しげにしているのは面白くない。
しかし、初対面の相手にあからさまに敵対心を見せるわけにも行かず、しばらくはここから見守ることにした。
*****
(…そろそろ開放してくれ…。)
小菅は未だ、千秋の隣を独占したままだった。
興味のかけらももてない話と、小菅がまとうきつい香水の香りにほとほと嫌気が差している。
のだめの自然でさわやかな匂いが欲しくなった。
「よう、親友、飲んでるか!?」
「…峰。」
突然、峰が千秋と小菅の間に割り込んできた。
小菅は迷惑そうな顔をしたものの峰に少しスペースを空けた。
きつい香水の香りが、少し遠くなる。
いつもはうざく感じる峰の登場も、今は有難かった。
「お前、のだめとくっついたんだろ?」
「はぁ?んなわけ…。」
「否定したって無駄だぞー。クロキンや松田さんから情報は入ってんだよ。」
「…!!」
ニヤリと笑う峰に、これ以上の隠しは無理だと悟った。
「やっぱり、大学のときから付き合ってたんだろー?」
「…いや、あん時はまだ。」
「まじで?見るからに付き合ってますって感じだったぞ?」
「んなわけねーだろ。」
「ふ~ん…。で?今は自覚してんだろ?のだめへの気持ち。」
「…さぁな。」
「こんなときくらい、素直になれよ~。ちゃんと好きなんだろ?」
「…。」
「まさか、遊び…とか言わないよな。もしそうなら、俺、お前殴るぞ。」
「…なんで。」
「当たり前だろ。のだめは俺のソウルメイトだ。いくらお前が親友だからって、笑って許せるわけないだろ、そんなの。」
峰は赤い顔で、眉をよせた。
(こいつ、酔ってるな。まぁ、今日くらいいいか…。)
自分の本心を、”自称親友”に話してみるのも。
「…ちゃんと、好きに決まってるだろ。」
「おぉ、やっぱりそうか!なら、いいんだ。」
「当たり前だ。じゃなきゃあんな変態と付き合えるわけねーだろ。」
「ははっ。で、どんなとこが好きなんだ?」
「ば!んなことまで言えるか!!」
「え~?いいじゃねぇか。な~?」
「…。」
「千秋ー。」
「…。」
「ふ~ん。じゃ、勝手に推測するからな。」
「勝手にどうぞ。」
峰は不満そうな目を向けたが、酔っ払いにそこまで教えてやる義理は無い。
「まずはピアノだろ~?次に、顔か?んでー、胸。」
「!?ブホッ。」
思わず飲みかけのカクテルを噴出してしまった。
「うわっ!きったねーな、お前。」
「お前が馬鹿なこと言うからだろ!!」
「え~、そうか?結構あってるだろ?」
「あってねぇ!!」
「じゃぁ、言ってみろよ~。」
「…ピアノ。」
「だけ?」
「…おにぎり。」
「あの差し入れのやつな?」
「奇声。」
「へー、それは意外だ。」
「慣れればかわいい。」
「…へー。」
「俺の料理を嬉しそうに食べるとこ。」
「お前、料理もプロ級だもんな。」
「不器用なとこ。」
「手が…か?」
「いや、寂しくても寂しいって言えないとこ。」
「へー。のだめって甘え上手そうなイメージだけどな。」
「普段はな。そのくせ、俺が遠征行くときとかは絶対言わねーんだよな、あいつ。電話もメールも、するのいつも俺からだし。」
「ん?なんで寂しがってるってわかるんだ?」
「たまに、電話口で泣いてるから。」
「…そうか。」
「あとは、…意外に女らしいとこか。」
「例えば?」
「俺が仕事で余裕無いときとか、追い詰められてるときに和らげてくれる。」
「ほぉ~。そんな一面が。どうやって癒してくれるんだ?」
「…。」
「千秋?」
「…察しろ。」
「!!…あ、あぁ、なるほど…。」
峰は気まずそうに視線を逸らした。
千秋は、グラスに残ったカクテルを一気に飲み干すと席を立った。
「…トイレ。」
「…おう。」
*****
千秋が席を立ったのを見計らって、小菅も席を立った。
千秋くらいレベルの高い男はなかなかいない。
先ほどの峰と千秋の会話を聞く限りでは、千秋は一緒に帰国した野田という女と付き合っているらしい。
(あんな子より、私の方が彼には相応しいわ。)
今まで、狙った男を落とせなかったことはない。
小菅には自分の美貌に対するゆるぎない自信があった。
千秋を追って、通路の角を曲がった。
「…!!」
そこには、野田を壁に押し付け、口付けている千秋がいた。
咄嗟に、壁の影に隠れる。
(なんで私、隠れたのかしら…?)
いつもなら、その場の空気など気にせずに、堂々と横切るはずなのに。
しかも、千秋に口付けられる野田に対して、物凄く不愉快な気分になる。
こんな気分を味わうのは初めてだった。
(あぁ、これが…。)
そこで、妙に納得した。
(私は彼が欲しい。心のそこから。)
ここまで本気で手に入れたいと思った男は初めてだった。
(どんなことをしても、手に入れてやるわ。)
―――確かに野田は可愛いタイプと言える。
しかし、”良い女”に男は弱い。
千秋だって男だ。
例外ではないはず。
今までの経験と自身への信頼が、小菅に勇気を与えていた。
「…こんなとこで、誰か来たらどぉすんデスか!!」
「俺は構わないけど。」
「のだめは構うんデス!!もう、放してくだサイ!」
「いいけど。…ホテル帰ったら、覚えてろよ?」
「な、なんでデスか!?のだめ、何にも悪いことしてまセン!!」
「今、俺のキス嫌がっただろ。」
「酔っ払いにくれてやるキスなんてありまセン!」
「…今夜は寝れないからな、お前。」
「……ムッツリ真一くんのアホー!!!」
顔を真っ赤にさせた野田が、千秋を残して走り去っていった。
「随分お子様なのね、千秋君の彼女。」
それを確認して、隠れていた陰から姿を現した。
「あんな子と付き合ってるなんて意外だわ。」
妖艶と自負する笑みを浮かべ、千秋に近づく。
千秋は感情の読み取れない表情のまま、近づく小菅を見ていた。
「…ねぇ?私と遊んでくれない?」
甘ったるい猫撫で声で、千秋を誘う。
「彼女のこと、気になるの?なんなら、本気でもいいのよ?後悔はさせないわ。」
千秋を下から上目遣いで見上げ、その腕に手を絡めようと伸ばした。
「…悪いけど、俺はあいつで手一杯だから。」
「え!?」
今まで聞いた事の無い断りの言葉に、反応しきれずに狼狽えた。
「ちょ、私の誘いを断るの?」
「ああ。女には不自由してない。」
「でも、あんな子供より私の方が喜ばせてあげられるわ!」
「人の使い古しなんかいらない。俺は香水臭いのは好みじゃない。」
「…っ!!」
あまりの言葉に、言い返すこともできず、その場に立ち竦んだ。
そんな小菅の側をスッと通りすぎながら更なる止めを刺された。
「それに、経験で得た手練手管を使わなくても、あいつは天然でそれを知ってる。」
「ひ、人を馬鹿にするにも程があるわ!!」
「それはこっちの台詞だ。そんな安っぽい誘いに乗るほど、俺は安くない。」
「…っ!!」
「今までどれだけ馬鹿な男を引っ掛けたのか知らないけど、あいつの方が良い女だ。」
そう言って、千秋はフッと一つ笑みを残して会場の方に戻っていった。
後には、小菅のずたずたに引き裂かれた自信と、中途半端に膨らんだ恋心だけが残っていた。
――――――――――――――――――――――
あわわわわ…。
水城様、ごめんなさい!!
気が付けばこんなことに…↓↓
俺様千秋様すぎです!
しかも、真澄ちゃんはどこに!?
甘…いも何も、チアノダの絡みがほとんどないですよ!?
ほんと、すみません…。
こんなものでも、受け取っていただけますか…?
書き直し要請、いつでも受け付けております!!!
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「それじゃ、千秋とのだめの凱旋帰国を祝って、乾杯だ!!」
「「「「かんぱーいっ!!!!」」」」
峰の乾杯の音頭を合図に、いつもの大騒ぎが始まった。
「親友、お帰り!のだめも!今日は俺のおごりだ、どんどん飲め!!」
「むきゃぁ、ほんとデスか!?のだめ、張り切って食べさせていただきマスッ!!」
「…ほどほどにしとけよ。」
千秋とのだめは、バカンスを利用して一時帰国をしていた。
それを峰に報告したところ、お祭り大好きなこの男は、早速この酒宴を企画し、今日に至った。
峰と再会を喜び合っているのだめの横で、貸しきった会場を見渡してみる。
(なんだ、この人の多さは…。)
千秋が知っているR・Sのメンバーにしては、些か多すぎる気がした。
「…なんでこんなに人多いんだ?」
「あぁ、最初は元祖R・Sのメンバーだけに収集かけたんだよ。でも、お前が帰ってくるって噂を聞いた新入り達も参加したいって言い出してさ~。多いほうが楽しいし、まぁいいかな?って。」
「ムホー、真一くんモテモテデスね!?妻は鼻が高いデスよw」
「誰が妻だ!!」
「お~!久々の夫婦漫才!!相変わらず、楽しそうじゃねぇか☆」
「楽しいデスよ~w」
「だから、夫婦じゃねぇ!!」
「まぁまぁ、あなた。落ち着いてくだサイw」
「いい加減にしろーっ!!!」
「ギャボーーッ!!」
人の多いところは苦手だけれど、こうしていると大学時代に戻ったような気がして、なんだか懐かしかった。
時間が経つにつれて、皆のテンションは更に高くなってきた。
千秋は、今日のメインゲストである千秋とのだめのために、部屋の真ん中に用意された席で飲んでいる。
のだめを他のテーブルで仲間と騒ぎあっているのを、時たま呆れたように眺めつつ、懐かしい面々や今日初めて顔をあわせた人々との談笑に興じていた。
「千秋君、初めまして。ヴィオラの小菅京子よ。今年から入ったの。」
「ああ、こちらこそ。」
「千秋君の噂は聞いてるわ。初の指揮コンでみごと優勝したんですって?」
「まぁ、どうにか。」
誰かと立ち代りに、小菅と名乗る女が千秋の隣に座った。
勝気そうな目に、緩めのウェーブが掛かった黒い髪。
小菅は所謂、”良い女”的な雰囲気をかもし出していた。
彼女の登場に、千秋と喋っていた男性陣は嬉しそうな顔をし、女性陣は少し気まずそうな顔をした。
「私、○○音高を出て、××音大を出たの。今は、ここで活動しながら新都フィルの空き待ちよ。」
「へぇ…。」
正直、彼女の話には大して興味をそそられなかった。
しかし、最低限の礼儀として軽く返事は返しておく。
そんな千秋の雰囲気を気にしていないのか、気づいていないのか、彼女はひたすら喋り続けた。
千秋にとって、恐ろしくどうでもいい話を。
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「ねぇ、のだめちゃん。」
「ハイ、何でしょ??」
一緒に話し込んでいた女性の集団の一人が、ふと、気配を重くして声をかけてきた。
「あれ、大丈夫…?」
「アレ??」
メンバーの女の子の一人が指差したほうに顔を向けると、千秋と、その隣で楽しそうに話している美人系な女性の姿が見えた。
「あの人、小菅さんっていうんだけど、気に入った獲物は逃さないって有名なの。」
「ふおぉ、しゅごいデスね。」
「まぁ、千秋様なら心配要らないと思うけど、気をつけたほうがいいよ。」
今の雰囲気から察するに、彼女は同性からあまり好かれていないらしい。
「美人さんデスね~。」
「まぁね。でも、気に入った男性がいたら、相手に彼女がいたって奥さんがいたって関係なし。で、どんな手を使っても自分の物にするんだって。」
「そうそう。そして、厭きたらすぐポイッ。」
「ふおぅ…。」
「千秋様はカッコいいし、才能も有るから目をつけたのかも。気をつけてね…?」
「が、頑張りマス。」
千秋がほかの女性と楽しげにしているのは面白くない。
しかし、初対面の相手にあからさまに敵対心を見せるわけにも行かず、しばらくはここから見守ることにした。
*****
(…そろそろ開放してくれ…。)
小菅は未だ、千秋の隣を独占したままだった。
興味のかけらももてない話と、小菅がまとうきつい香水の香りにほとほと嫌気が差している。
のだめの自然でさわやかな匂いが欲しくなった。
「よう、親友、飲んでるか!?」
「…峰。」
突然、峰が千秋と小菅の間に割り込んできた。
小菅は迷惑そうな顔をしたものの峰に少しスペースを空けた。
きつい香水の香りが、少し遠くなる。
いつもはうざく感じる峰の登場も、今は有難かった。
「お前、のだめとくっついたんだろ?」
「はぁ?んなわけ…。」
「否定したって無駄だぞー。クロキンや松田さんから情報は入ってんだよ。」
「…!!」
ニヤリと笑う峰に、これ以上の隠しは無理だと悟った。
「やっぱり、大学のときから付き合ってたんだろー?」
「…いや、あん時はまだ。」
「まじで?見るからに付き合ってますって感じだったぞ?」
「んなわけねーだろ。」
「ふ~ん…。で?今は自覚してんだろ?のだめへの気持ち。」
「…さぁな。」
「こんなときくらい、素直になれよ~。ちゃんと好きなんだろ?」
「…。」
「まさか、遊び…とか言わないよな。もしそうなら、俺、お前殴るぞ。」
「…なんで。」
「当たり前だろ。のだめは俺のソウルメイトだ。いくらお前が親友だからって、笑って許せるわけないだろ、そんなの。」
峰は赤い顔で、眉をよせた。
(こいつ、酔ってるな。まぁ、今日くらいいいか…。)
自分の本心を、”自称親友”に話してみるのも。
「…ちゃんと、好きに決まってるだろ。」
「おぉ、やっぱりそうか!なら、いいんだ。」
「当たり前だ。じゃなきゃあんな変態と付き合えるわけねーだろ。」
「ははっ。で、どんなとこが好きなんだ?」
「ば!んなことまで言えるか!!」
「え~?いいじゃねぇか。な~?」
「…。」
「千秋ー。」
「…。」
「ふ~ん。じゃ、勝手に推測するからな。」
「勝手にどうぞ。」
峰は不満そうな目を向けたが、酔っ払いにそこまで教えてやる義理は無い。
「まずはピアノだろ~?次に、顔か?んでー、胸。」
「!?ブホッ。」
思わず飲みかけのカクテルを噴出してしまった。
「うわっ!きったねーな、お前。」
「お前が馬鹿なこと言うからだろ!!」
「え~、そうか?結構あってるだろ?」
「あってねぇ!!」
「じゃぁ、言ってみろよ~。」
「…ピアノ。」
「だけ?」
「…おにぎり。」
「あの差し入れのやつな?」
「奇声。」
「へー、それは意外だ。」
「慣れればかわいい。」
「…へー。」
「俺の料理を嬉しそうに食べるとこ。」
「お前、料理もプロ級だもんな。」
「不器用なとこ。」
「手が…か?」
「いや、寂しくても寂しいって言えないとこ。」
「へー。のだめって甘え上手そうなイメージだけどな。」
「普段はな。そのくせ、俺が遠征行くときとかは絶対言わねーんだよな、あいつ。電話もメールも、するのいつも俺からだし。」
「ん?なんで寂しがってるってわかるんだ?」
「たまに、電話口で泣いてるから。」
「…そうか。」
「あとは、…意外に女らしいとこか。」
「例えば?」
「俺が仕事で余裕無いときとか、追い詰められてるときに和らげてくれる。」
「ほぉ~。そんな一面が。どうやって癒してくれるんだ?」
「…。」
「千秋?」
「…察しろ。」
「!!…あ、あぁ、なるほど…。」
峰は気まずそうに視線を逸らした。
千秋は、グラスに残ったカクテルを一気に飲み干すと席を立った。
「…トイレ。」
「…おう。」
*****
千秋が席を立ったのを見計らって、小菅も席を立った。
千秋くらいレベルの高い男はなかなかいない。
先ほどの峰と千秋の会話を聞く限りでは、千秋は一緒に帰国した野田という女と付き合っているらしい。
(あんな子より、私の方が彼には相応しいわ。)
今まで、狙った男を落とせなかったことはない。
小菅には自分の美貌に対するゆるぎない自信があった。
千秋を追って、通路の角を曲がった。
「…!!」
そこには、野田を壁に押し付け、口付けている千秋がいた。
咄嗟に、壁の影に隠れる。
(なんで私、隠れたのかしら…?)
いつもなら、その場の空気など気にせずに、堂々と横切るはずなのに。
しかも、千秋に口付けられる野田に対して、物凄く不愉快な気分になる。
こんな気分を味わうのは初めてだった。
(あぁ、これが…。)
そこで、妙に納得した。
(私は彼が欲しい。心のそこから。)
ここまで本気で手に入れたいと思った男は初めてだった。
(どんなことをしても、手に入れてやるわ。)
―――確かに野田は可愛いタイプと言える。
しかし、”良い女”に男は弱い。
千秋だって男だ。
例外ではないはず。
今までの経験と自身への信頼が、小菅に勇気を与えていた。
「…こんなとこで、誰か来たらどぉすんデスか!!」
「俺は構わないけど。」
「のだめは構うんデス!!もう、放してくだサイ!」
「いいけど。…ホテル帰ったら、覚えてろよ?」
「な、なんでデスか!?のだめ、何にも悪いことしてまセン!!」
「今、俺のキス嫌がっただろ。」
「酔っ払いにくれてやるキスなんてありまセン!」
「…今夜は寝れないからな、お前。」
「……ムッツリ真一くんのアホー!!!」
顔を真っ赤にさせた野田が、千秋を残して走り去っていった。
「随分お子様なのね、千秋君の彼女。」
それを確認して、隠れていた陰から姿を現した。
「あんな子と付き合ってるなんて意外だわ。」
妖艶と自負する笑みを浮かべ、千秋に近づく。
千秋は感情の読み取れない表情のまま、近づく小菅を見ていた。
「…ねぇ?私と遊んでくれない?」
甘ったるい猫撫で声で、千秋を誘う。
「彼女のこと、気になるの?なんなら、本気でもいいのよ?後悔はさせないわ。」
千秋を下から上目遣いで見上げ、その腕に手を絡めようと伸ばした。
「…悪いけど、俺はあいつで手一杯だから。」
「え!?」
今まで聞いた事の無い断りの言葉に、反応しきれずに狼狽えた。
「ちょ、私の誘いを断るの?」
「ああ。女には不自由してない。」
「でも、あんな子供より私の方が喜ばせてあげられるわ!」
「人の使い古しなんかいらない。俺は香水臭いのは好みじゃない。」
「…っ!!」
あまりの言葉に、言い返すこともできず、その場に立ち竦んだ。
そんな小菅の側をスッと通りすぎながら更なる止めを刺された。
「それに、経験で得た手練手管を使わなくても、あいつは天然でそれを知ってる。」
「ひ、人を馬鹿にするにも程があるわ!!」
「それはこっちの台詞だ。そんな安っぽい誘いに乗るほど、俺は安くない。」
「…っ!!」
「今までどれだけ馬鹿な男を引っ掛けたのか知らないけど、あいつの方が良い女だ。」
そう言って、千秋はフッと一つ笑みを残して会場の方に戻っていった。
後には、小菅のずたずたに引き裂かれた自信と、中途半端に膨らんだ恋心だけが残っていた。
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あわわわわ…。
水城様、ごめんなさい!!
気が付けばこんなことに…↓↓
俺様千秋様すぎです!
しかも、真澄ちゃんはどこに!?
甘…いも何も、チアノダの絡みがほとんどないですよ!?
ほんと、すみません…。
こんなものでも、受け取っていただけますか…?
書き直し要請、いつでも受け付けております!!!
毎回楽しく読ませていただいております。
連載終了した長編作品も毎日ドキドキしながら、読んでました。
失礼ながら言わせてもらいますと、原作にはないキャラが登場する時には前述するほうが良いかと思います。
読者の中には原作にない登場人物を描かれた作品が苦手な方もいらっしゃるので。
執筆、運営等大変だと思いますが、応援しております!!頑張ってください!!
アドバイスありがとうございます!
一応、サイトの記事の要約のほうには注意書きとして掲示していたのですが、もしかして、本文への直リンの方もいらっしゃるのですか??
盲点でした…。
教えてくださってありがとうございます!!
早速、改善しますね!!
また何かありましたら、教えてください!
楽しく読ませていただきました。
あんな微妙なリクエストだったのに…
さすがですね!
私のストライクゾーンどんぴしゃです☆
個人気な趣味に走りすぎて、ちょっと心配だったのです。
こんな物で良ければ、好きにしてくださいませ!!
まだまだリクは受け付けておりますので、何か有りましたらどうぞw
お待ちしておりますね★
ここのブログの仕様なんですかね???
ついうっかり乗せられて、のだめの好きなところを上げる千秋、かわいい!!
千秋はもういい女には飽きちゃって、変態に走っているので、もういい女にはなびきませんよーって、小菅さんに教えてあげたいね(笑)
そうだったんですか…。
興味深い情報をありがとうございます!!
参考になりました!
千秋は変態専門みたいな立場になってますよね。
いや、むしろのだめ専門ですか??
何にしても、のだめラブな千秋様でいてくれる事を願って止みません。