あくまでも「趣味について語る」ということで始めたこのブログ。
人知れずひっそり、のつもりがいつの間にか見て下さる方が増え、フォロワーさんも大勢になって来たので…
どうしても、たくさんの方に知っていただきたいことを書く場面を、もう少し増やしたいと思います。
時代も風雲急を告げているので。
ついては、小倉唯さんやアルファロメオと毎回必ず関連付けるのも大変だし、いかにも無理があるので…
カテゴリーに「その他」を加えました。
今日はその最初です。
先日うちの息子からLINEが来て。
2日間でいいから、朝7時までにもし僕からLINEがなかったら、モーニングコールしてくれませんかと。
出入りしている教授の研究室でやっている、創薬の研究がいよいよ佳境に入り…
塾講師のバイトも、時間を減らしたとはいえまだあって…
その上大学の定期試験の期間に入って。
忙し過ぎて夜寝るのが遅くなり、朝も早くから勉強しないといけないので…
体が疲れて起きられなくなって来たようです。
結局、自分で起きてLINEをしてきたので、モーニングコールはしませんでしたが。
今は、3年前に大学の受験勉強をしていたときより、もっと勉強している様子。
まあ、なにしろこれですからね。
「他の何をしているときより薬学の研究をしているときが一番楽しい」
「恋愛など個人的なことと薬学とどちらを取るかということになったら、迷わず薬学を取る」
「クスリ(アブナイの)を使うより創る方がたぶんずっとキマると思う」
とはいうものの、彼も生身の人間ですから、肉体的な疲労には勝てないのでしょう。
高校時代「陸上部内・筋トレ部」部長として鍛えた筋肉も、だいぶ落ちてきてしまったし。
オミクロンBA.5が爆発的に流行している折、心配です。
創薬研究に関しては早熟な彼ですが、先はまだまだ長い(長くなくては困る)ので…
長距離走の感覚で、ペース配分をしてもらいたいものです。
塾の生徒には「睡眠時間を削って受験勉強するのは結局非効率、ちゃんと寝ろ」と指導しているくせに。
そんな彼が、いま心配していると言っているのが、新型コロナを指定感染症「2類から5類へ」論。
今までの新型コロナの検査、診療、医療体制に欠陥があるのは間違いない、というのですが…
指定感染症5類になることで一番問題になるのが、治療などにかかる費用が、現在は全額公費負担なのが…
少なくとも一部は、患者さんの自己負担になるということ。
新型コロナ治療薬の薬価が、べらぼうに高いということを、一般の人は知らない。
とくに、中等症で入院したりして「抗体カクテル療法」などを受ける場合。
(非常に有効な治療法で、トランプ元米大統領も受けたといいます)
これに使う「抗体薬」というのは…
製造の際、非常に手間と時間、コストがかかるので、どうやっても安くするのは無理で…
自費でこれをやったら、たとえ健保で3割負担にしても、一般の人が支払いするには…
サラ金のお世話にならなくてはならないレベル。低所得の人なら破産するそうです。
いまは新型コロナが2類なので、国費でやってくれるため、誰でも受けられますが…
5類にすると、法律上、自費を出さなくてはいけなくなる。
国は医療コストを減らせるので都合がいいですが、お金のない人は実質的に諦めなくてはいけない。
メルクやファイザーなどが出している新型コロナ経口治療薬も、まだ安価なジェネリック薬が出ていない現在…
今は国費でまかなっている分を自費にしたら「薬代だけ」で、25~30万円の費用がかかる。
たとえば家族4人が次々に感染してこれを使って治したら、薬代だけで軽く100万を超えてしまう。
豊かな家庭なら「思わぬ痛い出費だったね」で済みますが…
それでなくても生活が厳しく、ぎりぎりの経済状態で回している家庭だったら…
これをきっかけに良くない金融業者からお金を借りて、結果、家庭崩壊ということになりかねない。
そうでなくても、患者の経済力によって、選択できる治療に違いが生じてしまうような道は…
安易に推し進めるべきではない、デメリットも含め、広く十分な説明と議論がなされ…
その上での、国民の納得が必要だと。
ましてや、高齢者や基礎疾患のある人で、重症化してICUだECMOだということになって…
入院が長期に及んだら、治療費は1千万円を大きく超えて来る。
誰でも払えるんですかと。
払えない人は治療を受けられず、死んでいいんですかと。
「2類を5類へ」という議論は、そこを十分に踏まえてやらないといけない。
確かに5類にするメリットはある。
でも出回っている安易な「2類を5類へ」論は、患者の経済負担を考えてない、あるいは軽く考えすぎている…
当然、今は国が全額負担している治療費、療養費が自己負担になれば、財政的に国は助かるだろうけどね。
……というのが、息子の意見です。
なるほど薬の専門家ならではの、そして弱者に配慮した、まっとうな意見だと思います。
大学生でそこまで深く考えている人間も、そうそういない気もしますし。
まあ、病気と向き合う仕事を目指しているのだから、普通よりは意識高くないと困るんですけど。
私自身の考えでは、安易に「2類を5類へ」だけで済ませてしまうのではなく…
今は「新型インフルエンザ等特措法」を援用しているコロナ治療ですが…
治療費の全額公費負担をやめるのなら、自己負担額の上限を定めるなど、きめ細かい規定を含んだ…
そして検査、治療、療養の体制の改革についても、もっと強力に推し進める施策を含んだ…
「新型コロナ特措法」をきちんと国会で議論して、作るべきだと思います。
というか、この病気が流行ってからもう2年半にもなるのに、いまだにその法律がないことが問題。
いままで、何やってたんでしょうね。
のらりくらりしてやり過ごせば、そのうち終わる、とたかをくくっていたのかもしれません。
もしくは、世界的に右寄りの人たちが好んで唱える「コロナなんかただの風邪」論を本音では支持してるとか。
でも、かかってないときは「ただの風邪だから気にしない」で済ませていた人も…
いざ自分がかかって、症状が思ったよりしんどいということになって、放置されたら…
「何やってる早く俺を助けろ!」と言い出すんですよね。
人間なんて勝手なものです。自分のポジションによって、考えや言うことがころころ変わる。
そのコロナも、オミクロン株BA.5の流行がまだピークアウトしないうちに…
今度は、ケンタウロス株とかいう新種が、また出現したというニュースが。
ほんとに、いったいいつになったら、本当の終息ということになるんでしょう。
でも、息子は教授からこういう風に言われたそうです。
「君たちが本格的に創薬の最前線に立つ頃には、たぶん今のコロナ禍は終息していると思う」
「でもその頃には、必ず別の、未知の感染症が世界を席巻し、パンデミックを起こすだろう」
「ワクチンや治療薬を作る、創薬研究の仕事の重要性と使命は、これからますます高くなる」
70年代の終わりから、エイズ、エボラ出血熱、新型コロナ、そして新たにサル痘と…
次々と、いままで人類が経験したことのない感染症が出現して来ました。
それは、アジア、アフリカ、南米などで、自然状態で手付かずだった土地の開発が進み…
人間がまだ触れ合ったことのないウイルスやバクテリアと、新たに接触する機会が増えたことによります。
かといって経済発展途上国に、熱帯雨林の開発をやめろという権利は、私たちにはありません。
私たちだって、過去に急激な経済発展をしたときは、自然をさんざん乱開発して来たのです。
「俺たちは自然破壊をして既に豊かになった。もう十分だ。お前たちは豊かにならなくてもいい」
というのは、勝手すぎますから。
また、地球規模の気候変動で、北極圏の永久凍土が溶けだし…
その中から、何万年も前の未知のウイルスが、活性化したままで出て来たりもしています。
ずっと後の世から振り返ると、この「コロナ禍」は、人類の試練のまだまだ序章に過ぎなかった…
という事になるのかもしれません。
これからの人類が直面する深刻な問題は、三つあると思います。
1.ナショナリズム、民族主義の昂揚、それがもたらす国家間の武力による争い。
2.気候変動による大規模自然災害の増加、および世界レベルでの食糧生産量の低下。
3.次々発生する、新たなウイルスや微生物による、危険な感染症のパンデミック。
どれも人類全体の脅威となって、最悪、文明を滅ぼしかねないものです。
このうち3番目の問題を解決するのが、うちの息子たち、創薬研究者の使命です。
この猛暑の中、親としては我が子の健康がいちばん心配なのですが…
志と倫理観を高く持って、健闘していってくれることを祈りたいです。