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16年目突入。ビッグイベントに心躍らせながら、草の根のスポーツの面白さにも目覚めている今日この頃です。

トリプル世界タイトルマッチ 拳四朗、八重樫 それぞれの戦い

2019年12月25日 | ボクシング

月曜日に行われたトリプル世界タイトルマッチ。
村田諒太のTKO勝ちに酔いしれましたが、
拳四朗、八重樫のタイトルマッチも、
胸を震わせるものがありました。

まず登場したのは拳四朗。
リングネームであった拳四朗を本名の寺地拳四朗に戻して初めてとなる、
通算7度目の防衛戦。

当初はIBFのチャンピオンであるアルバラードと統一戦を行う予定であったこの試合。
しかし相手がデング熱の疑いという事で体調を崩してキャンセル、
急遽この日の相手であるペタルコリンが代役として選ばれたという経緯がありました。

熱望していた統一戦が「飛んで」しまったという事もあったでしょう、
そしてリングネームを本名の寺地拳四朗にしたという事もあったでしょう。
いずれにしても「心機一転」の拳四朗、
心に期するものがあったこの日の世界タイトルマッチでした。

しかし6回もの防衛を重ねてきた拳四朗、
その自信に満ちた戦いぶりは見事なもので、
相手のボディが弱いと見ると3Rから徹底的にそのボディを狙い続け、
3度のダウンを奪いました。
(3度目のダウン、明らかに10カウントのKOだったと思うのですがね。)

踏み込んで狙うボディの威力は、
ライトフライ級という事を忘れさせるほどのものでした。

最初世界タイトルに挑戦した時には、
華奢なイメージにベビーーフェイスという事もあって、
強さよりも頼りなさの方が上回っていたような印象でしたが、
この人も過去の名チャンピオンと同じように、
防衛回数を重ねるごとにどんどん強さが増していって、
今やワタシは拳四朗こそがこのライトフライ級4団体の王者の中で、
最も強いチャンピオンではないかと思っています。

そしてまだまだ伸びしろがある選手だと思っていますので、
2020年はもっともっとライト層にも顔と名前を売って、
井上尚弥に次ぐ存在になって行ってほしいと思っています。
期待、大きいですよ。


一方の「激闘王」八重樫東。

彼のファイトに魂を揺さぶられたファンは、
実に多いのではないかと思っています。

2年7か月ぶりの世界戦、
そして36歳という年齢。

当然「これが最後」と腹をくくってのタイトルマッチであったこの夜、
八重樫は前半の3,4Rまではデビューからの戦術であった、
足を使ってのアウトボクシングを展開。

いい感じにこれがハマって、
ブランクを感じさせない好ファイトとなりました。

相手もかなり強い歴戦の勇者たるチャンピオン、
正直初回から玉砕覚悟の打ち合いに出て、
壮絶な試合になるのではと思っていたワタシは、
意外な立ち上がりにびっくりしながらも、
「いける!」
と手ごたえみたいなものを感じました。

動き、パンチの力強さ、
どれをとってもまさに「全盛期の八重樫」という感じのもの。

井上尚弥戦のドネアをもほうふつとさせるような、
八重樫の見事な前半戦でした。

しかし相手が圧力を強めてくると、
八重樫の「激闘王」の血が沸き上がったというか、
果敢に打ち合いを挑んでしまい、
次第にムザラネの強打を顔に、ボディにと受けるようになっていき、
じりじりと下げさせられる展開に。

「八重樫~~~~」

の絶叫が場内に響く中、
八重樫も全身全霊を込めて打ち合いに挑みましたが、
8Rにダウン寸前まで追い込まれ、
9Rついにレフェリーストップとなってしまいました。

この試合、
八重樫がどうのというよりも、
やはりチャンピオンのムザラネが強かった。

彼も37歳という年齢ですが、
全くといって良いほど年齢を感じさせないタフネスぶりで、
強打をこれでもかと打ち続けても息ひとつ切らしていないようで、
恐れ入りました。

八重樫は現実的に考えると、
これが彼のラストファイトという事になるでしょう。
自らは「ゆっくりと考える」と言っていましたが、
ここが引きどころではないかとも考えています。

しかしこれまでの八重樫のファイトは、
本当に素晴らしかった。

ともすれば防衛数にこだわり相手を峻別していくことがボクシング界のスタンダードとなっている昨今で、
どんなに強い相手にも果敢に挑んでいく姿は、
「男だねえ、八重樫は!」
と、どんどんファンを増やしていったと思います。

そしていざリングに立つと、
打たれても打たれても相手に向かって行き、
決して心折れることなく最後まで戦いきる。

不器用なボクサーではあると思いますが、
それが彼の本当にカッコイイ生き様でした。

彼のボクシング人生、
本当にピカピカに光っていたと思いますね。

ワタシが特に印象に残っているのは、
いずれも敗れた試合ですが、
井岡戦とロマゴン戦ですね。
これしかないでしょう。

井岡戦はWBCとWBAのミニマム級世界統一戦でしたね。
バチバチの気合を込めた打ち合いは、
日本ボクシング界としても名勝負の一つに数えられるもの。

そしてフライ級に転級した後に世界チャンピオンとなり、
その時のPFPであるローマン・ゴンザレスの挑戦を果敢に受け入れ、
『世界最強』の挑戦者に果敢に挑んでいきましたね。

9RでKO負けを喫したものの、
八重樫の戦いぶり、そしてその生きざまに、
会場中が涙するという感動の試合でした。

常々八重樫は、
「僕の試合が、見てくれた人たちの明日への活力になれば・・・・・」
と語っていましたが、
ワタシなんていつも八重樫の試合を見ると、
勇気と気合を注入してもらっていましたよ。

ファンという以上の何か思い入れ深いボクサーですね。

もしこの試合でリングを降りるのであれば、
ワタシは八重樫の引退試合が見られたという事で、
悔しいけれども本当によかったと思っています。

昨日も会場に響いていましたが、
八重樫の試合でいつも会場に響く『おとうちゃ~ン、頑張れ~』の声、
しっかりと聞き届けましたよ。

子供たちの自慢のお父ちゃん、
どんな世界で活躍するにしても、
これからも応援しています。


そして奇しくも、
その八重樫と死闘を繰り広げたロマゴンも、
この日のアンダーカードで1年ぶりにリングに復帰。
元気な姿を見せてくれました。

2014年9月に八重樫を破った時のロマゴン、
向かうところ敵なしの最強ボクサーでした。

ワタシが本当に驚いたのは、
その八重樫との激闘を9月にやった後、
しゃらっとした顔でもう11月には防衛戦を行っていて、
完璧に勝った姿を見たときでした。

月曜日はその時以来のロマゴンの姿でしたが、
ぜひまた世界タイトルマッチで、
日本のリングに上がってほしいと思います。

フライ級が主戦場でしょうから、
この日八重樫に勝ったムザラネとの対戦、
ないでしょうかね。

『世界タイトルを獲ったら、ニカラグアと日本にささげる』

その言葉、
忘れませんよ~。


ということで、
ロマゴンの試合を含めると4試合すべてがKO決着。
師走の横浜は、
本当に熱く燃え上がった夜になりました。


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2 コメント

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正真正銘の王者です (hanahana)
2019-12-25 19:20:42
村田はすっかりチャンピオンの風格を感じさせる戦いでしたね。

ブラント第2戦から約半年と間隔が空いてしまったことで、前回のような上下を打ち分けるコンビネーションと
相手よりも先に手を出す、積極的なボクシングが再びできるのか、そこが気になっていましたが、杞憂で終わりました。

試合後、本人も言っていましたように、スタイルが確立しましたね。

次こそは是非、GGGとの対戦に期待です!
ひょっとしますよおお。

アルバレスは・・・。
ミドルを保持して、Sミドルも保持。おまけにLヘビーも保持して、そんなんあるかい!
と思っていたら、Lヘビーは返上したみたいですね。

薬物疑惑も払拭しきれていないし、キャッチウェイトで試合したりとか、どうもねえ・・・ 印象がよくないですねえ。
特に最近のメキシカンのいい加減さが気に入らないんですよね。

東京ドームで村田と対戦となると、そりゃあ日本ボクシング史上最大のタイトルマッチは間違いありません。
それに可能性で言えばWBAのスーパー王者ですから、統一戦という大義名分も十分たちます。

けど個人的にはGGGとの対戦がみたい!

わくわくしますねえ。



あと拳四朗

ホント安定していますね。
ただ、相手の雑なパンチを多少もらったのが気になりますが。
本人もちょっと雑になったのかな?意外と今までほとんどパンチもらっていないと思います。

京口との統一戦、見たいですねえ。



八重樫は最後まで八重樫でしたね。

序盤は本来の出入りの早いボクシングでポイントも取っていたと思います。が、相手のガード固かったですねえ。
顔からお腹まですっぽりと隠れてしまう鉄壁のガードと、リーチを生かしたジャブが厄介でした。
個人的に八重樫のベストバウトだと思ってるエドガル・ソーサ戦のときのように終始ヒット&アウェイでいってほしかったなあ。

なにか、勝つことよりも、勝っても負けてもこの一戦がラストだと、悔いのない戦いを選んだかのように思います。
なんだかそのように感じました。

だから、最後はレフェリーに止めて欲しくなかった。
どうせなら、大橋会長の介錯で終わって欲しかったなあ。
会長もそのつもりだったと思いますよ。


とにかく本当にお疲れさん、数々の感動をありがとうと言いたいです。

リング上で子供さんたちと一緒にいる絵がほのぼのして、ワタクシなにより大好きでした。




PS

アルバレスをなんだかんだとディスってますが、はっきり言って強いです。
今がピークだと思います。一方的になる危険もあるので、やはり悲観的になってしまうんです・・・。

そう思うと、唯一黒星をつけたメイは、改めてスゲエなと思いますね。
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いい夜でした。 (まめちち)
2019-12-26 08:14:19
hanahana様、コメントありがとうございます。
三人三様、いい戦いをしてくれてうれしく、楽しい夜でした。
村田はブラント戦から、いい意味での開き直りというか、村田本来の姿というか、「おらおらっ」って行く感じが出ていてワタシはとてもうれしいのですが、あのワンツー、特に打ち下ろしの右は本当に強烈ですね。ワタシもhanahanaさんと同じく、何かと煩わしいカネロよりもGGGとの東京ドーム決戦を望んでいます。そうなったらもう、何をおいても駆けつけなけりゃいけません。

拳四朗も本当に強くなって、何も言うことはありません。特に顔つきが締まって、チャンピオンの顔になってきましたね。そして八重樫。もう彼にも、「ご苦労様」としか言いようがありません。8R、そして9Rにも、打たれたときに大橋会長がタオルを手にリングにすごい勢いで入ろうとしていたのを、トレーナーが体を張って止めていたという光景があったのですが、そんな中で八重樫は負けたとはいえ本当に頑張ったと言えるのではないでしょうか。およそ3年近く前も、負けたときは「もうこれで終わりなのかな」と思っていたところ、3年の歳月を経て「まだこれだけやれるんだよ」という事を示してくれた不屈の男、八重樫。この夜も響いていた「おとうちゃ~ン」という歓声が、本当に胸を打ちました。

それにしても、こんなにいいカード、おまけにロマゴンまで出てくれていたというのに、会場の入りが全く気に入りませんねえ。。。。。。。
井上尚弥の時のあの熱は、いったいどこに行っちゃったの??
そんな思いも持っている、ワタシです。



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