≪第89回選抜高校野球大会≫ ~甲子園~
【第1日】
第1試合 市呉(中国) 6-5 至学館(東海)
第2試合 履正社(近畿) 12-5 日大三(東京)
第3試合 智弁学園(近畿) 9-0 熊本工(九州)
さあ、春の到来です。
今年も選抜の季節がやってきました。
春爛漫のさわやかな陽気の中、
32校の選手たちの堂々とした行進、
そして作新学院・添田主将の見事な宣誓に、
胸が熱くなりました。
いつものことながら、
『ああ、今年も選抜がやってきたなあ』
と季節を感じながら、しばし幸せに浸れるひと時です。
そしてすぐそのあと、
舞台となる甲子園球場は戦いの場と化していきます。
今日は開幕試合から9回の同点劇と延長という素晴らしい試合で幕が開きました。
共に初出場同士の市呉と至学館の対戦は、
最後まで力のこもった、
本当に素晴らしい戦いとなりました。
最後の幕切れが、
至学館には非常に気の毒なものとなってしまいましたが、
大舞台、大観衆の下での力を出し切っての戦いは、
両校に本当に『素晴らしい財産』を残したことでしょう。
そして「本日の~メイン~イベント~」というアナウンスがあるぐらいの強豪対決となったのが第2試合。
優勝候補筆頭の強打・履正社と、
あの清宮を5三振に切って取った左腕エース・桜井を擁する日大三。
両校ともに噂にたがわぬ姿を見せてくれて、
最終回まで試合の趨勢がわからない力のこもった攻防になりました。
日大三が履正社のエース竹田の立ち上がりをたたいて2点を先制すれば、
履正社は試合の落ち着きだしたころから反撃を開始。
3回に1点を返すと、
5回は注目の好打者・石田が粘った末に桜井が投じた浮き気味のスライダーをたたき左中間に豪快な逆転3ラン。
一気に試合をひっくり返し、7回にも追加点を挙げて試合を優位に進めました。
日大三はここから粘るを見せて7回に3連打で2点を返すと、
8回には津原の3塁打で同点。
しかしこの同点から、履正社の竹田が粘って勝ち越しを許さなかったのが、
試合のポイントとなりました。
勝ち越せなかったモヤモヤをやや引きずって同点の9回のマウンドに上がった日大三の桜井。
しかしここでこの日当たっていなかった8番の片山に対してストレートの四球。
テレビ画面を見ていたワタシも『ああ、限界だなあ』と思っていたら日大三ベンチが動いて投手交代を決断。
リリーフに背番号10の岡部を送りピンチをしのごうとしますが、
2死2塁から2番・溝辺に粘られた末三遊間に渋い当たりのヒットを浴びて勝ち越しを許してしまいました。
これで糸の切れてしまった日大三ナイン。
あとは履正社の大波にのまれ我を忘れて、
気が付いたら1つのアウトを取る前に7点を取られ、
試合を決められてしまいました。
一気に決着をつけに来て、
それをやり遂げてしまった履正社の力は本物。
優勝候補の肩書に全く偽りはないですね。
素晴らしいチームだと思います。
終盤まで互角の展開だったものが、
最終的には履正社が力勝ち。
試合後に、両チームを分けた「違い」は何かなあと考えてみたんですが、
それはいわゆる『球際の強さ』ではないかと思います。
野球でよく言われる『球際の強さ』。
なんだかそれが本当に如実に表れた試合だったのではという感想を持ちました。
日大三というチームは、
全国制覇を成し遂げる前後の2000年ぐらいからは「小倉イズム」が色濃く反映される、
強打のチームとしてたびたび甲子園を席巻してきました。
勝つときは本当に『強い!!!』と唸らせるチームで勝ち上がりますが、
反対に自分のチームが相手を突き放すだけの力がないときは、
どうしても接戦を落とすというケースが多いように感じられます。
要するに「野球がうまい」「試合がうまい」という感じの『負けにくい』チームではありません。
ファンのワタシはいつも三高が敗れるとがっくりとしてしまうのですが、
負けた時の印象としていつも持っているのは、
勝ったチームとの『球際の強さの差』です。(これは甲子園だけではなく、地方大会でも感じることです)
何もその『球際』とは、
守備やバッティングに限ったことではなく、
ちょっとした試合のあやだとか走塁、守備などのちょっとした動きだとか、ピッチャーの投球だとか、
そんなところが「ちょっとだけ相手が上だったか・・・・」
と感じるところで、
接戦になればなるほど顔を出すものだと思っています。
昨日の試合でも、
同点にした直後の1死3塁での打者の球の絞り方とか、
勝ち越された場面での三遊間の当たりの3塁の動きだとか、
抜けた打球に対するレフトのバックホームだとか、
そんな「ほんのちょっとしたこと」が『球際』ってことじゃないかと、
感じたりしているところなんです。
昨日の試合に関しては、
履正社はそんなところ、
試合のポイントになるところでの選手たちの『球際』、
本当に強かったです。
今までは履正社にも日大三と同じような『球際の弱さ』や『ここ一番での勝負弱さ』を感じることがあったのですが、
このチームは昨年の悔しい選手権の敗退のあと、
そのあたりの『弱点』をこのチームで完全に払しょくしているというところを感じることができるので、
ワタシも今大会は自信を持って『優勝候補筆頭』に挙げることができるのです。
『チームの変革』
を感じることができる、
履正社にとって見事な『快勝』だったと思います。
履正社にとっては、
今大会『強い』と言われたこのチームで勝ち切ることができれば、
今後チームは一段階段を上がって『栄光の10年』を迎えることができるのではないか。。。。。。
そんな風に感じています。
彼らにとって、とても大切な大会だと感じています。
さて、
日大三に話を戻すと、
ワタシはこのチームが「完璧なチームででないこと」を、
決して悪い意味にとらえているわけではないんです。
そんなところを持ちながらも、
圧倒的にスカッとする「江戸っ子野球」を繰り広げる日大三の野球が、
大好きなのは間違いありません。
火を吹くように強いときの『三高野球』は、
本当に『無人の野を行く』かのようなたくましさとかっこよさを感じるので。
こんなチーム、
他にはないですからね。
しかしながら、
今回はやっぱり総合力で”履正社に軍配”ってことを感じます。
第三試合では、
智弁学園が『連覇を狙うっていうのも、あながち大言壮語ではないな』と感じるほど、
素晴らしいチームの底上げと仕上げを感じました。
今年勝ち上がっていくと、
『春の智弁』
の異名をとるチームへと昇華していくかもしれません。
楽しみなチームです。
一方熊本工の評判の高かったエース・山口くんは、
「投球とは球の速さではない」
ということが身に染みた投球だったのではないでしょうか。
チームとしてもまったくと言っていいほど野球にならなかったと感じているのではないでしょうか。
夏ここに戻ってくるためには、
まさに『野球力の抜群に高い』秀岳館を倒さなければなりません。
帰ってまた、目標に向かって練習ですね。
まあ、初日から、
本当にいいものをたくさん見せてもらいました。
WBCに続いてこの選抜も初日から激戦続き。
野球の面白さを感じさせてくれる春ですね。
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