さて、新しいシリーズです。
『記録から振り返る、高校野球』
近年、高校野球の地殻変動ということが、盛んに言われています。
今年は春の選抜で敦賀気比が北陸勢として初めての優勝、
そして夏の選手権では仙台育英が悲願の【東北勢初制覇】まであと一歩と迫る準優勝。
寒冷地であり、かつては『野球後進地域』と言われた地区の目覚ましい活躍とともに、
高校野球も新しい時代に入ったと言えるでしょう。
そこで、
10年スパンで年代を区切り、
『巷間言われていることは、記録で見る限り実証されているのであろうか』
ということをちょっと考察してみたいと思っています。
あまりに古い記録をひもといても・・・・・ということで、
今回は夏の選手権が1県1代表になったあたりの80年代から、
今年の夏までの36年間で『どう変わってきたのか』ということを探っていきます。
まず第1回は、北海道から。
今夏の選手権予選参加校は225チーム。
全国3906校の中での占有率は、5.8%でした。
≪北海道勢の記録≫
2010~2015年 春 12-8 .600 0-1-0-3 夏 2-12 .143 0-0-0-0 合計 14-20 .412 0-1-0-3
2000~2009年 春 5-12.294 0-0-0-0 夏 17-18-1 .486 2-1-0-0 合計 22-30-1.423 2-1-0-0
1990~1999年 春 5-12.294 0-0-1-0 夏 10-20 .333 0-0-0-2 合計 15-32 .319 0-0-1-2
1980~1989年 春 8-13.381 0-0-0-1 夏 6-20 .231 0-0-0-0 合計 14-33 .298 0-0-0-1
36年間合計 春 30-45.400 0-1-1-4 夏 35-70-1.333 2-1-0-2 合計 65-115 .361 2-2-1-6
*記録の見方;春⇒選抜大会の成績 夏⇒選手権大会の成績
勝敗; 〇勝〇敗〇引分 勝率 優勝-準優勝-ベスト4-ベスト8
記録からひもとく北海道勢は、
2000年以前と2000年以降で、大きく変化していますね。
やはり光るのは2004~2006の駒大苫小牧の3年間。
優勝、優勝、準優勝と、3年連続での甲子園夏の選手権決勝進出なんて、
他の地区でも全くあり得ない凄さです。
この10年間(2000~2009)だけが突出して戦績を残していますが、
17勝のうち駒大苫小牧は14勝を挙げ、北海道の高校野球史に燦然と輝いています。
その他ではわずかに今年(2015年)春の東海大四の準優勝が光るものの、
逆に近年(2010~2015)にかけては、選手権での戦績がまったく振るわなくなっています。(勝率.143)
北海道の高校野球のレベルが高くなっているだろうということは近年言われ続けているものの、
『コマトマ以外』での戦績はまだまだ上がっていない、北海道の高校球界です。
寒冷地でありながら、
ここ6年での選抜の成績は目を見張るものがあります。
やはり気候の温暖化でかつてほど豪雪が降るということがなくなったということと、
甲子園に出場する有力校の練習環境が、室内練習場の整備などを含め飛躍的にアップしてきたのが主要因だと考えられます。
一方夏の大会で戦績を残せなくなってきている要因に、
ここ数年の異常な夏の暑さは挙げられないでしょうか?
駒大苫小牧が連覇を果たした当時も確かに暑いことは暑かったのですが、
近年の夏の暑さはそれこそ異常。
今年も白樺学園、北海の両出場校が、
この暑さにやられてしまったという側面があるのではないかと、
ワタシはみています。
特に甲子園のむわっとした熱風のような暑さは、
格別のものですからね。
ということで、
2000年代中盤をピークにやや勢いを落としている北海道ですが、
『野球熱の高さ』は格別の地域ですから、
また道民を熱狂させるチームが現れてくることを願っています。