一人

一人で生きていると思った瞬間

足を踏み外している

耳

生を謳歌している偉人よりも

死にゆく人の言葉に

耳を傾けること

死ぬ瞬間

多くの人は

死ぬ瞬間まで

自分が死ぬことを忘れている

変わる

変わりたいと思うなら

まずは今の自分を受け入れることだ

自分でないものを手放す瞑想

あなたは何の義務ももっていない

何かしなければいけないこともない

記憶を全て失い

立っているあなたに

何が出来るだろうか

誰が何を期待するだろうか

人は泡のように生れ死んでいく

どんなに長い人生も

終るときには一瞬に思えるもの

寿命の長短に価値はない

あなたの心臓を動かしているのはあなたではない

あなたは生れてからただの一度も

自分の寿命をコントロールできたことはない

それなのに自分で生きていると思い込んでいる

次の瞬間心臓が止まる

それはあり得ること

そして拒否することはできないもの

あなたが捨てるのは生命ではなく

幻想だ

死なないと思っている幻想を手放し

人が生と呼ぶ世界

人が死と呼ぶ世界を

行き来していることを思い出す

あなたは誰とも契約を結んでいない

契約は結んだ瞬間無効である

あなたはどんな時も選ぶことが出来る存在

あなたを縛っているどんな約束も契約も幻想である

他者の幻想を共有しないこと

また他者はあなたとの契約に縛られない

あなたはどんな時も裏切られる

あなたが期待した何もかもを

他人が遂行する義務はない

あなたには他人の指一本動かすことは出来ないのだから

それは哀しいことではなく

喜ばしいことである

同時に他者もあなたを動かすことは出来ないのだから

あなたが今まで結んだと思い込んでいる全ての約束と契約は

すでに無効である

あなたは契約を破棄するのではなく

幻想を破棄するのだ

契約が有効であると思い込んでいる幻想を破棄する

人を縛る時

同時に自分も繋がれていることを知り

人を解放する時

同時にあなた自身も解放していることを知る

あなたはこの世界の誰とも関わらなくていい

全ての関係を断ち切ってよい

人はあなたを薄情だと責めるだろう

しかし無数の過去生を忘れ

無数の約束を忘れ

今生を生きているのだ

その薄情な生が一つ増えても

あなたの総評は変わらない

どのみち全てを手放し

正常に戻った後にしか

真に大切な関係は分からないのだ

ただ今は全ての関係を断って良い

確かにあなたは多くの存在に助けられ生きている

しかしそれはあなたが離さぬよう握りしめることによって存続していくものではない

あなたが手を離したとき

愛のないものは去り

愛のあるものはそこにいる

ただ愛のみが残る

それはあなたも望むことだろう

だから全ての人間関係を手放す

そのようなものは幻想だから

あなたは明日を知らない

何も知らない

知っていると思い込んでいるから画策する

明日を知らない事実を認める

あなたは何も知らないことを知ること

未来をコントロールできるという幻想を手放すこと

あなたの能力は借り物であることを知る

あなたが積み上げてきた技術や知識は

一瞬で失われる

太陽は地球の周りを回っていなかった

地球は平らではなかった

その時多くの専門家が蓄えてきた知識が灰燼に帰したように

あなたが真実だと思い込んでいることは

ある時にゴミとなる

それは元よりゴミだった

宝だと思い込んでいただけ

知識は全て仮初めのものである

知っているという幻想を手放す

積み上げてきた技術はやがて体が動かなくなり失われる

再現できなくなる

あるいは事故に遭い

明日にでも失われる

儚い仮初めのものだ

失われてもあなたはあなたである

技術はあなたではない

だから失うことが出来る

持っている技術を手放す

それを維持していく必要はない

継承していく必要もない

それらはあなたではないもの

手放し床に置こう

さぁあなたは軽くなってきた

他にも持っているものを見つけたら手放していこう

言葉

思考

感情

そういったものはあなた自身だろうか

最後に残るものは何か

どこまで脱ぎ捨てられるだろうか

無垢の自分に戻ったあなたには

今まで見えなかったものが見える

それは赤子の時に見えていたもの

手放し床に置いたものの中で

輝いて見えるものは何だろう

それはあなたにとって大切なもの

大切なものだけを拾って歩き出そう

大切でないもののために自分を浪費しないように

新しい旅に出よう