かばん7月号が届きました。早速5首選です。乱文夜分すみません。
●男より深き苦悩のあればこそレズか狂院はた又尼院 野間亜太子
破壊力がある。根本的な問題として悩みに性差があるのかどうなのかは分からないが、ジェンダーについて思う時、ここに提示された下の句の羅列は、強く心をゆさぶってくる。
●鯖はルイ十六世と呼ばれをりあたまを切りて落とされをらば 雨谷忠彦
鯖は空腹をみたすために、ルイ十六世は自由を獲得するために殺された。2つの対比がユーモラスに思える反面、生きていくことそのものに内包される残酷さをも感じる。
●靴が脱げる わたしはしばらく歩けない潰れたお前を拾うけれども 柳谷あゆみ
柳谷さんの歌はいつも「“もの”にやさしい」。図鑑にお礼を言ったり、エクセルに話しかけたり。そこで作者と“もの”との関係性ができあがり、一つ一つの“もの”が個性を帯びて浮かび上がってくる。日常的にこのように“もの”と接することができれば、どんなにすばらしいだろう。
●僕がやる必要のないことばかりあふれてるけどよしとしましょう 辻井竜一
なんだかんだ言っても代替がきいてしまうことばかり。そんな社会の現実をうまくすくいあげている一首。かつてなら「絶対によしとしてないな」という読みができたと思うが、最近の辻井さんの一連を読む限り、本当に迷っているような印象で、よりニヒルな感じがする。読み手としてはよりストレートに痛いところを突かれる感じである。
●溜め息を我慢してゐる人たちで溢れて街は呼吸困難 山田航
読んでいて苦しくなってくる。身体感覚がすぐれている一首。新型インフルエンザの影響もあり、人ごみがよけいに息苦しく感じるだけに、より実感が湧く。
・・・・・・
先週末に柳谷前編集長の「人生の大太鼓」という個展&東直子さんの絵本『あめぽぽぽ』の原画展に行ってきました。すばらしかったですよ。詳細は後日ご報告します。
忙しい。。。あつい~。。。
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