きりはりへりをり

あまねそうの短歌ブログ。歌人集団「かばん」所属(16年度副編集人)。歌集『2月31日の空』kindleストアにて販売中

雨を待つ様式(かばん2017年7月号)

2017年08月01日 | 短歌紹介

昨年度、副編集人を務めさせていただきました。
ご協力いただいた皆様ありがとうございました。

歌誌「かばん」は、6月号と12月号の特別号を、
アマゾンのkindle版にて配信しています。
今年は7月号がちょうど400号でしたので、記念号となっています。

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雨を待つ様式  あまねそう


シャッターの錆色淡し雨を待つ様式として紫陽花は咲く

睡蓮は子どもの頃に咲いた花 トタンの小屋の暗度で眠る

不用意に我の作りし波紋あり岸に着いたかどうかは知らぬ

雷光が鉛の空に通電し眼底えぐる塔の番人

遠雷で目覚める朝【あした】葉が開くのを待つように珈琲淹れる

午前5時業務メールの返信を終えて静かな日曜の朝

雨音で満たされたくて窓を開け束の間我に天使が宿る

パリに降る雨も変わらぬ音だろう目を閉じたまま今を忘れる

※5首目【 】内はルビ



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