神はそれでも意地悪に僕らの魂をいつかは取り上げるのだろう

クズと思われても仕方がない赤裸々な日記。

The world is not enough/其の五

2013年04月22日 15時00分19秒 | 日記
「出会い喫茶」とは、個室で待機している女の子を客が選んでトークし、口説いてカップルになる、というシステムの店で、当時の俺には全く縁の無い存在だった。
今でこそ様々なシステムが存在する出会い喫茶も、当時はシンプルなものが多く、その店も女の子のセレクトで1000円、10分間のフリートークで2000円、カップルが成立すれば5000円を店に支払う、という形だった。

我々が来店した時点で待機している女の子は二人だった。
俺もTもテンションが上がっていた。それと同時にテンパってもいたけれど、テレクラよりは面白そうだったし、何より、電話を待つという受け身の姿勢ではなく、こちらからアクションを起こせるというのが魅力だった。
もしもカップルが成立したら軽くお茶でもすればいいか、と相談し(今にして思えば本当に馬鹿だと思う)、我々は計3000円を払ってそれぞれの個室に入った。

個室は四畳も無いくらい狭く、テレビと座布団と小さなテーブルしか無かった。
女の子が「はじめまして」と言って笑った。
ミニのワンピースで体育座りをしているから今にも下着が見えそうだ。
俺は緊張のために喉の奥から込み上げてくる液体を飲み下しつつ、「はじめまして、こんにちは」と笑った。
「座って」と彼女が隣の座布団を指差した。
俺はジャックパーセルを脱いで座布団の上に正座した。



…つづく

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