『日本歯技』2017年7月号「ただいまお気に入り」
本書は東京都歯科技工士会OB会により,『昭和の歯科技工士史』と題しまとめられたものです.各々の著者の自分史と資料集等により構成され,忘れられようとしている歯科技工の黎明期が描かれています.
内容は,戦後の歯科技工法(現歯科技工士法)成立前の時期から歯科技工業が右肩上がりに成長する時期の歯科技工士の暮らしや思い,そして歯科技工技術が記録されています.
「私の昭和史」部分は,縁あって歯科技工と出会い,一途に歯科技工に取り組む青春群像が7名の方により記されています.
特集「百歳を迎えられた歯科技工士 関沢長春さんを訪れて」(尾崎友保)は,本書の企画の真髄とも思われる記録されない記憶に仕舞われた出来事の足跡を残すという姿勢が表れています.
「無縫冠の製作法」は,その製作工程を丁寧に写真と解説文で再現しています.
斎藤隆司さんの『月刊歯科技工経済』掲載された「歯的歯科医療小 私の昭和技工史」の再録は,昭和の歯科技工の歩みと日本のポーセレン技工の歴史が,それに係る人々との出会いと業績と共に描き出しています.
川嶋英夫さんの「この春 社会人になる君たちへ」は,昭和６０年１月２１日付けで公開されたものの掲載ですが,新たに社会人,歯科技工士となる者への厳しくも愛のある贈る言葉となっています.
先人が道なき道を切り拓き,ゼロから築き上げた歯科技工の世界に,自分がいるのだということを教えられた一冊でした.
秋田県歯科技工士会 岩澤毅
書 名:昭和の歯科技工士史
発行日:2017年4月18日
発 行:都技OB会
編 集:都技OB会編纂委員会
著 者:田所鏘六/松尾道夫/大島良市/小泉利明昭/斎藤隆司/加藤進/中田唯夫/尾崎友保/小南長次郎/加藤雅司/川嶋英夫
体裁: A4判 88ページ
印刷所:一世印刷株式会社
問合せ先:東京都歯科技工士会事務所
