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歯科技工士・岩澤 毅

山下茂子 【プロフェッショナル~専門学校から】歯科技工士、 「健康の第一歩」を支える

2013年03月10日 | 基本・参考
http://www.sankei.com/west/print/130310/wst1303100037-c.html

2013.3.10 17:00

【プロフェッショナル~専門学校から】歯科技工士、山下茂子さん(54)(下) 「健康の第一歩」を支える

 歯科技工士の資格を取ろう。そう決意し、新大阪歯科技工士専門学校(大阪市淀川区)の門をたたいた36歳での出発。米国で歯科技工所を営む弟が日本で起業し、「手伝い」として働き始めて2年がたったころだった。

 「最初は電話番ぐらいのつもりだったんです。でも、本当に何も分からない状態で、これじゃダメだな、と。純粋に勉強したいという意欲がわいてきたんです」と振り返る。

 昼間は技工所で「手伝い」として働き、夜に学校へ。同級生の多くは18歳。「もう、倍も年が違うなんて仰天ですよ」。夜間部らしく、異分野の職歴を積んできた人や、大学卒業後に手に職を付けようと挑む生徒も多く、交友関係はぐっと広がった。

 「資格を取って開業したい」「おばあちゃんに入れ歯をつくってあげたい」…。同級生にはそれぞれに動機や夢があり、それは自身のやる気にもつながった。授業では、歯の製作はもちろん、解剖や口腔(こうくう)機能などさまざまな専門分野を学び、「とにかく刺激的な毎日。仕事への気持ちも強くなりました」とほほえむ。

 その頃の情熱は決して冷めることはない。資格取得後、「デンタル デジタル オペレーション」(大阪府吹田市)の専務取締役に就任。同社では、ジルコニアを使った「ラヴァ」と呼ばれる製品を、従来の手作業ではなくデジタル技術を駆使して製造している。技術や義歯の材料など進歩のめざましい世界で、絶えず先端に立つ。

 「材料は金属アレルギーでも安心なものだったり、歯型を取るにも患者さんの負担が減る技術が出てきたり。どんどん変化しているんですよ」

 画一化された既製品ではない。一人一人の歯の状態に合わせてつくる同じ物がない一つだけの製品。つくった歯を使う患者たちの姿を思い浮かべる。「これは若い人だな、これはおばあちゃんかな、と思いをめぐらせますね。歯型を見るだけで、摩耗具合で年齢や性別まで分かります」。もちろん、複雑に機能する口腔内だけに、どうしても「合わなかった」と戻ってくることがある。そんな時は、根気よくつくりなおす。「今度こそ機能しますように」と願いながら、何度でも何度でも…。

 「歯は食べることに直結している健康の第一歩のような部分」。いつまでもおいしく食べられる喜びは、元気で長生きできる秘訣の一つだ。「たくさんの人生を支える仕事に出会えて、本当に幸せです」と目を輝かせる。

(田野陽子)

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