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歯科技工士・岩澤 毅

岩澤毅 秋田県の歯科技工士の年齢構成 秋歯技会報 NO.71 令和3年3月5日

2021年03月07日 | 岩澤 毅


秋田県歯科技工士会広報 2021年

秋歯技会報
NO.71 令和3年3月5日
秋田県の歯科技工士の年齢構成 岩澤 毅

 今年は、歯科技工士業務従事者届出の実施年だ。「業務に従事する」歯科技工士は、法令の規定により、隔年の12月31日現在の氏名、住所、就業地等の事項を、「就業地」の保健所に1月15日までに届け出ることが義務付けられている

 前回の平成30年12月31日現在の統計によれば、秋田県の就業歯科技工士総数は、男326人女39人計365人となっている。

秋田県 就業歯科技工士 平成30年12月31日現在
第117表 就業歯科技工士数(性・年齢階級別)から作成
区分 総数 25歳未満 25~29 30~34 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60~64 65歳以上
男 326 3 7 14 26 28 36 40 67 59 46
女 39 4 2 8 14 27 12 10 8 6 2
計 365 7 9 22 40 55 48 50 75 65 48
% 1.9 2.4 6.0 10.9 15.0 13.1 13.6 20.5 17.8 13.1
出典: 『平成30年秋田県衛生統計年鑑』

 表にある通り、25歳未満が男3女4計7、25~29が男7女2計9、一方50~54は男40女10計50、55~59は男678計75、60~64は男59女6計65、65歳以上は男46女2計48となっている。若手の歯科技工士が極めて少数であり、高齢化がすすんでいる。次回発表される統計がどんな傾向を示すかが注目される。

 秋田県は全国第一位の超高齢化県であり人口減少県である。歯科技工士も同様の傾向を示しているとみることもできる。また、県内という限定された歯科技工市場においては、先行し占有した高齢者がおり、若手の参入が困難であるとの見方も可能かもしれない。

 秋田県歯科医療専門学校は、志願者・入学者の減少等もあり平成20年(2008年)に歯科技工士科を閉科した。隣県の岩手医科大歯科技工専門学校と東北大歯学部附属歯科技工士学校も募集停止となった。これらにより、県出身者の歯科技工士が減少し、県内の歯科技工士の新陳代謝が緩やかになったとの見方もあり得る。

 歯科技工士の養成問題に関しては、過去のピーク時の養成数・入学者数との対比での「減少」が話題とされているが、人口10万人あたりの就業歯科技工士数や歯科医師一人あたりの歯科技工士数等での検証が必要だ。平成30年の全国の人口10万人あたりの就業歯科技工士数は27.3であり、秋田県は37.2だ。全国の歯科医師数は104,908であり、歯科医師一人当たりの歯科技工士は0.32だ。秋田県の歯科医師数637であり、歯科医師一人当たりの歯科技工士は、0.57だ。

 しかし、県内の歯科技工士の年齢構成のアンバランスは明らかであり、 新規の歯科技工は広域で対応したとしても、修理などに対しては地域内で対応することが困難になるかもしれない。


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