堀越学園に解散命令…続出する違反に国激怒、在校生いるまま異例処分【3月28日はどんな日?】
Finasee によるストーリー • 9 時間前10年前の3月28日、文部科学省は学校法人「堀越学園」に解散命令を発しました。堀越学園といっても、多くの芸能人を輩出することで有名な方ではありません。群馬県に本校を置く「創造学園大学」などを運営していた学校法人で、重大なトラブルが相次いだことから、国は在校生がいる学校法人に対して初めて解散命令に踏み切ります。
学校法人が給与未払いや電気代滞納の末に破綻
堀越学園は群馬県高崎市を中心に大学や専門学校、幼稚園などを運営していました。2004年ごろから資金繰りが悪化し始めたことから、2007年12月に文部科学省にその旨を報告します。
文部科学省は堀越学園に対し経営改善を指導しますが、その間も財務諸表の虚偽記載や職員に対する賃金未払い、また税金や電気料金の滞納、さらに資金調達のために発行した学校債の償還不履行など、多くの問題が多発しました。これらは私立学校法や労働基準法などにいくつも抵触する異常な事態です。
特に学校債は社会問題化しました。同学校債は堀越学園が2010年から発行したもので、原則1年の償還期間で年率5.5%という好条件でした。しかし償還期間を過ぎても返金に応じないケースが相次ぎ、文部科学省による立ち入り調査の実施に発展します。
文部科学省は堀越学園に対し、続出する問題を解決するよう指導を重ねつつ、経費補助金の不交付といったペナルティーを与えますが、事態は好転しません。むしろ財務の悪化などから、授業の一時休講や送迎バスの停止といった学校法人本来の業務にも支障が生じるようになります。
在学生への悪影響を危惧した文部科学省は2012年10月、年度内に堀越学園に対して解散命令を出し、在校生については他校での修学を支援する方針を固めました。解散命令は2013年3月28日に発せられ、同法人が運営する全ての学校の廃止が決まります。
さらに堀越学園は同年4月、解散命令を通じ債務超過が明らかになったことから、債権者から破産を申し立てられました。東京地裁は同年6月、破産手続きの開始を決定します。
破綻させた当人が債権を申告。管財人は当然却下
破産が決まると、残った財産を債権者に分配する手続きが取られます。堀越学園には税金や給与未払いに由来する労働債権のほか、学校債の購入者などから約60億円もの債権が届け出られました。しかし初回の債権者集会において、堀越学園には330万円ほどの財産しかなく、債権者へ十分な配当ができない旨が破産管財人によって説明されたようです。
あきれたことに、報道では堀越学園の実権を長く握った元理事長も債権を届け出ていたことが明かされました。法人とは別人格とはいえ、実質的に破綻を招いた張本人が配当を受けようとしたことは異例の事態といえるでしょう。
取材に対し、破産管財人は元理事長による債権の届け出を認めないと答えています。元理事長は堀越学園の破産を巡り、横領や破産法違反などの罪で逮捕されることとなりました。
給与未払いのまま会社が倒産…知っておきたい「未払い賃金の立て替え払い制度」
堀越学園では教職員の未払い賃金も大きな問題の1つでしたが、その一部は労働者健康安全機構の「未払い賃金の立て替え払い制度」の対象となりました。全額には及びませんが、被害の救済に役立ったようです。
未払い賃金の立て替え払い制度とは、労働者健康安全機構が実施する賃金援護事業の1つで、倒産で発生した未払い賃金の約80%を同機構が立て替える仕組みです。
未払いの賃金は、本来は労働者が倒産した企業などに請求しますが、破綻する企業に賃金を支払うだけの財産が残っていないことも少なくありません。そこで労働者健康安全機構が間に立ち、未払い賃金を労働者に立て替えておき、未払い賃金の請求権は同機構が引き継いで倒産企業などに請求します。減額されるとはいえ、制度を利用すればより確実に未払い賃金を回収することができるでしょう。
ただし、全ての報酬が対象となるわけではありません。未払い賃金の立て替え払い制度の対象となる「未払い賃金」とは、基本給や通勤手当といった「定期賃金」と「退職手当」です。賞与(ボーナス)など臨時的に支払われるものは基本的に制度の対象外のため注意しましょう。
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