『脱★ぐうたら生活』

大好きな朝焼けから毎日元気をもらっています。我が家の日常の一コマと、患者さんから見せていただく人生模様。毎日が勉強です。

愛のチカラ

2008-10-19 | 人間模様
以前紹介したA氏
その後も体調が思わしくなく、毎日しかめっ面をして来院していた。
機嫌が悪い日は物を投げたり、問いかけにも返事もしない日が続いた。
『自分の体を何とかしたい』そういう気持ちはあるようで、同じ症状で複数の病院を掛け持ちで受診していた。
精神的バランスも崩しているのか「私は精神障害だ」と自分で言っていた。

このままにはしておけない・・・・

私が何度となく訊ねたりしても「うっとおしい!」とますます心を閉ざしていくA氏。

もう、彼の頭は自分の体の痛みのことばかりに支配されて、正しい判断もできなくなっていたような気がする。

思い余って、キーパーソンの娘さんのところに電話をしてみた。

嫁ぎ先にまで申し訳ないと思ったのだが、最近のA氏の状態を報告し、必要であれば心療内科(精神科)や麻酔科(ペインクリニック)を受診し、痛みのコントロールについて相談してきてほしい・・・と。
独居のA氏の辛さをわかってあげられる人がいないので、娘さんに一緒に受診について行ってもらい、『心配して、ついて来てくれる人がいるんだ』ということをA氏に感じてもらいたい。

そんな内容の話をし、1度クリニックに来てください。
先生と一緒に今後の受診などについて話し合いましょう。
時間が空いたらご連絡ください・・・と言って受話器を置いた。

2週間後、娘さんから連絡がきた。

他の兄弟と相談して、今まで以上に父のところに行くことにしました。
父の体の調子などを聞いたり、どのくらい痛いか聞いてあげたりしたんです・・・と。
そして、息子さんが亡くなったA氏の奥様のお墓参りに連れて行ってくれたのだという。

その前後からA氏の機嫌がよくなった。
「痛い、痛い」といっていつも苦虫つぶしたような顔をしていたのが、ニコニコしだしたのだ。

なによりも「ありがとう」と感謝の言葉を言えるようになったのには、ビックリ。

1番の良薬は『愛』なんだなぁ。

愛のチカラを強く感じた一例でした。

コメント (12)
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