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日本共産党 藍住町議会議員 林茂の宅配便

「都合よく切り捨てられた」 ニチイ契約打ち切り 40代女性生活困窮 ホテル転々、所持金1000円に

ニチイ学館から雇い止めや自己都合退社のフィリピン人107人に「退職後、ニチイからの支援はすべて必要なく、放棄する」などと書かれた「確認書」にサインさせていた 。


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内閣府の国家戦略特区で家事支援従事者として就労を認められ、来日したフィリピン人女性206人が、雇い止めや自己都合退職により、大手医療介護人材派遣会社「ニチイ学館」(東京都千代田区)から契約更新されず、うち48人の所在が把握できていないことが同社の調査で分かった。4日、内閣府や都などで構成し、受け入れ事業を管理する第三者管理協議会が当事者から聞き取りを始めた。(望月衣塑子)

 国の指針では本人が在留を希望する場合、雇用主は新たな受け入れ先の確保に努めるという規定があるが、同社は女性らに意向確認や別の職場の紹介をしていなかった。

 第三者管理協議会は、この日、フィリピン人女性らから、辞めるに至った経緯や現在の状況、就労希望などを聞き取った。
 女性らは「当初、3年の就労と言われてきたが、2年で契約更新はないと言われショックを受けた」などと答えたという。
 高齢者の介護や家庭の掃除など家事支援の仕事をする目的での外国人の入国は、入管難民法で原則認められていない。ただ、東京など特区に定められた1市5都府県では、国家資格取得など一定の条件を満たせば、在留資格を認めている。

 ニチイによると、2018年2月から事業を開始し、19年3月末で632人、20年3月末は695人のフィリピン人女性を受け入れた。21年3月末は、489人が契約更新される見込みだが、206人が退職した。自己都合の退社もあるが、一部は雇い止めだという。
 ニチイは契約更新しない旨を女性らに告げた際、別の企業への斡旋はせずに帰国を求めたという。
 同社によると、98人は帰国。日本に残った108人のうち、48人の所在が把握できていない。契約更新されなかった女性は「家政婦としての勤務で顧客や会社の苦情は一つもなかったが、日本語の試験に落ちたからと契約解除を通知され、他企業への斡旋も全くなかった」と明かす。

 同事業で同様に受け入れをする大手5社に取材したが、雇い止めや所在不明者があると回答した社はなかった。
 このうちの人材派遣会社「パソナ」は「コロナ禍で新規スタッフの入国予定に遅延が生じている」、家事支援事業会社「ピナイ・インターナショナル」も、17年から81人のフィリピン人を受け入れてきたが雇い止めはなく、逆に現在は「人材不足が生じている」と回答した。
 外国人労働の問題に詳しい指宿昭一弁護士は「外国人技能実習生の問題は出ていたが家事支援労働者の問題は明らかになっていなかった。政府は外国人労働者の受け入れ拡大を進めるなら、今回のようなことが起きない仕組みを考えるべきだ」と訴えている。

◆ニチイの話
 契約更新に至らず退職した人がいたことは事実。第三者管理協議会に稼働率の低さを指摘され、雇用計画を見直さざるを得なくなった。フィリピンの関連機関に言われ、退職者の帰国を前提に対処していたが、今後は協議会とも協議の上、可能な範囲のサポートを検討したい。

外国人家事支援事業 規制緩和のため安倍政権が掲げた国家戦略特区制度の一つで、国は2017年3月から家事支援の対象者の受け入れを開始した。実務経験1年以上、家事支援の国家資格や必要最低限の日本語能力が必要となる。受け入れ企業は各自治体の第三者管理協議会に労働条件や安全衛生などを報告し、監査を受けることが求められる。最長5年で、特区は現在、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、兵庫県、千葉市。今年1月現在で887人が働く。


「都合よく切り捨てられた」 ニチイ契約打ち切り 40代女性生活困窮 ホテル転々、所持金1000円に




「一生懸命働いてきたのに本当に悔しかった」。国家戦略特区の家事支援事業で来日したフィリピン人女性が、大手医療介護人材派遣会社「ニチイ学館」からの契約更新がなく、一部で所在が把握できなくなっている事態が明らかになった。40代フィリピン人女性は昨年、突然、担当者から契約解除を伝えられた時のショックを涙ながらに語った。

◆「3年、5年と仕事したかった」
 自己都合退職扱いになっているこの女性は、昨年11月、「日本語の試験で合格ラインに達していない」との理由で、契約更新できないとの知らせを受けた。毎月あった試験では、これまで合格しなくても契約打ち切りを打診されたことはなかった。「傷ついた。できるなら3年、5年と仕事したかった」。ニチイから別企業への斡旋もなく帰国を求められたという。
 同じ時期に来た他の8人の仲間も同じ理由で雇い止めになり、失意の中、5人は諦めて帰国した。
 しかし女性は離婚後21年間、女手一つで3人の子を育ててきた。娘2人は結婚し自立したが、息子は大学で学費がかかり、母親の面倒も見ている。
 女性は「国家資格のため3カ月訓練し、1年以上、日本語の面接や料理の訓練を重ね、日本で働く日を待ち望んだ。子の学費や母親を支えるためにも帰るわけにはいかない」と訴える。

◆手持ちは1000円に
 女性は契約解除で、特区制度で認められていた週40時間の労働時間も28時間に、滞在期間も今年5月末までに短縮された。
 福島県いわき市の友人が「仕事あるよ」と呼んでくれたが、就労ビザが使える地域でなかったため東京に戻り、4カ所のハローワークとネットカフェで仕事を探し、カプセルホテルや低額宿泊所を転々とした。気付くと手持ちの現金は1000円に。1月2日の大久保公園(東京都新宿区)での相談会で会った弁護士が、支援団体につなげてくれた。
 現在、支援団体の助けでシェルターで暮らし、ホテルで週何回かのベッドメーキングなどのバイトを続ける。ビザの期限までになんとか家事支援で受け入れてくれる企業を見つけ契約し、ビザを更新したいと願う。
 「日本は町もきれいで食事もおいしくて大好き。だけど、仲間に私のようなシングルマザーも多かった中、今回のようなことは本当に残念。一生懸命働いたが結局、十分な説明もなく、都合よく切り捨てられた」と涙ぐんだ。

◆労働問題に詳しい相模女子大学社会マネジメント学科の奥貫妃文准教授の話
 国家戦略特区で女性を労働者として呼びながら『需要喚起できなかった』との理由で、契約更新しないのは理不尽。管理・監督する内閣府も入る第三者管理協議会の責任も問われる。今後は協議会との協議を重ね、女性たちに誠実な対応をしてもらいたい。





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